2013年4月30日火曜日

国防軍の権限ってどんなもの?

「国防軍の創設といっても、現に軍隊としての能力のある自衛隊があるわけだし、それが国防軍に名前を変えるだけで、今と変わらないんだからいいんじゃないの?」
という声をよく聞きます。

そこで、自民党改憲草案が提案する国防軍の権限を、いくつか見ていきたいと思います。

①「我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するための活動」(草案9条の2第1項)。
草案9条2項は、集団的自衛権を正面から認めているのですから、国防軍の活動範囲が現在の自衛隊よりも格段に広がることは明らかです。

そして、草案は、国防軍が出動するために、国会の事前承認が必要とはしていません。最高指揮官である内閣総理大臣の判断によって戦争に踏み切ることが可能となっているのです。
一般によく戦争していると思われているアメリカですら、「戦争の宣言」を連邦議会の権限としていますから、アメリカよりも好戦的な規定ぶりとなっています。この点については、長谷部恭男教授(東京大学)が、朝日新聞への寄稿(今年2月14日朝刊)で批判しています。

②「国際協力活動」(草案9条の2第3項)
自民党Q&Aでは、「国際協力活動」として海外に派兵した場合でも、軍隊である以上、武力を行使することも制裁行動をすることも可能であるとしています。
これでは、「国際協力活動」を名目として、ほぼ制限なく武力行使が可能ということになってしまいます。
自民党の説明には、武力の行使について抑制的な姿勢は全く見られません。

③「公の秩序を維持する活動」(治安維持活動。草案9条の2第3項)
国防軍の権能の中には「公の秩序を維持する」活動が含まれています。自民党が作成したQ&Aでは、これを「治安維持」活動であるとはっきり述べています。
これを聞いて、戦前の治安維持法を思い出される方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。

たとえば、国内で大規模なデモや集会が行われたとき、「治安維持活動」として、国防軍がやってくるかもしれません。
草案21条2項で、表現の自由についても、目的が公益および公の秩序に反する場合は、その自由を認めないとして、表現の自由に対する制約をとても広げています。
この21条2項と、国防軍の治安維持活動の権限が合わさったとき、何が起こるでしょうか。

国防軍が、デモをしている人たちに銃を向ける、そんな日が、来ないとも限りません。
少なくとも、自民党草案の条文上は、これができる規定ぶりとなっているのです。

2013年4月28日日曜日

ある憲法学者の懸念

自民党改憲草案って,このブログでも書いているように,いろんな観点からほんとにいろいろと突っ込みどころがあるものです。

この自民党改憲草案については,いろいろと見方があって,「自民党が野党自体に好き勝手つくったものだから」とか,「本気でここまでの内容の改正をするつもりまではないのだろう」とか言われることがあります。
(好き勝手作ったものだからこそ,自民党の意図がわかりやすいと言われることもあります。)

ただ,先日ある憲法学者の講演を聞きにいったときに,
『自民党改憲草案っていうのは,ほんとうに問題が多いと思う。だけど,例えば政権を握った与党として自民党が一番新しい自民党改憲草案ほどは変えていない案を出してきたら,
国民は「ああ,これなら前よりはいいし,大丈夫だよね」
って問題点を直視しないまま思ってしまわないか心配』
というようなことを言っておられました。

うーん,確かに伝え方によってはそのようにとらえられることがあるかもしれないなあと思いました。

私たちは,自民党改憲草案の内容やその怖さを伝えるとともに,憲法の役割とか意義をわかりやすく伝えていかなければならない,あらためてそう思いました。

最近,憲法改正について特に96条改正に関する報道なんかをよく目にします。
憲法についてよくわからないなりに関心を持っている人もいるはずだから,今こそ憲法の価値とか意義とかを伝えていけるチャンスなのではないかと思っています。

2013年4月27日土曜日

人権侵害ってあるの??

本日、講演をさせていただいたのですが、
そのときの内容はまた後日にさせていただき

その講演の前になされていた報告について書きたいと思います

いろんなところで講演をさせていただくのですが、

たまに、
人権が大切って言われても人権のことがよく分からない
歴史のことを言われても、いまとは違うんじゃないでしょうか?
という指摘を受けます

う~ん(^_^;)

人権って、侵害されてるって実感がないと、
本当にあるのかどうかすら分からないんですよね

無味無臭っていうか、
空気みたいなものっていうか。

でも、明らかに人権侵害だろって分かることもありますよね。
例えば、
現在でも、「民主化をすすめよう」というだけで、軟禁される国があったりしますよね
女性は車を運転してはいけないって国があったり
宗教が違うってだけで迫害を受けたり
これらが人権侵害だっていうのは、分かるんですよね
だって、日本にいる自分たちの当たり前さえ認められていないですからね。

逆に言えば
他の国では当たり前にできるけど日本ではできないことがあれば、それは人権侵害にあたりうるってことですよね。

例えば、
日本では、生活保護を受けられずに、餓死する、ってことがあります
札幌でも昨年、そういったことがありました。

例えば、
日本では、学校の先生が労働組合活動をやっているかどうか、他の人がやっているかどうかを強制的に調査することがあります
北海道でも、昨年、そういったことがありました

ほかにも、
例えば、
日本では、原発デモなんかに参加すると、その人の情報を国家機関に収集されることがあります
例えば
日本では、国家公務員が勤務時間外に全く職務と関係なく、政治的なビラを配布しただけで逮捕されることがあります

こういうことは、先進国ではないんじゃないでしょうか??


やっぱり、21世紀になった日本でも、人権侵害って身近にあるんじゃないのかなぁって思った
今日の講演会前の報告でした。

2013年4月26日金曜日

【報道紹介】憲法96条の改正に反対、超党派の議員連盟発足

96条改正反対の声が、「護憲派」「改憲派」、政治信条の違いを超えて、広がってきました。

25日、民主党、社民党など超党派議員35人が憲法96条改正に反対する議員連盟を発足させました。
また、同日、憲法13条(幸福追求権)の意義を議論する議員連盟も、民主党、みんなの党、共産党などの有志の国会議員が参加し、発足しました。

以下、ニュースサイトです。
 
憲法96条改正阻止へ議連発足(NHK NEWS Web 2013/4/25)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130425/k10014196831000.html

憲法13条の意義 再確認の議連発足
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130425/k10014183981000.html

2013年4月25日木曜日

「96条改正」に批判続出

このブログで既に何度も取り上げてきた「96条改正」の問題点ですが、
「ゴーマニズム宣言」で有名な小林よしのり氏が、この点について大変分かりやすい記事を書かれています。
http://ch.nicovideo.jp/yoshirin/blomaga/ar200636


以下、引用します。
そもそも憲法とは、国民大衆が権力者を縛る手段として存在するものであり、権力者の都合で安易に改正できないようになっているものなのだ。
 それに憲法は他のすべての法律を規定する特別な法律であるから、その安定性はある程度、確保されなければならないのも当然なのである。」

諸外国の改憲手続についても調査されており、日本国憲法だけが特別に改正しにくいわけではない、むしろ厳格な手続によって初めて改正できるのが当たり前、ということがよく分かります。

読者の方々も、さかんに反応されていますね。
憲法の中身に対する考え方は人それぞれですが、
たくさんの人たちが、立場を超えて広く話し合うことができたら、と思います。

☆★☆

立場を超えて、といえば。
憲法学者の中にも、現行憲法の内容に対してはさまざまな考え方があります。
中でも、以前から「改憲派」として知られているのが、慶応大学の小林節教授。
その小林教授が、96条改正について「憲法の本質の否定」と強く批判されていることは、
今月19日の本ブログで取り上げました。

今度は、以前から「護憲派」の政党として有名な日本共産党の新聞「しんぶん赤旗」が、
小林教授のコメントを大々的に取り上げるようですよ。
http://www.jcp.or.jp/akahata/web_weekly/

もともと見解の違う小林教授と共産党。
「立場や考え方が違うから」といって話を聴くのを拒むのではなく、
どこがどう違うのか、学び合うことはできないのか、
意見を交流することって大事なのだな、と思います。

昨夜18時~20時
憲法学習会「自由が危ない!自民党改憲草案」@国分寺労政会館 
おかげさまで200名ほどの参加者で会場はあふれました。
福島第一原発20km圏内に潜入し、惨状を写真に撮りおさめた谷内俊文氏によるフォトスライド上映とトークからはじまりました。
数々の写真からは、かつて人がそこに生活していた街から「体温」が無くなった、例えようもない異様な静寂が伝わってきて、息を飲みました。


* * *

 続いて私たち「あすわか」の紙芝居+憲法ってなあに?という話。
 国家と国民との関係について「国民が自由を守るために権力を憲法で縛ろう」という考えを立憲主義といいます。およそ近代民主主義国家において、この立憲主義の考え方は国家の土台ともいうべきものです。
 フランス人権宣言16条は、このように規定します。
「Toute Société dans laquelle la garantie des Droits n’est pas assurée,
 ni la séparation des Pouvoirs déterminée, n’a point de Constitution.
(権利の保障が確保されず、権力の分立が定められていないすべての社会は、憲法をもたない。)」
 日本国憲法においても立憲主義は出発点であり基盤となっている考え方です。だからこそ99条で憲法尊重擁護義務を負うのは「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員」なのであり、国民が負うものではないのです。


 振り返って、自民党改憲草案はどうでしょうか?
 人権保障どころか「公益または公の秩序」によって容易に人権が制約でき、幾多もの義務を課し、「人類普遍の原理」であるはずの天賦人権論を「西洋の考え方」だとして相対化させて否定しています。
 また、現行憲法96条憲法改正要件は、国会の発議の要件を3分の2から過半数へ緩和させています。現在まさに安倍首相自身の口から「憲法を国民の手に取り戻す」などとキャッチーな言葉で推し進められようとしている96条の改正ですが、これも結局、時の権力者に専制的な政治をさせないために設けた厳格な改正要件を、数の論理で自由に改正できるようにするものであり、立憲主義の思想とは全く相容れない(というか憲法がなんたるかの理解に乏しい)発想です。
 憲法研究者の奥平康弘氏は96条改正を「憲法への死刑宣告」と表現しています。


 このように見てくると、自民党の改憲草案が提示するもの、それは「天皇を頂点にいただく、「個人」が封殺された憲法の無い社会」です。
 梓澤和幸弁護士は講演の中で、「憲法のあるこの社会を守らなければならない」と語りました。


 憲法ってなあに?この話をもっともっと多くの方に聞いてもらい、知ってもらわないと、と強く思い、願う夜でした。

2013年4月22日月曜日

緊急事態条項?

今日は、緊急事態条項のお話です。
東日本大震災以降、憲法に緊急事態条項を作るべきだという話が急に出てきました。これはいったいどういうものなのでしょうか?

自民党改憲草案98条と99条は、緊急事態条項を定めています。これは、ものすごくてっとり早く言うと、地震や戦争などで内閣が「緊急事態」と判断したときには、
三権分立をやめて、内閣が法律と同じ効力のある政令を作れるようにする(国会の権限の重要部分を内閣にも与える)、
というものです。

では、緊急事態宣言がなされたらどうなるか。

緊急事態宣言がなされた場合には、「何人も」、国の指示に従わなければならないとしています(草案99条3項)。つまり国民も、企業も、地方自治体も、国などの指示に従う義務を負うことになります。
... 自民党は、緊急事態条項の説明として、「国民の生命、身体及び財産という大きな人権を守るために、その範囲でより小さな人権がやむなく制限されることもありうる」としています(Q&A33頁)。ここで「大きな人権」に入っていないものの代表例は、政治的言論をはじめとする表現の自由ですね。
そうすると、内閣が緊急事態宣言をした場合、「国民の生命や身体の安全を守るため」という「名目」で、内閣に不都合な言論を禁止してしまうということが容易にありえる、ということになります。報道規制や、デモや集会の禁止、ということがすぐに思いつきますね。
緊急事態には国などの指示に従わなければならないわけですから、内閣に不都合な言論を禁止した場合、それに従わずに言論を続けたら処罰される、ということも想定されます。

こういったことが、内閣の独断でできるようになってしまうわけです。

以前にも書きましたが、立憲主義の考え方は、「権力は、放っておくと、圧政・独裁・暴走するようになる」という考えから、国民の権利と自由を守るためには権力を放っておいてはいけない、権力を縛らなければならない、というものです。
このことから、権力は1つのところにまとめておいてはいけない、立法、行政、司法に分けて相互に監視、抑制させなければならない、とされているのです。
みなさんが学校で習った三権分立も、立憲主義から生まれた考え方なのです。
 

 なのに、内閣が好き勝手にできるようになっていいのでしょうか?
 
そもそも、東日本大震災のときに緊急事態条項があったら、今より良くなっていたのでしょうか?

2013年4月21日日曜日

パンフレット&紙芝居を配布しています☆

<パンフレットを配布しています> 後日改訂しました

当会では、自民党改憲案の内容をイラストで解説したパンフレット「憲法が変わっちゃったらどうなるの?~自民党案シミュレーション~」(A4版4つ折りサイズ)を作成しました。
1部15円(10部単位)(500部ご注文ごとに500円割引、送料別途)で配布しています。
憲法改正について考える際の材料としてご利用いただければと思います。

お申し込みは、
以下のメールフォームからお願いいたします。
 
なお、申込みが殺到しており余裕をもってお申込みいただければ幸いです


↓ちなみに、中身はこんなかんじです↓


<紙芝居を配布しています>

当会では、憲法とはそもそも何なのか、立憲主義とはどのような考え方なのかを解説した紙芝居「王様を縛る法~憲法のはじまり」を作成しました。

最近、「96条の改正は立憲主義に反する」とか、「自民党改憲草案は立憲主義に逆行する」とか、いろいろな新聞紙上で書かれるようになりました。
でも、その「立憲主義」って何?というところは、法律を勉強したことのない方にはわかりにくいものです。
これをわかりやすく説明するためのおとぎ話を、紙芝居にしました。

当会では、パワーポイントのデータと、ワード形式の台本を無償で配布しています。
ただ、製作費がかかっておりますので、2000円以上のカンパをお願いしております。

ご希望の方は、
メール:kamishibai.asuwaka☆gmail.com  (☆を@に変えてください!)
までご連絡ください。

講演会等でご活用いただければ幸いです。

憲法劇「しおかぜ亭へようこそ!」のお知らせ

GWも近づいてきたというのに肌寒い日が続きますね。

さて、今日は、来る4月29日に、福岡市で開催される憲法劇についての案内をさせていただきます。

私の所属しております『ひまわり一座』は、毎年4月29日ころ、福岡市内で憲法をテーマにした劇を行っております。
この、『ひまわり一座』は、日本国憲法について広く知ってもらおうと、25年前に設立された団体で、現在、裏方さんまで含めると約50余名の方々が実働として関わっています。発起人は弁護士ですが、今ではメンバーも多様化し、会社員の方や司法書士さん、社労士さん、大学生や主婦の方など、およそ4分の3が弁護士以外の方々です。また、演出や音響はプロの方が手弁当で協力してくださっています。
これまで、米軍基地問題や諫早湾干拓問題、原発問題などを題材として取り上げてきました。題材は真面目でも、わかりやすく面白く、がモットーで、「憲法があるけん、平和たい!」を合い言葉に、笑いあり、涙ありの演劇を皆で協力して作ってきました。

今年は、『しおかぜ亭へようこそ!』と題する「女の一生」を描いたヒューマンドラマ。
あらすじは以下のとおりです。

 とある小さな港町にある食堂、「しおかぜ亭」。女店主・ハナのおおらかで気さくな人柄に惹かれ、町の老若男女が次々とここに集まってくる。
 あるとき、町の青年たちが提案した東北被災地支援の町おこし企画をめぐり、町の人々の間で議論が紛糾!
 そんな中、ハナはついに、これまで明かさなかった過去を語り出す。67年前の戦争の爪痕、繰り返されてきた核による悲劇、そして平和の尊さ・・・
 創立25年目のひまわり一座が心機一転お送りする、涙と笑いのヒューマンドラマ!「憲法があるけん、平和たい!」の熱い思いを、温かなストーリーにのせてお届けします。
 (劇団「ひまわり一座」パンフレットより引用)

ご興味のある方はぜひ足をお運びください。



2013年4月20日土曜日

赤子に対する人権侵害

今日はいつもと違って、つぶやきみたいな雰囲気でお送りしたいと思います☆


我が家にいる生後8日の赤子

毎日母乳を飲んですくすく成長しているようです。

で、よくある光景なのですが、

赤子は、ベッドに寝ているとわんわん泣きはじめます
おむつはすでに取り替えているので、
母乳が飲みたいのかと思って、
母親が授乳しようとすると、
赤子は乳頭を咥えたまま、目をつぶって寝るのです


「おいおい、寝るのか飲むのかはっきりしてくれよ」
と思って、
こっちは、揺らしたり、鼻をつまんだり、頬をこすって、赤子を起こそうとしていました

が、
人にきくところによると、
どうやら、赤子は落ち着いて眠るために乳頭を咥えたいだけだったのです
(知らなかった~)
そのためにおしゃぶりというものがあるんだそうです
(言われてみればなるほど~)

そこで、さっそく購入。



私は、
講演会などで憲法のお話をさせていただく際には、
「多数派の意見が間違うこともあるのです」
「少数派を大切にしないと、結局は人の意見をきかない、独裁みたいになってしまうのです」

「少数派の立場になって考えることが重要です」
「そのためには、事実を知ること・しっかりと想像することが大切なのです」

などと、偉そうに言わせていただいていましたが、

今日、
赤子のことを知らずに、自分の考えを押し付けていたことに気づきました。


う~ん、赤子に対する人権侵害だったな。

権利侵害や少数派への無配慮、というのは、
知らず知らずのうちにやってしまうものかも
などと、
すぐに憲法の話と絡めてしまう、いやな父親です

2013年4月19日金曜日

憲法96条改正論 今なぜ?-改憲派も強く批判(朝日新聞記事)

 本日の朝日新聞で憲法96条改正についての特集記事が掲載されています。

 96条改正(憲法改正の発議を衆参両院で総議員の「3分の2の賛成」から「過半数の賛成」に要件を緩和)に積極的なのは自民党と日本維新の会。日本維新の会の橋本徹共同代表は96条先行改正論を主張する理由について、「『時間戦略』です。憲法改正の論議は4年や5年はかかるが、今の議院内閣制と二院制で改憲に必要な3分の2をそう継続できるもんじゃない。」

 この96条先行改正論に対して、改憲派で知られる小林節・慶応義塾大教授(憲法)は、「正面から入れないから、裏口入学をさせてというようなもの。」と手厳しく批判。「憲法は権力者を縛り、国の土台だ。権力者が軽視できないよう、わざと改正しにくくしてある。権力者がハードルを下げるのは憲法の本質の否定だ。」

記事全文はこちら(全文を読むには会員登録が必要です。)
http://www.asahi.com/politics/update/0419/OSK201304190050.html

2013年4月18日木曜日

学習会の報告

昨日は記者会見の後、毎日新聞社にて改憲問題についての
学習会がありました。

 講師として、当会からは黒澤と加藤が参りました。

 毎日新聞社にて、とはいっても、記者さん相手の学習会
ではありません。場所をお借りしただけです(笑)。
 主に、憲法フェスティバルの運営に関わってこられた
諸団体の方々が参加してくださっていました。
 

 黒澤が紙芝居を披露して、改憲草案の最大の特徴の1つ
である「立憲主義からの脱却」について、現行憲法と改憲草案
の前文を比較しながら話しました。

 現行憲法の前文を見ると、日本国民は…という主語で始まり、
社会契約や立憲主義のロジックが分かります。
 しかし改憲草案の前文には、これら近代民主主義国家の
常識ともいえる理念がまるっきり出てこないのです。

 国家が国民を縛る法であり、国民のためではなく国家のための
法である、という発想で書かれているのが改憲草案前文です。
 


 その後、加藤から96条改正について、昨今の政党の姿勢の
報告とともに、多数決原理を憲法改正に持ち込むことの危険性、
96条改正の真の狙いについてお話しました。


 質疑応答では、
「紙芝居を見れば、誰でも納得するはずで、選挙前から国防軍だの
なんだのは話題になっていたはずなのに、なぜ国民はそれでも
自民党に票を入れるのか?」という運動面での悩みが聞かれました。
 
 また、要望として、
「一般の人の前提知識は、中学の公民までだと思って話してほしい」
という声がありました。


 広く国民に知ってもらうことが当会の目的ですので、
 こういう意見は貴重です!ついつい専門用語で語る悪い習慣を
意識的に修正する必要があるな、と改めて感じました。

記者会見しました!

17日15時半から司法記者クラブにて、
当会の設立報告及び活動報告の記者会見を開きました。

 正直、記者さんがたくさん来てくれるとは期待して
いなかったのですが、10数名くらいの記者さんに
お集まりいただきました。うれしい方向で予想外れです☆

 神保共同代表が会設立の経緯や趣旨を話し、細永弁護士が
4つ折りパンフレット等これまでの活動報告を行いました。




 紙芝居も、実際に披露しました。

 紙芝居披露中、パシャパシャと次々にシャッターを切られ、
かなり注目してもらえたようです!それだけでも記者会見
やってよかった!と思えました。

 質疑応答では今後の活動予定や会のスタンスについて
鋭い質問がとびました。

 憲法があってよかったと具体的に思う瞬間はどんな時か?

 従来の「護憲運動」の枠を超えたいと言っているが、具体的に
無党派層へどのように切り込んでいるのか?

 自民党改憲草案に反対しつつ、しかし「護憲勢力」の枠を
超えた連帯を模索というのは、結局どういうスタンスなのか?


 短い質疑応答の時間ではとうてい説明しきれない難しい質問が
印象的でした。準備不足で戸惑いつつも、いい記事を書きたいと
いう記者さんたちの好意的な対応に助けられ、ホっとしました。
 
 一紙でも記事になるといいなぁ、と願いつつ、夜の学習会へと
急ぎました。
     
 神保共同代表は、さわやかに札幌へと帰って行ったのでした。

2013年4月14日日曜日

記者会見やりま~す☆

最近少しずつですが、メディアに改憲の話題が出てきましたよね。

これまでも、このブログでもちょくちょく取り上げてきました


でも、話題が出てきたっていっても、
大手の新聞にチョロっと載ったり、雑誌で単発の特集が組まれたり、
といった具合で、
ま=だまだ、宣伝力は小さいですし
メディアでの扱いは小さいですよね。

だからって、私たちには、大手新聞に意見広告を載せるような資金は、
これっぽっちもありません (-_-;)


そこで、記者会見やることにしました!!


4月17日(水) 15:30~
@司法記者クラブ
(東京都千代田区霞が関1-1-4 東京地方裁判所2階)


目的はざっくりいって、

自民党改憲草案について、もっと報道してほしい!ということを伝え
当会の存在を広める
という点にあります!


内容は、これから詳細を詰めますが、

・当会の設立の報告
・当会作成のオリジナルツールの披露
をやりたいと思っています


翌18日の報道にご注目ください!!



なお、
若手弁護士の参加者も募集していますよ☆



本日の淡路島の地震で、
「もし、緊急事態条項があったら・・・」と不安になってしまいました(汗)

2013年4月12日金曜日

憲法改正草案102条1項(国民の憲法尊重義務)-立憲主義の否定

自民党憲法改正草案は、国民に憲法を尊重する義務を課しています(改正草案102条1項)。
「国民が憲法を尊重するのは当たり前じゃないの?」と思うかもしれません。
しかし、国民に憲法尊重義務を課すということは、憲法を根幹から覆す重大な問題なのです。

日本国憲法では、憲法を尊重する義務を負うのは、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他公務員」(99条)であって、国民の憲法尊重義務は定められていません。
それはなぜでしょうか?
4月8日のブログで、「国民の権利と自由を守るために権力を縛るルール」が憲法であり、近代立憲主義の考え方だと述べました。別の言い方をすれば、憲法は、国民の権利と自由を侵害しないように、国家権力に対して「憲法を守れ」と言っているのです。
この近代立憲主義の考え方からすれば、憲法を尊重する義務を負うのは、国家権力を行使する側、つまり公務員であって、国民ではありません。ですから、日本国憲法は国民に憲法尊重義務を課していないのです。

国民に憲法尊重義務を課すことは、近代立憲主義とは相容れないことなのです。

2013年4月11日木曜日

名古屋で街宣を行いました☆

 今日のお昼、名古屋の当会会員が栄の街頭で宣伝をしてきました☆

こんな紙を置いて。
ちなみに、赤い布?の上にあるのが、当会のパンフレットです。

 立ち止まって聴いてくださった市民の方から、

「憲法について、あまり考えたことはない」
憲法って政治の話なんでしょうか?」
「憲法ってどういうものなんでしょうか」

という疑問を投げかけられました。

こういう疑問を持っている方にこそ、憲法ってどういうものなのか、知ってほしいです!


名古屋だけでなく、全国で当会の若手弁護士がいろいろなところに出かけます。
是非、足を止めて聴いてください。



ちなみに、写真の紙に「こんなのは「憲法」ではない!と言いたい。」
なんて書いてしまいましたが…
なぜ自民党憲法草案が「憲法」ではないのか。

日本維新の会の橋下共同代表のこんな発言があったそうです。

「憲法というのは権力の乱用を防ぐもの、国家権力を縛るもの、国民の権利を権力から守るものだ。」
(4月11日付朝日新聞「天声人語」より)

しかし、そうなっていないのが自民党憲法草案です。
一昨日の記事でも紹介しましたが、自民党憲法草案では、「総議員の過半数」の賛成があれば、憲法改正について国民投票をすることができる、としています。
憲法に縛られていなくてはならない権力が、憲法の縛りを緩めるための発議をしやすくなってしまうのです。
自分を縛る鎖を自分で緩めることができるなら、そこから逃れるのも簡単になってしまいますね。

「憲法」の重りを、王様が自分で軽くすることができてしまったら?


これでは、「権力の乱用を防ぐもの、国家権力を縛るもの、国民の権利を権力から守るもの」である憲法の意味がありません。

“どんなに権力を持っていても、してはいけないことがある”
このことを明らかにする点に、憲法の意味があります。
「憲法ってどういうものなんでしょうか?」という問いに一言で答えるとしたら、
そう答えるでしょう。

一人でも多くの方に、憲法ってどういうものなのか、知ってほしい!


2013年4月10日水曜日

学者からの応援メッセージ

 名古屋大学名誉教授の森英樹先生より、
当会に応援メッセージをいただきました。

 森先生、ありがとうございます!!


。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。:

 安倍首相の改憲リベンジに対抗して、若手弁護士が結集されたと
聞きました。頼もしい限りです。
 2005~07年の小泉・安倍時代の改憲計画は、9条の会をはじめと
する多くの人々の力でこれを頓挫させました。その「反省」もあってか
第2次安倍政権下の改憲論は手が込んできています。たとえば、
96条から改憲する、これはただの手続き論だ、とか、改憲要件の引き
下げは「憲法改正権を持つ国民のためにするのだ」というソフトタッチ
です。若い弁護士のしなやかな感性で、こういう新しい動きに対峙し、
そうした新論理を退治してください。期待しています。

名古屋大学名誉教授 森英樹(憲法)

2013年4月8日月曜日

最近「立憲主義」という言葉を目にしませんか?-96条改正と関連して

最近、「立憲主義」という言葉が新聞紙上に登場するようになりました。
みなさんは、この「立憲主義」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

立憲主義というのは、一言で言えば、「国民の自由と権利を守るために、憲法を制定して国家権力を縛る」という考え方です。
むかし、絶対君主の圧政によって、市民の生命や財産、自由が簡単に奪われる時代がありました。
市民が圧政に苦しめられた経験から、権力は放っておくと必ず独裁・暴走・圧政を敷くようになるので、権力が好き勝手なことをして市民の権利と自由を侵害しないように、権力を縛らなければならない、と考えられるようになりました。
その「権力を縛るルール」が憲法だ、という考え方が、「近代立憲主義」です。

このことから、「仮に形式的に憲法という名前の法典があっても、基本的人権の尊重と権力分立の保障がないものは、もはや実質的には憲法の名に値しない」(フランス人権宣言第16条参照)と考えられているのです。
立憲主義の考え方を採っていない憲法は、もはや憲法ではない、ということです。
その意味で、聖徳太子が作ったとされる17条憲法は、このような意味の「憲法」ではない、ということがよく言われていますね。

この「立憲主義」を別の観点からみると、憲法は、多数決によっても侵すことができない個人の尊厳を守るものだ、ということができます。
つまり、人は1人1人違う考え方を持ち、違う生き方をしているけれど、それを認めようじゃないか、過半数を取った人たちの考え方によってそれ以外の人たちの考え方を否定したり自由を奪ったりしてはいけない、というものです。
例えば、選挙でナチスが第1党になったからといって、ナチスとは異なる考え方を持つ人たちを逮捕したり処罰したり、ユダヤ人を迫害したりしてはいけない、ということです。


昨日(7日)、菅官房長官は、憲法96条改正が今年7月に行われる参議院選挙の争点になると発言しました。

憲法96条は、憲法改正要件を定めた条文です。
現行の日本国憲法は、憲法改正要件として、①衆議院と参議院それぞれの総議員の3分の2以上の賛成による発議、②国民投票での過半数の賛成、を定めています。
自民党はこのうち、①の要件について、「総議員の3分の2」から「過半数」に要件を緩めようとしています。
そうなると、時の政権与党、あるいはそのときに国会で過半数を取っている人たちの考え方によって、憲法を改正することが可能となってしまいます。

憲法は、「過半数を取った人たちの考え方によってそれ以外の人たちの考え方を否定したり自由を奪ったり不公平に扱ったりしてはいけない」というルールを定めたものなのに、
そのルールが、過半数を取った人たちの考え方によって決まる。
それって、変じゃない?


自民党憲法草案は、他にも、立憲主義の考え方とは異なる条文がいろいろ出てきます。
それはまた、追って…。

2013年4月7日日曜日

事務局研修で

私が働いている法律事務所では,春と秋の年2回,事務局研修を行っています(もちろん弁護士も参加します)。
先日,春の研修があったのですが,今回は午前中に家事事件手続法と接客マナーについて学び,午後は憲法について学ぼうということで私から話をさせてもらいました。
事務所以外で憲法についてお話させていただく機会はあるのですが,ふと,いつも一緒に働いている事務員さんたちはどれくらい憲法のことを知っているのだろうと思い,まずは足元からということで事務所内の会議で提案してみたのです。

さて,内容としては,憲法とはどういうものなのか,今自民党が提案している改憲草案は立憲主義の観点からしてどう考えられるのかという内容で話をしました。
話のあとの質疑応答の時間では,
・  立憲主義の意味などはわかったけど,なぜ人権規定が確立されたのかその歴史的経緯をもっと詳しく述べたほうがよいのではないか
・  自民党改憲草案については,もっと,「ちゃんちゃらおかしい」と言い切っていい。
・  立憲主義の具体化ということで,大日本帝国憲法と日本国憲法の比較を入れるとわかりやすいのではないか。
・  少数者の権利がないがしろにされるというのをもっと具体例を示して言ってもらったほうがいい。(その後,生活保護受給者の市民による監視の問題の話が出ていました。)
などなどのご意見をいただきました。

…意見というよりも,私の講義に対する改善点とかアドバイスがほとんどですね。わかっていたことなのですが,先輩弁護士の前で話をするだけでやりにくいのに,針のむしろ状態でした(笑)。でも,率直な意見が聞けて,自分自身とても勉強になりました。
一般の人にとってあまり身近ではない憲法というものを,身近なものとして感じてもらいその価値を理解してもらえるよう,もっともっと研鑽を積んでいかねばと思いました。

私の場合,偉そうに憲法の話を人前でしていても必ずしも理解が完璧ではない部分がありますので,質問にたじたじになったりしてしまうのですが,そこから自分自身が学ぶことも多く講義の毎回が私にとっては勉強です。これからも,このような機会をとおして,みなさんと一緒に考え憲法に対する理解を深めるとともに,より多くの人々に伝えていけたらと思います。

講演させてもらいました♪

当会の神保弁護士が講演をさせていただきましたので、ご報告します♪

新日本婦人の会厚別支部さんの主催で、
「そもそも憲法って?~安倍政権の変えたいものは?~」と題して
75分ほど講演をさせていただきました。

当会で作成した「憲法紙芝居」を実演した上で

明治憲法下での女性の置かれた立場・権利
世界の憲法に見る女性の立場・権利
日本国憲法における女性の立場・権利

について、講演しました。

「このところ、憲法を変える理由として、古くなった、押し付けられたって聞くけど、なんて答えたらいいのでしょう」
というご質問がありました
一緒に考えていきたいですね。

パンフレットも100部近くお買い上げいただきました。
ありがとうございました。

こういった講演を全国各地で行いたいと思っておりますので、
ご要望がありましたら、ご連絡ください!

学者からの応援メッセージ

 一橋大学名誉教授の山内敏弘先生より、
当会に応援メッセージをいただきました!
山内先生、ありがとうございます。

+++++++++++++++++++++++++++

 日本国憲法は、施行以来最大の危機を迎えています。
もし自民党の改憲草案のような改憲が実現したならば、
国民主権、基本的人権尊重、平和主義という憲法の基本的
価値原理が損なわれてしまいます。

 このような時期に若手の弁護士の方々が改憲阻止のために
立ち上がったことは、大変心強いことです。
 憲法改悪阻止のために幅広い理論的、実践的活動をそれぞれ
の地域の人たちとも連携しながら進めていかれますことを、
心より期待しています。 


一橋大学名誉教授 山内敏弘

2013年4月6日土曜日

アエラの4月8日号(今週号)で改憲特集


アエラの4月8日号(今週号)に改憲問題が載っています!

http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=14817

憲法
自民改憲案の先にある「息苦しい日本」
徹底シミュレーション
増えるタブー、家族介護は「義務」/憲法学者8人に聞く「改憲の現実味」
(アエラHPより)

2013年4月4日木曜日

日経のコラムに思うこと


福岡では桜も盛りを超え、いまは八重桜がきれいですが、朝晩はまだまだ冷えますね。

国会では自民党の改憲案についての論戦など行われており、つい頑張れ!と声援を送ってしまいます。

さて、昨日(4月3日)の日本経済新聞朝刊の1面のコラム「春秋」を読んで、ニヤリとさせられました。
引用:日本経済新聞HPより
  http://www.nikkei.com/article/DGXDZO53539790T00C13A4MM8000/

取り扱われているのは自民党の改憲案ではなく、維新の綱領ですが、どちらも同じ臭いが漂ってきます。
自民党にも、維新にも、憲法に対する姿勢には、日本の立憲主義を根底から覆すものである点で同じ危うさがありますが、そのことについてもっと注目をされるべきであることについて、少しだけ日経もそう思い始めたのかな、とちょっとだけ期待しています。

2013年4月3日水曜日

総会の報告③(懇親会)


 設立総会で、阪口先生の講義を受けて学習し、
これからの私たちの活動内容についてしっかり
話し合った後は、近くのイタリアン・レストランで
懇親会をしました!
 3月末、桜の盛りの時期に、「日本国憲法(現行)
が好き!」「自民党改憲案はやっぱりおかしい~」と
思って、東京に集まった若手弁護士らは、明るい
パワーに溢れています。

 北は北海道から、南は沖縄…でなく、大阪までで
したが、各地の若手が集まって、皆さんとっても個性豊か。
ちょっとお酒が入ると、自己紹介の弁舌も滑らかに、
いくらでも脱線させて話す強者もいて、それに突っ込み
を入れる皆さんも、とっても温かい。
 憲法に対する想いだけでなく、普段の弁護士活動で
頑張っていることなど、話したいことは尽きないですもんね。

 私は、大阪から参加しましたが、うん、この雰囲気を
関西に持って帰りたいなーと、関西でメンバーを広げ、
活動を大きくしていく構想が膨らみました。

 それに、南の方にもメンバーを増やせば、また面白い
個性が現れるのではないかと期待して、九州の同期や
ロースクールの同級生に、すぐさま声を掛けなくちゃ!と
思いました.


 まだまだ知られていない「明日の自由を守る若手弁護
士の会」、友人・知人を通じて、どんな人がどんな活動を
どんな想いでやっているのか、口コミで広げていくのは、
効果的ですよね。


 ぜひ、皆さまも、周囲の方に広げて下さいね。
そして、51期以後の弁護士(登録番号26427以後ら
しいです)がいらっしゃったら、気軽に声を掛けてもらえば。
 私は、事務所の兄弁に声を掛けてみました。
思ったとおり、「で、何をやってる会なの?」と聞かれましたが、
それには、できあがったばかりの可愛いリーフ「憲法が変わっ
ちゃったらどうなるの?~自民党案シュミレーション~」を
見せて、もう一押し!


 会員になっても、活動できないし…という方も、ちょっと
リーフを持ち歩いて、若手弁護士にあったら、これどう?と
見せていただければ良いのではないかと。
 今回は東京での総会で、地方から行くには交通費が…と
いう気持ちはとってもわかりますので、大きな集会に参加
できなくても、日々の生活の中で活動していただければ。
(でも、交通費をかけても、懇親会はとっても楽しいです(笑)。)

 そうして日々の生活の中で憲法が生かされることを実感
できると、弁護士の仕事にも魅力を感じられると、私は思っています。

 今後も、個性溢れるメンバーで、アイディアいっぱいの
活動を展開していきます!50期以前で残念ながら会員に
なれない弁護士の先輩方、市民の方々、是非とも応援を
よろしくお願い申し上げます。

2013年4月2日火曜日

総会の報告②(活動報告)


 特別講演に引き続き、今日までの当会の活動報告をしました。

① 4つ折りパンフレット
② 紙芝居(パワーポイント)
③ インターネット戦略
④ 学者との連携


 紙芝居は、川上弁護士がアナウンサーばりの美声で披露し、
阪口先生からもお褒めの言葉をちょうだい致しました☆

 インターネット戦略の報告の際、神保弁護士から、ぜひFB
の投稿に「いいね!」を押して欲しい、ツイッターのフォローも
ヨロシク、との呼びかけがありました(重要!)。

 学者との連携について、学者間の連携をこちらから手伝い、
応援メッセージをいただき、ゆくゆくは声明を出すところまで
模索していることの報告がありました。まずは自分の恩師に
アプローチするところから、ですね。

 この後、今後の活動について意見交換がありました。
○紙芝居は紙媒体とパワポの2種類があるとして、これを売る
 のか無料配布するのか…
○紙芝居と絵本のタイトルはどうするか

○大事なことですが、なぜ当会が会費を取らないのか、
 についても議論の経過から報告いたしました。
 (これば別途、報告しますね)

○黒澤が会員皆さまの事務所のHPと当会HPのリンクを張って
 欲しい、と提案したところ、「バナーが必要」との意見をちょうだい
 しました!Oh,忘れていました、さっそく作りますのでお待ち下さい。

 最後に、ド赤字の会計報告と、規約の承認、役員の承認が
 つつがなく行われました。


 神保弁護士と川上弁護士が持参してくれた「白い恋人」
(←あっ、面白い恋人だね!と言ったら怒られました!どさんこの
プライドを感じます。)をおやつにしたものの、閉会時には耐え難い
空腹感に襲われた参加者たちは、懇親会へと足を速めたのでした。

2013年4月1日月曜日

総会の報告①(阪口正二郎教授の特別講演)

総会の報告第1弾は、阪口先生の特別講演についてです。

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 2012自由民主党「新憲法草案」について考える
             ーー96条改正問題を中心に

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 講演は、「今回の自民党改憲草案は、国家と国民との関係を
根本的に変えようとしている」という話から始まりました。

 国家と国民の関係をどのように変えようとしているのか、
まず前文の改正について見て見るとよく分かる。


 現行憲法の前文に明確に書かれているのは、社会契約である。
すなわち、個人が自らの自由を確保するために一定の合意をして
国家を形成した。だから国家は決して所与のものではなく人為的
なものではない。戦争に対する反対意思も述べられており、その
文脈で平和的生存権の記載もある。


 そして、これらの事柄は「人類普遍の原理」である。つまり
日本のためにではなく、近代以降の立憲主義を守るためのもので
ある、と。

 これに対し、改憲草案の前文はどうだろうか?
 社会契約の論理が、どこにも出てこない。日本固有の歴史・
伝統・国土が強調され、対国家的なものであるはずの理屈が出て
こない。そこに出てくるのはむしろ国と郷土を守る国民、規律を
重んじる国民。国家が国民を縛る仕組みを定めようとしている
姿勢が表れている。


 阪口先生は自ら最も重要な条文だと考える13条が規定する
「個人の尊重」というキーワードから、立憲主義を掘り下げて
語って下さいました。

 「個人」という言葉が消え「人」と改正されようとしている
ことの危険性を忘れてはならない。個性を抜き去った「人」は
個性を持った「個人」と大きく異なる。天賦人権説を採用しない、
と自民党自身が語るように、日本という「国」・日本の歴史や
伝統・文化を嫌う国民は「個人」として認めない、という理屈。


 現行憲法下においても、残念ながら日本は個人よりも共同体を
優先させる国であり、周りに同調せよという雰囲気の息苦しい
社会である。こういう社会において「もっと個人であることを
大事にしなさい」と言ってくれる13条は非常に大事。そう簡単
に13条を変えてはいけない。


 102条の憲法尊重擁護義務に「国民」が入っていないのは、
近代立憲主義の立場に立って、国民が権力を縛っているから。
またこれは、「闘う民主政」を採用しない、という宣言でもある。
「闘う民主政」は、ドイツがナチスという特殊な背景を持っている
からこそ採用されたのであり、今の日本に、あえて「闘う民主政」
を採用しなければならない背景はない。


 96条改正についても、「個人の尊重」をキーワードに語って
くださいました。
 あまりにも長くなるので、ここでは書ききれませんが、第3代アメ
リカ合衆国大統領であるジェファーソンが、硬性憲法という発想
へ投げた反論から始まり、「民主主義を可能にするための硬性憲法」
「立憲主義を可能にするための硬性憲法」へと展開しました。

 KYという言葉で「個性」をことさら押さえつけようとする
日本社会を憂慮し、当会の若手弁護士達の活動で「個人の尊重」
そして立憲主義がいかに大事なことか理解が広まることに期待
する、という話で、講演は終わりました。
 先生のお話は非常に分かりやすく、講談を聞いているかのような
錯覚に襲われました!会場は何度も笑いに包まれ、「先生の大学での
授業もこんな感じなのかなぁ」と学生やロー生をうらやむ声も聞かれ
ました。
 先生、ありがとうございました!!