『テロ等準備罪』!? 無害なフリしちゃってポイント解説 ④
気心しれた仲間だけで、食事をしたりお茶やお酒を飲んだりする時間。
仲間内しかいないLINEのグループチャットで盛り上がる時間。
楽しいですよね。
目上の人に気兼ねする必要のない、本当に信頼しあえる人たちだけで会話ができることは、日々緊張を強いられる現代社会のオアシスのようなものです。
そんな仲間内に、実はスパイがいるかもしれない。
自分たちの発言を録音して、警察に密告する輩が潜んでいるかもしれない、としたら…
別に犯罪をたくらんでいるわけではないとしても、なーんかムズムズしませんか?
「やりにくいなぁ」「居心地悪いなぁ」って思いませんか?
今日、車を運転した人。
絶対に一度も、スピード違反も一時停止違反もしなかった!と、言いきれますか?
パトカーが堂々と走って監視しているのも、それはそれでなーんか嫌だなぁ…と思いますが、
コッソリ隠れて監視する覆面パトカーや、「ネズミ捕り」に捕まって、
「ちぇっ、ずるいぞこいつら」て思ったことはありませんか?
ほら。
「私は後ろめたいことなんて何もないから、監視されても構わない」なんて、嘘でしょう?
共謀罪ができると、警察の捜査は「監視」がメインになるんです。
だって、「共謀」と「準備行為」があれば犯罪が成立したことになっちゃうんですよ。
そこに、死体も、金庫がこじ開けられた跡も、足跡も、指紋も、ないですよね?
そうすると、警察が共謀罪の「犯人」を捕まえようとすれば、
共謀(つまり、会話とかLINEとか目配せとか)と、その後その人が何をするか(「準備行為」らしき何かをしないかどうか)を監視しなくてはならないはずです。
そのためには、盗聴とかもそうなんですが、
グループの会話の中にスパイを送り込むのが、確実です。
「あの集まりは、本当は「組織的犯罪集団」かもしれないから、警察の息のかかった人間を送り込んで監視させよう」
そんなことが、好き放題にできるようになったら、どうですか?
勝手に疑われて、勝手にスパイを潜り込まされて、気心知れた仲間だけの時間を奪われる。
これでは、愚痴も言えなくなってしまいます。
あなた自身に心当たりがないからといって、監視対象にならない保証なんてありませんよ。
友だちが、デモや集会に参加したことがあるかもしれないし、その親や配偶者がそうかもしれません。
そんなことを、いちいち心配しながら暮らさないといけないなんて、やってられますか?
共謀罪の条文案には
「実行前に自首した者はその刑を減軽し、または免除する」という「自首減免規定」が盛り込まれています。
つまり、密告スパイが警察に「自首」してしまえば、
スパイ本人は助かる一方で、その他大勢が一網打尽!なんてこともあるのです。
それに、さっきまで仲間だった人が、急に捕まるのが怖くなって、
自分だけ助かろうと密告者に変身してしまうこともあるかもしれません。
あるいは、別の目的を持って…(密告が、本当だなんて保証はどこにもありませんからね)
前回とまったく同じ話をします。
警察官が、知人を通じて一般人に拳銃を密輸入させて、要するに自作自演で犯罪をでっちあげた上に、みんなして裁判でウソを言ってごまかそうとした(だまされて拳銃を持ってきちゃった人が懲役2年になった)って事件が過去にありまして、その再審無罪判決が、今年の3月7日に出されたばっかりなんです。
警察って、犯罪のでっちあげをすることがあるんです。現実に。
共謀罪ができたら、こういうことが今以上に簡単に、できるようになりますよ。
権力にとって都合の悪い人がいる集団を、陥れるために「共謀罪」をでっちあげる。
そんなことができる権限を、警察に与えたら大変なことになりかねません。
「私は、権力にとって不都合な言動なんてしないから大丈夫…」と今は思っていても、
人生って、いつなんどき何があるか分からないものです。
3.11をきっかけに、それまで考えもしなかったのに、デモや集会に行くようになった人がたくさんいるんです。
あとで無罪になったって、留置場で勾留されていた時間は戻って来ません。
この時間で、人が失うものって、ものすごく大きいです。
(通勤しながらこれを読んでいるあなた、「痴漢冤罪で捕まったって、10日で出られるなら問題ないよ」って言われたら納得できますか?)
後ろ暗いところなんて無いつもりでも、監視の心配をしながら過ごさなきゃいけない社会なんて、居心地が悪すぎるじゃありませんか。