国際条約にも反する入管法「改正」案。まともな審議も経ずに
与党が強行採決へ急ごうとしていましたが、野党が強く批判し、
国会の外からも研究者や法律家そして市民が反対の声をあげた末、
昨日は強行採決が見送られました。来週以降も、まだ安堵はでき
ないので注視して、自分なりにできる形で「この改正案はおかしい」
と声をあげましょう~。
さて、かねてよりこの入管法「改正」案に反対していた日本
弁護士連合会が、改めて会長声明を出して廃案を求めたので、
ご紹介します。
<日弁連のサイト>
入管法改正案(政府提出)に改めて反対する会長声明
https://www.nichibenren.or.jp/document/statement/year/2021/210514.html
国連人権理事会の特別報告者からは再検討を強く求める書簡が公開
され、UNHCRからは「非常に重大な懸念」が表明されるなど、国際的
な人権水準からかけ離れた「改正」案であることは、言い逃れできない
ことです。(命からがら逃げてきた難民を送り返すということは、
「死ね」と言っているのと同じで、命の危険のある国に送り返しては
いけない国際原則に違反する非人道的な取り扱いです。)
入管施設では、拘置所でも刑務所でも起きない死亡事故が後を絶たず、
特にスリランカ人女性の死亡事故は「見殺し」に近い実態が次第に明らか
になりつつありますが、政府の極めて消極的な態度によって証拠が開示
されず、真相究明できない状況です。
難民申請の手続きも、入管施設での収容者への職員の言動も、極めて
非人道的で差別的になされている可能性がぬぐいがたくなっている今、
さらに排外的な取り扱いを許す「改正」案を通すわけにはいきません。
このたびの会長声明でも、国際的な批判の高まりや死亡事故の真相究明
が進まない状況をあげ、「改正」案は容認できない、と批判しています。
<一部抜粋>
このような情勢の下、当連合会は、今回の死亡事件の十分な真相究明
も本改正案の重大な問題点も置き去りにしたまま審議が行われてきた
ことに強く抗議し、引き続き抜本的修正がなされない限り、本改正案に
反対するとともに、今後もこのような状況が変わらないのであれば、
今回の本改正案の廃案を求めざるを得ない。
<抜粋終わり>
*2021.2.26
「出入国管理及び難民認定法改正案(政府提出)に対する会長声明」
https://www.nichibenren.or.jp/document/statement/year/2021/210226.html
*2021.3.18
「出入国管理及び難民認定法改正案に関する意見書」
https://www.nichibenren.or.jp/document/opinion/year/2021/210318_7.html