「この間選挙終わったばっかりなのに、また選挙…」と思われるかもしれませんが、
関心を絶やさずに、投票に行きましょう。
地方政治だって、私たち主権者が政治家に憲法を守らせるための、意思表示の大切な場です。
さて、この東京都知事選ですが、
自民党が推す候補を応援していた石原慎太郎元都知事が、またもの暴言で世の中を騒がせている模様。
http://www.asahi.com/articles/ASJ7V5VTKJ7VUTFK015.html
野党が推す候補のみならず、自民党所属の女性候補・小池百合子候補のことも激しい言葉で批判、いや罵倒したとのこと。
朝日新聞は「批判」という言葉をつかっていますが、
「厚化粧の女にまかせるわけにはいかない」は批判ではありません。
ただの侮辱、そして、(自分にとって性の対象とならない)女性を一段も二段も下に置いて踏みつける、
自分たち(健康で健常で、日本出身で日本国籍で異性愛者の男性)より劣った存在とみなす、
れっきとした差別意識の顕れです。
石原元都知事だけではなく、こういった差別意識をもった政治家たちが、
安倍政権下でたくさんの“女性輝く(はずない)事案”を大量に生み出してきました。
(“女性輝く「はずない」アベ政治年表”:http://www.asuno-jiyuu.com/2016/06/blog-post_8.html)
今回は「厚化粧」呼ばわりで女性ヘイトを真正面から浴びるはめになった小池候補ですが、
ここで「女性蔑視は許さない!」と立ち上がってくれるなら、
「よくぞ言ってくれました!」と拍手の一つも送りたくなるところ。
しかし、彼女のこれまでの言動を見ていると、
ほかでもない、彼女自身が、“女性輝く(はずない)価値観”に染まりきった人であることがよくわかるのです。
とても悲しいことですが。
まとめると、小池百合子候補は
・男女共同参画を「性差の否定」と誤解(ウソ?)して反対する団体に所属
・少子化の原因を「女性/男性はこうあるべき」に反している人のせいにする
・待機児童は、子どもを保育園に押し込めば解決すると思っている。
つまり、この間の議論をぜんっぜんわかってない、関心がない
・都の責任ではなくて、ボランティア・民間人に頼る
・発達障害を「伝統的子育て」で防止する!という団体にかかわった履歴を隠す
といった、「女性輝く(はずない)言動」満載な方なのです。
まず、あすわかが“女性輝く(はずない)”として取り上げてきた数々の事案、
これらの根源となっているらしき思想が、「日本会議」ホームページの活動方針に掲げられています。いわく、
「近年は、夫婦別姓を導入する民法改正案や男らしさや女らしさを否定する男女共同参画条例が各県で制定され、子供や家庭を巡る環境がますます悪化しています。」
男女共同参画=男女差の否定なんて悪質なウソだし、
姓を変えたくない人に我慢をさせないと成り立たない家族って何なの、と思うのですが、
(聞き飽きた話かもしれませんが、安倍首相、そして安倍内閣の閣僚の多くが「日本会議」所属です)
日本会議がうたう日本のあるべき家族観というのは、
「男は、女はこうあるべき」と国家がうたいあげ、それに外れた生き方は王道として認めない、というものにほかならないといえますね。
こんな家族観で、女性候補を「厚化粧」呼ばわりする人を非難はできないでしょう。
(※ちなみに、石原慎太郎氏は「日本会議」代表委員です)
そして、小池百合子候補も、この日本会議と非常に、非常に関係の深い議員の一人です。
日本会議を支援する、「日本会議国会議員懇談会」という国会議員の団体があります。
ちょっと細かいのですが、「日本会議広島」ホームページが紹介しているフライデーの記事で、
「日本会議国会議員懇談会の主な役員・メンバー(2014年4月1日現在の役員名簿参照)」に名前を連ねています。
http://jp-pride.com/topic/post-80.html
それだけではありません。
こちらをご一読ください。
https://www.yuriko.or.jp/bn/column-bn/colum2000/colum000801.shtml
引用します。
「少子高齢化と称し、数兆円規模の予算が投入されてきたが、多くは保育、子育て支援であって、直接の少子化対策ではない。私は政策決定の場で違和感を訴えてきたが、男性諸氏にはおわかりにならないようだ。
問題は、今時の女性が結婚に価値を見いださず、結婚したいと思わなくなったことにある。「この人の子供を生みたい」という気にならないことにある。」
「社会心理学的には、女性はどんなに社会的、経済的に強くなったとしても、どこかで、誰かに守ってもらいたいという「シンデレラ・コンプレックス」を持つものである。ところが、最近の男性は女性化する一方で、むしろ自分が守ってもらいたいような母性愛を求める傾向が強いようだ。」
あ、あの…
「女とはこういうもの」と、押しつけないでください。迷惑です。
「最近の男性は…むしろ自分が守ってもらいたい」それって悪いことなんですか?
なぜかこう、男とは、女とは、を強調する立ち位置から離れられないようなのです。
ほかにもあります。
こちら→https://www.yuriko.or.jp/senkyo/seisaku/ は、小池候補の政策・理念ですが、
「「待機児童ゼロ」を目標に保育所の受け入れ年齢、広さ制限などの規制を見直す。
保育ママ・保育オバ・子供食堂などを活用して地域の育児支援態勢を促進する。」
とあります。
えっと…
待機児童を減らすために保育所の広さ制限などの規制を見直す、って、
つまり、今以上に保育園に子どもを押し込む、ってことですよね?
保育士さんというお仕事が、重労働の割にお給料で評価されていないこと、
それどころか負担が重すぎて続かない、もたないという話をしていたはずなのに、
いったい何を聞いていたの?
「子どもの世話は親が自分で何とかしてください、政策なんてやりたくない」
という本音がなければ、こんな雑なことにはならないでしょう?
子ども食堂って、最近増えていますよね。
民間のボランティアです。
保育ママも、民間人です。
これって結局、「都で何かを設けるということはしません。民間のみなさんの自助・共助でがんばってください」ということでしょう?
自民党憲法草案は、24条1項を「家族は、互いに助け合わなければならない。」とし、
家族の助け合いを国民の義務として(つまり、そこを国家が助ける義務はありませんよ、と)うたっているのですが、
小池候補の価値観は、言葉こそ慎重に選んではいますが、
つまりは、自民党憲法草案の価値観に乗っかっているのです。
さらにさらに。
https://archive.is/x6tL7
これはWEB魚拓ですが、現在の同じページhttps://www.yuriko.or.jp/blog/archives/schedule/201205 と比較すると、
「親学」推進議員連盟勉強会に出席したとの記載が消されています。
「親学」とは、親学推進協会なる団体http://www.oyagaku.org/ が推進している、子育てについての考え方のようなのですが、
これを一挙に有名にしたのが、大阪維新の会が大阪市議会で提案した「家庭教育支援条例案」です。
読んでいただくとわかるのですが、
「乳幼児期の愛着形成の不足が軽度発達障害またはそれに似た症状を誘発する大きな要因であると指摘され、また、それが虐待、非行、不登校、引きこもり等に深く関与していることに鑑み、その予防・防止をはかる」(15条)
「わが国の伝統的子育てによって発達障害は予防、防止できるものであり、こうした子育ての知恵を学習する機会を親およびこれから親になる人に提供する」(18条)
この条文が、「発達障害は親のせいだというのか」と大問題になりました。
結局、この条例が成立することはなかったのですが、
実は、この「家庭教育支援条例案」の21条に、こんなことが書いてあるのです。
「親としての学び、親になるための学びを支援、指導する「親学アドバイザー」など、民間有資格者等の育成を支援する」
…「親学アドバイザー」…?
これ、「親学推進協会」が認定している一般資格なのです。
そして、また出ました「伝統的子育て」。
日本会議の大好きな「伝統的家族観」の下で行われる育児によって、
なんとびっくり、先天的な要因で発生することがわかっている発達障害を予防できるというのです。
どんだけ魔法使いなんですか、親って。
結論、まとめます。
都知事選で、本当の「女性の味方」を選びたいなら、
女性の候補というだけで飛びついてはダメなのです。
今までなにをしてきたか。
これから何をしようとしているか。
慎重に判断してください。
そして、それは候補の憲法観を見れば、だいたいわかるのです。
(あすわかファンの方は、もうお分かりですね。)