ですのでこの集会はやらないでください」
こんなことがあったら、おいおい、集会の自由(憲法21条1項)はどこいった?
って思いますよね?
でも、実際に起こったんですって。
今年の7月24日、兵庫県H市のとある広場で行われた集会
広場を管理する市の職員が「にぎわいを創出する広場の趣旨にそぐわない」という理由で、集会を中止させていたんですってね。
この集会では、「アベ政治を許さない」と書かれたビラが配られたり
「安倍政権はノー」といった発言があったようです。
それが原因かわかりません(というか中止した側は当然否定しています)が、
市の職員(したがって、公務員)が、集会を中止させたことは間違いないんです。
結局、この中止措置については、市側が「集会、表現の自由を侵した」と認め謝罪したようです。
想像するに、集会の中止のために動いた職員さんは、おそらく一人ではないでしょう(じゃないと無理やり中止させられないですので)
ってことは、この中止措置をやってもいいことだ、集会の自由を侵害しないんだ、と思った職員が一定数いるってことですよね。
そりゃ、中には「おいおい、こんなことやっていいわけねぇだろ」って思った職員さんもいたかもしれませんが、中止措置に協力した以上、共犯でしょう。
要するに、公権力を担っている公務員(この場合は、市民の公共の場を管理する市の職員)というのは、どうしても市民の権利・自由を侵害する場面があるってことなんですよ。
(別に公務員以外が人権侵害をしないって意味じゃないですが)
だから、憲法99条は、公務員に、憲法尊重擁護の義務を課しているわけですよね。
公務の遂行をする上で、人権を侵害してしまう蓋然性が高いので、公務員による人権侵害を防ぐべく、憲法尊重擁護の義務があるわけです。
公務員による集会の自由の制限(の危険)という面で共通するこんなこともあったんです。
北海道のA市の議会での出来事。
市有地を利用して市民が集会を行うことの是非について、今年の9月24日に、とある保守系の議員さんが質問をしました。
「集会は戦争が起きるなど市民の不安をあおるものや反体制的な主張を繰り返している。市庁舎の公共性を考えると、市が許可するにはふさわしくない集会があると考える」
「駅前などでの政治的主張の強いデモは市内を訪れる観光客のイメージダウンにもつながる、という声もある」
(゜o゜)
反体制的な主張 ≒ 市が許可するにはふさわしくない ?
観光客のイメージダウン > 集会の自由 ??
(。´・ω・)?
当たり前ですが、
日本国憲法では、反体制的な主張(わかりやすくいうと政権批判)も表現の自由で保障されていますので、市が許可するにふさわしくないということにはならないでしょう(*自民党改憲草案では反体制的な集会は公の秩序に反するとして集会禁止もありえますね)
日本国憲法では、観光客のイメージダウンという本当に存在するのか分からない(というか、政治的な発言を公権力が抑制する国の方がよほどイメージ悪いですが)想像を理由に、集会の自由を制限できるわけがないですね。
(*自民党改憲草案では、国が栄えるための経済発展が強く重視されますので集会禁止もありえますね)
この議員さんは、日本国憲法を知らずに言ったのか、知っていてあえて言ったのか分かりませんが、
少なくとも、この議員さん(公務員)によって、集会(この場合は安保法反対の集会)の自由を制限されちゃう危険があったわけですね。
うん、やっぱり、公務員には、憲法尊重擁護義務が必要だ。
あっ、これまた当たり前ですが、
まともな(憲法を分かっている)公務員さんも大勢いるわけで、先の議員さんの質問に対しては、
「基本的人権として憲法が保障する表現、集会の自由の観点から、表現活動の機会はできる限り尊重されるべきだと考える。」
という至極まっとうな答弁がなされていますので、ご安心ください。
国会議員とか内閣総理大臣とかが人権侵害しやすいんだから憲法まもれよ、ってのはイメージしやすいと思うんですが
地方公務員であっても、こうやって人権侵害しちゃうことがあるんですよね
そういうことを防ぐためにも、あるいは人権侵害を是正させるためにも
「不断の努力」って必要だなって思います。