2014年4月30日水曜日

集団的自衛権の実例~うわ、結局戦争じゃん~ 3



 国立国会図書館が5年前にまとめた、集団的自衛権行使の
過去の実例集「集団的自衛権の法的性質とその発達―国際法上の議論―」(http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/refer2009.html)。




  集団的自衛権の行使、というものが、結局どういうことなのか
実態をみていこう!というシリーズの第3弾(ラスト)です。
こうして見ていくと、集団的自衛権の行使が実に「戦争そのもの」で
あること、改めて分かりますね。
 安倍政権はしきりに限定的な行使だ、とか、必要最小限度だ、
とか説明して国民を納得させようとしていますが、その武力行使が
限定的かどうか(必要最小限度)なんて、結局分かりっこないのです。
一度戦争を始めてしまったら、もう戦うしかないのですから、政権側
にしてみれば、終わった後に「必要最小限度でした」と言ってしまえ
ばいい、というだけの話です。
 だーれも待ち望んでいない解釈改憲。今年の憲法記念日が、
国民全員にとって、集団的自衛権行使というものの実態を知る
きっかけになりますように。そして憲法が定められていることの
意味、憲法を勝手に政権が読み替えるということ(解釈改憲)の
不条理を知るきっかけになりますように。



8 リビア/チャド(1981年)、フランス/チャド(1983年、1986年)
 1981年12月、チャドのグクーニ政権の要請に基づき、リビア
が軍事介入した。リビアは、自国の介入はチャド政府の要請と
1980年6月に締結されたチャド・リビア友好同盟条約に基づく
もの(集団的自衛権の行使)であり、リビア軍のチャド駐留はあく
までも一時的なものであることを強調した。そして1981年11月、
リビアはチャド政府の要請に従って撤退した。(グクーニはその後
失脚、リビアへ亡命。)
 1983年6月には、リビアの支援を受けたグクーニが反撃を
開始したため、内戦が再び激化した。そこでチャドのハブレ政権は、
フランス軍の介入を要請した。フランスは、1976年の軍事協力
協定に基づくものとして自国の行動の正当性(集団的自衛権の
行使)を主張した。1984年9月、フランスとリビアは、チャドから
の同時完全撤退に合意したが、最終的にリビアは撤退しなかった。 
 1986年2月、チャドでは再び内戦が激化し、政府軍が仏空軍の
支援を受けてグクーニ派反政府軍の攻撃に反撃する事件も起きた。
この時もハブレ政権は、国連憲章第51条に基づいてフランスに
軍事介入を求めていた。フランスは、国連安保理において、軍事
介入はチャド政府の要請に基づき、国連憲章第51条に従った
行動であると説明した。




9 イラクによるクウェート侵攻(1990年)
 米国、西欧諸国、アラブ諸国は、クウェート及びサウジアラビア
政府の要請を受け、個別的及び集団的自衛権を行使し、決議第
661号に違反する船舶の通航を阻止すると安保理に報告した。




10 ロシア/タジキスタン(1993年)
 1993年8月,ロシア・カザフスタン・キルギスタン及びウズベキ
スタンは、アフガニスタンの支援を受けた反政府勢力の攻撃を
ロシア国境警備隊とタジキスタンに対する侵略とみなし、CIS集団
安全保障条約と国連憲章第51条に基づいて集団的自衛権を行使し、
タジキスタンに軍事援助を含む緊急支援を行ったと国連安保理に
報告した。




11 米国/アフガニスタン(2001年)
 米国は、国連安保理に対し、9月11日に自国に対して武力
攻撃が行われたことから、他国と共に個別的又は集団的自衛権を
行使したと説明した。




http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/refer2009.html




* シリーズその1はこちら↓
https://www.facebook.com/#!/asunojiyuu/posts/665815613453634




* シリーズその2はこちら↓
https://www.facebook.com/#!/asunojiyuu/posts/666652013369994

「集団的自衛権」とは書かないけど集団的自衛権を行使できるようにします!……って何それ?

毎日新聞の報道によると、政府・自民党は、憲法解釈を変更する政府方針に「集団的自衛権」とは書かず、「自衛権」とだけ書くことを検討しているのだそうです。

<集団的自衛権>憲法解釈の変更案 「集団的」を表記せず
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140429-00000013-mai-pol

え、ということは、
「集団的自衛権」と書いてしまうと公明党や国民などから反対されるかもしれないので、
「集団的」とは書かないでおきましょう、でも内容からいえば集団的自衛権を行使できるようにしましょう!

ということを考えているわけですね。

……なんでしょうかそれは?

「集団的自衛権」と言っても言わなくても、結局、本質のところは
「日本の領土や領海が攻撃を受けていないにもかかわらず、日本が武力行使に参加することを認める」
ことにほかならないのです。
単なる言葉遊びじゃないでしょうか。

実は、自民党が2012年4月に発表した日本国憲法改正草案でも同じようなことが行われていました。
草案9条2項に、「自衛権の発動を妨げるものではない」と書いてあるのですが、
条文上はどこにも「集団的自衛権」という言葉は出てきません。
しかし、自民党が作成したQ&A(10ページ)で
「個別的自衛権や集団的自衛権が含まれていることは、言うまでもありません。」
と書かれています。
こうなると、「集団的自衛権」と条文に書いてしまったら国民投票で通らないかもしれないから、「自衛権」とだけ書いたんじゃないか、と思いたくなってきますね。

こんな言葉遊びでごまかすのではなく、
日本の領土や領海に対して攻撃がない場面でも日本が武力行使できるようにするかどうか、
国民がきちんと考えてきちんと議論して、国民自身が決めないといけないんじゃないでしょうか。

公明党さん、まさかこんなことでごまかされたりしませんよね????

2014年4月28日月曜日

集団的自衛権の実例~うわ、結局戦争じゃん~ 2


 国立国会図書館が5年前にまとめた、集団的自衛権行使の
過去の実例集「集団的自衛権の法的性質とその発達―国際
法上の議論―」
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/refer2009.html)。
 集団的自衛権の行使というものが、結局どういうことなのか
実態をみていこう!というシリーズの第2弾でーす。
知識を増やして、憲法記念日に備えましょう~(^^)/


4 米国/ベトナム(1965~75年)
 米国務省は、北ベトナムに対する軍事行動の根拠として、
南ベトナム政府からの要請があったこと、及び国連憲章第51
条に基づく集団的自衛権と東南アジア集団防衛条約に基づく
防衛義務を挙げた。(→泥沼のベトナム戦争のきっかけは、
集団的自衛権行使ということ)


5 ソ連/チェコスロヴァキア(1968年)
 自由主義思想の影響が自国に及ぶことを恐れたソ連や
東欧諸国は、1968年8月にワルシャワ条約機構軍を編成
してチェコスロヴァキアに軍事介入し、改革運動を鎮圧した。
ソ連は、国連安保理において、軍事介入はチェコスロヴァキ
ア政府の要請に基づくものであり、国連憲章及びワルシャワ
条約に規定された集団的自衛権に完全に合致すると説明した。


6 ソ連/アフガニスタン(1979年)
 1979年12月、ソ連はアフガニスタンに軍事介入した。
ソ連は国連保理において、この軍事介入は、アフガニスタン
政府の要請に基づくものであり、二国間の友好協力善隣条約
及び集団的自衛権を規定した国連憲章に一致した行動である
と説明した。


7 米国/ニカラグア(1981年)
 米国は、コントラ(ニカラグアの親米反政府民兵)への軍事
援助、資金供与を行うだけではなく、ニカラグアの港湾に機雷
を敷設し、空港、石油貯蔵施設などを攻撃した。そのためニカ
ラグアは、米国の行為を国際法違反であるとしてICJに提訴した。
これに対し米国は、自国の行為を、ニカラグアによるエルサル
バドル、ホンジュラス、コスタリカへの武力攻撃に対する集団的
自衛権の行使であると主張した。後に国際司法裁判所(ICJ)で
紛争になり,ICJはニカラグアに対する行動を集団的自衛権の
行使とする米国の主張を退けた(!)。


* シリーズその1はこちら↓
http://www.asuno-jiyuu.com/2014/04/blog-post_4579.html

2014年4月26日土曜日

~今こそ集団的自衛権を考えよう~

昨日、札幌で、あすわか会員がコーディネーターやパネリストとして参加した企画が開催されましたので、そのご報告です☆

まず、清末さんという大学院准教授からご講演がありました
集団的自衛権について
自ら敵を作る危険がある
自らを危険に追い込む可能性がある
多くの民間人の参加・強制が現実化する、と指摘され
アフガニスタンを例にとって
集団的自衛権の行使が、アフガニスタン民衆に幸せをもたらさなかった、ことの紹介がなされました。

次に、
あすわか会員の猿田さんからの講演
日本に対するアメリカの要請が一部の知日派の方々によってなされていること
日本からアメリカへの情報提供が少ないこと
アメリカでは日常的に軍隊がそばにあり、日本では軍隊の存在が非日常であるという決定的な違いがあること、の紹介がなされました。

そして
お二人をパネリストとして、あすわか共同代表の神保さんをコーディネーターとしてのパネルディスカッション

・限定的容認と言っても、自衛隊の海外派遣があっという間に本来任務になったことからすれば、集団的自衛権もあっという間に拡大される危惧のあること
・石破氏によれば日本の集団的自衛権行使を歓迎しているらしいASEANでは、紛争を棚上げしながら非軍事による紛争解決が進められているため、日本の集団的自衛権の行使は求められていないと思われること
・オバマは、訪問した国を悪くいうことができないので、日本がやりたいのであれば反対しないよ、という意味で発言をしたのではないか、その証に対中関係をエスカレートすることは「深刻な過ち」であると述べていること
・紛争当事者はいかに紛争を避けるのかということを考えるが、現政権にはそのような姿勢があるのか不明であること
・外交の基本は信頼を醸成していくこと
など、お二人からお話しいただきました。

質疑応答の途中で、某有名裁判の元当事者の方からの発言があるなど、多いに盛り上がりました。

自らの住む国の行く末について、世論を形成し、国会議員へ声を届ける重要性を再確認して、このイベントは終了しました。

海外体験のあるお二人のお話をきいて、
武力行使の実態、外交の実態を知ることが出来た気がします


あすわか主催ではなかったですが、あすわかメンバーが出ていたものですし、
とても勉強になったので、今回載せることにしました!

明日16時~! 憲法カフェ@中野


  中野のカフェレストラン「ウナカメ una camera livera」にて、

憲法カフェが開催されます。講師は、あすわか会員の伊藤
朝日太郎弁護士☆
 ぜひぜひお気軽においでください(^^)/






法律をかこむ食卓
~弁護士あさひたろうさんといっしょに

あれこれ話しながらご飯を食べよう!~

日時: 4年27日16時
 



料金: 600円1ドリンクオーダー...
            投げ銭ビュッフェつき! 



会場住所: 東京都中野区中野2-12-5 メゾンリラ101
   
https://www.facebook.com/events/260592237456590/?source=3&source_newsfeed_story_type=regular

集団的自衛権の実例~うわ、結局戦争じゃん~ 1



 皆さま,国立国会図書館はご存じのことと思います。



 でも,この図書館はみなさんの町にある私立図書館や
学校の図書館と全く違う性質の図書館だということは
ご存じでしょうか?
 「国会」図書館は,一体何が普通の図書館と違うのでしょうか…




 国会図書館は、国立国会図書館法という法律に基づいて
設置されています。そこにはこう書かれています。




第2条 (目的)
「国立国会図書館は、図書及びその他の図書館資料を蒐集し、

国会議員の職務の遂行に資するとともに、行政及び司法の
各部門に対し、更に日本国民に対し、この法律に規定する
図書館奉仕を提供することを目的とする。」




 つまり、国会議員のお仕事を助けるのが第一の目的になっているわけです。



 さらにさらに-、お仕事に関する15条には、国会図書館内の
「調査及び立法考査局」が、①要求に応じて、両議院の委員会に
懸案中の法案又は内閣から国会に送付せられた案件を、分析又
は評価して、両議院の委員会に進言し補佐するとともに、妥当な
決定のための根拠を提供して援助する。②要求に応じて、又は
要求を予測して自発的に、立法資料又はその関連資料の蒐集、
分類、分析、飜訳、索引、摘録、編集、報告及びその他の準備をし、
その資料の選択又は提出には党派的、官僚的偏見に捉われる
ことなく、両議院、委員会及び議員に役立ち得る資料を提供する、
と書かれています。



 国会の委員会からの依頼によって調査する場合と,独自に
予測をして調査する場合とがあるんですね。
 調査員が独自に予測して行った調査(予測調査といいます)の
結果は論文としてまとめられ、その一部は,国立国会図書館が
発行する「リファレンス」や「調査と情報-ISSUE BRIEF-」という
刊行物となって,WEB上で公開されています。




 ところで,というかここからが本題。




 「レファレンス」2009年1月号の「集団的自衛権の法的性質
とその発達―国際法上の議論―」
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/refer2009.html),は
今議論になっている集団的自衛権について調査を行っており,
よくまとまった論文となっています。
 もう,5年も前に国会図書館は独自に予測して、こんな論文を
まとめあげていたのですねぇ。国会議員が何を考え、どういう
議論が巻き起こるであろうか…その「要求」を「予測」する精度は
かなりのものです(あっぱれ!)。




 この論文には、過去に世界中で主張された集団的自衛権の
実例が網羅されています(後述)。
 今,政府は,集団的自衛権を「制限的に解釈」するから危険は
ないんだという趣旨の発言を繰り返していますが,果たして集団
的自衛権が制限的に行使されてきたかどうか?は,過去の実例
をみれば一目瞭然です。




 とくとご覧あれ、ということで、数回に分けて、集団的自衛権の
実例を紹介していきますね!




1 ソ連/ハンガリー(1956年)
 1956年10月、ハンガリーにナジ政権の復帰を求める反政府
デモが起きると、ソ連の軍隊がハンガリー領域に進入し大規模な
戦闘が行われた。ソ連は、国連安保理において、ハンガリー政府の
要請に基づき、ワルシャワ条約に従ってハンガリーを防衛するため
に行動した(集団的自衛権の行使である)と説明した。
 しかしこの要請は、既に首相に復帰していたナジではなく、ゲレー
第一書記が行ったものであり、正当な政府による支援要請といえる
かは疑わしい。その後ナジ首相は、ワルシャワ条約機構からの脱退
とハンガリーの中立的地位を宣言し、連立政府を組織したが、ソ連
軍はハンガリーの抵抗を打破し首都を占領した。国連では、ソ連の
撤退を要請する安保理決議案がソ連の拒否権行使により否決され
たため、米国の要請により緊急特別総会が開催された。緊急特別
総会でもソ連は、ハンガリー正当政府の要請に基づき、ワルシャワ
条約に従って軍隊を展開したと主張した。




2 米国/レバノン(1958年)
 諸宗教・宗派のモザイク国家であるレバノンでは、イスラム教シーア
派その他の貧困層の人口増加に伴い、支配階級にあるキリスト教
マロン派に対する不満が高まりつつあった。その後内乱が発生すると、
レバノン政府は、アラブ連合共和国がレバノンの内政事項に干渉して
いると国連安保理に報告した。安保理はレバノンに国連監視団を派遣
することを決定した。しかし7月にUNOGILは、アラブ連合共和国からの
干渉の証拠を見出せないとの報告を安保理に提出した。これに不満を
持ち、また同時期に起きたイラクのクーデターの影響が自国に及ぶこと
を懸念したレバノン政府は、米国に対し軍事介入を要請した。
 これを受けて米国はレバノンに派兵し、安保理において、自国の行動
は国連憲章第51条による集団的自衛権に基づいた行動であると説明した。




3 英国/ヨルダン(1958年)
 ヨルダンはアラブの中でも最も親西欧的な国であったが、1950年代
初めから国民によるアラブ民族主義運動が高まっていた。ヨルダン
王室は、1958年2月に、同じく王制を敷くイラクとアラブ連邦を結成し、
王制を守ろうとした。しかしその5か月後、イラクではクーデターにより
王制が倒れ、共和国が誕生した。
 そこでヨルダンは、アラブ連合共和国による脅威からヨルダンの
独立を守るべく、国連憲章第51条に基づき英国に軍事援助を求めた。
 英国は、直接又は間接侵略に対抗するための支援要請を受けた国
はそれに応える権利を有すると強調し、ヨルダンの要請を受け、その
領土の保全と政治的独立を守る目的のため派兵した(集団的自衛権
を行使した)と安保理で説明した。

明日! 市民シンポジウムのご案内



市民シンポジウム
憲法九条解釈の変更をめぐる法と政治
―集団的自衛権を中心にして─





 明日(4月27日)のイベントのご案内です。
 当会会員の武井由起子弁護士がコーディネーターを務めます。
 (そうそうたる学者さん達を前にすでに緊張気味だとか…)



 事前予約とかは不要ですので、ぜひぜひお気軽に足を
お運びください!日々のニュースを追いかけるだけだと
どうも分からないことなど、少なくないかと思います。
頭の中をスッキリ整理するためにも絶好の機会です。




市民シンポジウム
憲法九条解釈の変更をめぐる法と政治
―集団的自衛権を中心にして─




日時: 2014 年4 月27 日(日)13時半~17時
    (13時開場)



会場: 明治大学駿河台キャンパスリバティ・タワー6 階
    1063 番教室





申し込み不要・無料




<報告者とテーマ>
●渡辺治(一橋大学名誉教授、政治学)
「安倍政権の改憲・軍事大国化構想と集団的自衛権行使容認」


●山形英郎(名古屋大学教授、国際法学)
「国際法から見た集団的自衛権行使容認の問題点」


●浦田一郎(明治大学教授、憲法学)
「政府の憲法解釈と集団的自衛権行使容認論」


●君島東彦(立命館大学教授、平和学)
「東アジアの平和をどのように構想するか
─米国の安全保障政策と平和運動、中国の平和研究にも触れて─」




<お誘い>
 民主主義科学者協会法律部会は、「民主主義法学の発展を
図ることを目的とする」、多くの分野の法学研究者が参加する
学会です。本学会は平和と民主主義のための研究団体連絡
会議と日本民主法律家協会の後援をいただき、「憲法九条
解釈の変更をめぐる法と政治――集団的自衛権を中心にして」
のテーマの下で市民公開のシンポジウムを開くことになりました。
 従来軍事力に対する憲法的制約とされてきたものを、政府の
憲法解釈の変更によって外そうとする動きが強まっています。
それは実質的な改憲ではないか、その中でも集団的自衛権
行使の容認は戦争を事実上日本で可能にするものではないか
という問題などが指摘されています。
 4月に「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が
集団的自衛権行使容認の報告を出し、時間をおかず閣議決定
を行い、決定を通常国会に報告することが目指されています。
 この問題について報告者が多角的に分析し、若手研究者・
実務家がコメントを行い、市民の方々とともに考えたいと思って
います。是非積極的にご参加ください。




<主催>
民主主義科学者協会法律部会




<後援>
平和と民主主義のための研究団体絡会議、日本民主法律家協会




<連絡先>
〒182-8570 東京都調布市国領町8-3-1
東京慈恵会医科大学内小澤隆一研究室
電話03-3480-1151(内線2241)

2014年4月24日木曜日

出ました「おっさんのファンタジー」!

昨年10月に大阪で開催した「一夜限りかもしれない(?)24条の会」。
集団的自衛権をめぐる騒ぎの陰で、一夜限りで終わらせてはいけないなぁ、と思うような出来事が続いています。


ちょっと、このブログ記事を見てみてください。
http://ameblo.jp/toshio-tamogami/entry-11828954845.html


「女性の社会進出について」。


女性が働かなければならない社会は、女性の人生選択の自由を制約することになる。」
なんでなんで?
いまのところ日本の女性は、仕事をすることも選べるし、専業主婦になることも選択できる。」
まぁね…
しかし女性が全員働く社会では、専業主婦の道を選ぶことは出来なくなる。
働く女性を支援しようと保育園や託児所をどんどん増設することは、女性に働くことを求め、
逆説的であるが、少子化を進行することになるのではないかと思う。」


そういえばそうかも…と思ってしまった人もいるんじゃないでしょうかね。
でも、その前にはこんなふうに書いてあります。


男女は結婚をして一つの家庭を築き、
男が外に出て働き、女は子供を生んで家庭を守る、
その伝統的な考え方に立ち返るべきではないのか。」


ほう…。
男が外に出て働き、女は子供を生んで家庭を守る、
それが伝統的な考え方なんでしょうか…?


その昔、日本に住む人の大半が農民だったのではないでしょうか。
農民の家で、男だけが畑仕事をし、女は家にいましたか?
商人の家で、店に出るのは男だけでしたか?


子どもを産まないで暮らしたい人、
同性のパートナーと暮らしたい人、
パートナーはいらないと思っている人、
家事よりも外で働くのが得意な女性、
外で働くよりも家事が得意な男性、
パートナーと二人でそこそこ働いて、家にいる時間も大切にして生きていきたい人。
こういった人たちの生き方は否定されるのですか?


男は外で働き、女は家庭を守る。
これが昔からの日本の伝統だって考えていることを、24条の会では「おっさんのファンタジー」と名付けました。
昔からの日本には、同性愛もあったし、家庭の在り方もいろいろだった。
男と女が結婚して、男は仕事、女が家庭、なんて、つい最近作られた家族像にすぎません。


家族の作り方(あるいは家族を作らないこと)、人との結びつき方が自由であること。
それは、王様に与えられて初めて実現する自由ではなくて、人が生まれながらにして持っている自由です。


ウーマンリブ運動が始まり、男女の生活、仕事上の差があることが問題になり、
男女の差を一切なくすべきだという意見が出てくるようになって、」


だーかーらー!男女の差を一切なくすべきだなんて、誰が言ったの?
24条の会でも話題に上りましたけど、両性の平等=性差を一切否定すること、なんて言ってませんから!
育鵬社教科書もそうですが、ウソもたいがいにしていただきたい。


人類が長い歴史の中で造り上げてきた最適社会」といいますが、
すべての人が自分らしく、固定観念に縛られないで、進みたい道を行く状態こそが、
その人の力を最大限に引き出せる「最適社会」なんじゃないでしょうか。


子育て、年金、介護など何でも公務に頼るばかりではなく、
もっと家庭がその役割を拡大する方向に進むべきという気がしている。」
では、福祉は何のためにあるのでしょうか。
家族にすべてが覆いかぶさっていた時代に、それを一身に背負って苦しんでいたのは誰でしょうか。


すでに、自民党憲法草案は先取りされつつあるのでしょうか。




続いてはこんなニュースです。
何かというと、日弁連が石原元東京都知事に対し警告をしました。
性的少数者に対し、差別的発言をしたというものです。
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/complaint/year/2014/140422.html


性的なアイデンティティを否定することは、その人「個人」を尊重しない、ということ。
自民党憲法草案では、13条の「個」の字が消えています。


男と女とでつがいにならなきゃいけないなんて、それもまた「おっさんのファンタジー」です。
自分にウソついてまで、無理してしなきゃいけないことじゃない。
その人らしく生きればいいじゃないですか。


立憲主義の下では、ごく自然な、当たり前のことですよ。