2017年9月26日火曜日

再掲載 「候補者どのヒトもイマイチ…」と悩む方へ

28日解散ですって!
また700億円かかるんだ・・・




昨年の参議院選挙の直前にあすわかでは、以下の投稿をしました!
いま読んでも、新鮮です!(笑)


2016年は、選挙についての報道が全然なされない、という異常事態でした
いまは、政党の話ばっかりで、政策とかがあんまり報道されていない印象ですね
選挙について、必要と思える情報が少ない (>_<)


では、以下、昨年7月7日の記事からの引用です。


ーーーーーーーーーーーーー以下引用ーーーーーーーーーーーーーーー






情報が少ないとはいえ、政見放送だったり街頭演説だったり、
選挙公報だったり、集めようと思えば情報は集まります。
そしてこの3年半のアベ政治を振り返ったり、改憲の行方を考えたり、
じっくり考えて、主権の行使(投票)してください。



  「でもどの候補者(政党)もイマイチで、ピンと来ないし」という方、
いらっしゃいますよね、きっと!

 そういう悩める方々へ、岡田憲治教授(専修大学)のご著書
『ええ、政治ですが、それが何か? 自分のアタマで考える政治学
入門』(明石書店)の一節をご紹介します。
 
 あなたの「選挙」観が、ガラリと変わるかもしれません☆



++++++++++++++++++++++++++



  選挙にいかなかった人にその理由を尋ねると、「ぴったりとはまる
ヒトがいなかった」とか「政策が一致するヒトがいなかった」などという
答えが返ってきます。つまり「ベスト・チョイスをさせてくれる候補者が
いなかった」というのが言い訳になっています。
 しかし、100兆円規模の予算を振り分ける、広大な政策領域を
抱える中央政府のメンバーに、大半の政策的一致を求めること自体が
困難ですし、ベスト・チョイスにならないなら投票しないということなら、
永遠に投票にいかないことになるでしょう。
 選挙とは、最良の選択をするためにあるのではありません。
不完全なる自分の写し絵のような政治家の中から、「最悪の者が
当選しないように、ベスト・チョイスではないけれども、ワーストを
見据えて、あえて自分の意に必ずしも添わない者でも勝たせる」ため
にいくという側面があるのです。


 …(略)…


 「想いを託した一票」があることは否定しませんが、もしドングリの
背比べとなるなら、「よりましな選択」とすることで、結果的に事態を
良くすることもできますし、たとえ背比べで負けても、薄氷を踏むよう
なギリギリの勝利をした者たちに次の選挙まで好き勝手させない
緊張感を与えます。
 政治は、最良の選択ではなく、最悪を避けるために「力添え」をする
ことです。



 (『ええ、政治ですが、それが何か? 
     自分のアタマで考える政治学入門』239頁~240頁)

9月30日(土) 憲法カフェ@米子「ちいさいおうち」☆



 伊藤朝日太郎弁護士、フットワークが軽いので全国を飛び交って
憲法カフェを展開しています。博学で守備範囲が広く深く、とにかく
話が面白い!憲法カフェのリピーターもたくさんいらっしゃいます。
 今週末は、米子に再びおじゃましま~す☆

 鳥取エリアの皆様、なかなかない機会ですので、ぜひご参加ください(^^)/


+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*

 伊藤朝日太郎さんに教わる、
           はじめての「憲法カフェ」。



日時: 2017年9月30日(土)15:00~16:30



定員: 15名



参加費:大人1000 円
     18歳以下の子どもと学生(大学生含む)500円
     (お茶とお菓子付き)




会場: 皆生の居場所「ちいさいおうち」
     (〒683-0001 鳥取県米子市皆生温泉2丁目9-36)

※ 小学生以下の子どもさんは保護者同伴でお越しください。


※ 小さな子どもさんには無料託児があります。
  9月22 日(金)までに予約してください。


※ 駐車スペースに限りがございますので、車でお越しの際は近隣の
  駐車スペースをご案内します。


概要: 講師はあすわかメンバーの伊藤朝日太郎さん。今年の子どもの
   人権広場の総会にお招きし、あすわかが出版した憲法絵本にちなみ
   「今こそ知りたいー日本国憲法ー」という講演会にご登壇いただきました。
   その際のお話が大変分かりやすく、気さくなお人柄にも惹かれて、再度
   米子にお招きしたいと思いました。
    憲法ってそもそも何?子どもに憲法は関係あるの?という素朴な疑問
   から、権力はどうして怖いの?なぜ個人の尊重が必要なの?という話、
   また、会場である子どもの居場所に関連して、家庭や学校はすべてでは
   なく、居心地が悪いのであれば逃げて良いし新しい居場所を探したり
   つくったりする権利がある、というお話もしていただけたらと考えています。
    加えて、子どもの人権広場にも弁護士は多数所属。憲法カフェってどう
   やったらできるかな?という点も教わりたいと思っています。
    「今まであんまり政治には興味なかったけれど、いい機会だから基本を
   おさえたい!」「子どもの将来が不安だから、しっかりイロハを学んでおき
   たい」という方、ぜひご参加ください。


問合せ:Tel 090-2409-7984(管理人:水田)
    Fax 0859-34-0029(安田・林・水田法律事務所内)
    E-mail / chisaiouchi@gmail.com


 家庭や学校とは異なる第3の子どもの居場所として、子どもの人権広場が
1998年より開放しているスペースです。2016年に建物をリニューアルし、
管理人が常駐する体制を整えました。月1~2回の「子どもの広場」の活動の
ほか、創作&アート活動・体験型自然学校・異文化交流などにも力を入れる
場所として再スタートしています。
  建物は小規模ですが、キッチン・ダイニングテーブル・トイレ・布団などがあり、
 おうちとしての最低限の機能を備えています。季節ごとに楽しめる植物を
植えた庭や、駐車スペースもあります。ちいさいおうちの活動に賛同し、子ども
や地域へ向けた非営利の活動にはスペースの貸し出しも行っています。


※平成29年度は、鳥銀青い鳥基金、ごうぎん鳥取文化振興財団より助成を
 頂いています。


主催:子どもの人権広場
  鳥取県西部を中心に保護者と教員と子どもに関わる専門家(児童養護
  施設職員、児童相所職員、弁護士、医師等)が、いじめ、不登校、虐待等、
  子ど達の今日的問題に真剣に取り組むために1996年2月に設立した
  団体です。
   活動の柱は、①会員の問題意識や悩みの交流、②子どもの権利に
  関する学習、③子どもの権利の保障と救済、④国連「子どもの権利条約」
  の普及、⑤子どもの居場所の設置、の5本。近年は、保育所の民営化問題
  や子育てしゃべり場、発達障害の早期気づきと支援のための米子市に
  おける全児対象の5歳児検診の実現に向けての活動に取り組んでいます。
   「ちいさいおうち」は⑤の活動です。とっとり子育て隊の一員です。
 
 事務局/安田・林・水田 法律事務所内
    (米子市東町296 電話0859-33-1019 Fax0859-34-0029)

2017年9月25日月曜日

あ、新党って、“ほぼ与党”な感じで改憲を目指すのですね。



 解散総選挙に向けて、各政党がざわざわと動いていますね。

 とってもびっくりしたのが、「日本のこころ」(←政党です)が、
小池都知事が少なからず関わる新党に合流したいという意向を
小池都知事に伝えたそうです。

 「日本のこころ」といえば、中山恭子氏、中山成彬氏などが所属
して、強硬な自主憲法制定」を主張し続けることが特徴の政党。
 改憲草案には、自民党のそれと同様、「個人の尊重」ではなく
国家と家の繁栄を目指すことを国民に義務づけたり、軍隊を創設
したり、近代民主主義国家の憲法とは相容れない条文がずらりと
並んでいます。
(「日本のこころ」の改憲草案はこちら
               → https://nippon-kokoro.jp/kenpou/ ) 

 小池都知事は以前から改憲への意欲を表明しているので、
「日本のこころ」とは思想的に親和性があり、このたびの中山氏たち
の合流を了解したそうです。
 
 「自民党はイヤだけど野党がだらしないから、第3の新しい勢力に
期待したい」みたいなモヤっとした雰囲気、社会にはけっこう漂って
いますね。
 でも、生まれようとしている新党は、つまり「国民の人権よりも富国
強兵」をモットーとする政党だということです。
 これってもう、与党ですね。

 投票する時には、憲法とか、人権とか、平和とか、どういうこと考えて
いるのかな?という視点から吟味してみてはいかがでしょうか。


 参考までに、「日本のこころ」中山成彬議員のツイートを添付しますね。
 なるほど、小池都知事と意気投合したそうです。





2017年9月22日金曜日

憲法前文の理想はどこへ。



 安倍首相が国連で、
 「北朝鮮に対してとるべきは対話ではなく圧力だ」と演説しました。
 会場がガラガラだったので(北朝鮮代表の方はたしかに熱心に
聞いていましたが)、安倍首相の国際社会における存在感のなさを
よく表していると思いつつ、北朝鮮への敵意をむき出しにしたあまり
にも好戦的な態度に、唖然としてしまいました。


 同じく訪米中の河野外務大臣は、招かれた大学での演説で、北朝鮮と
国交を結んでいる160カ国に対して「断交」を求めたとのこと。

 ちょっと、常軌を逸してはいませんか…

 自分が嫌いだからといって、他の人に「あいつとはもう絶交してよ。」
と言ってまわる人、ということですよね。


 こんな風に、関係を積極的に悪くしようという働きかけをする人達は、
その先にどんな明るい未来を描いているのか、不思議で仕方ありません。


 思えば、安倍政権は、常に「対話」も「議論」もしない権力でした。
 議論から逃げ、話をすり替え、時間を稼いだ末に、高まる批判をねじ
伏せるような形で強行成立させてきた法の数々。それは特定秘密保護法
であり、解釈改憲であり、安保法制であり、共謀罪でした。

 自分と考えの異なる人には敵意をむき出しにして「こんな人達に負け
ない」と排除する。誠実な対話、相互理解、そんな言葉とは縁の薄い
政権のような気がしてなりません。

 こういう4年半の道のりを振り返ると、現政権が見せる北朝鮮への
好戦的な姿勢も、一貫性があります(…褒めてるわけではありませんヨ)。

 憲法の前文の後半を、ちょっと見てみませんか。
 (旧かな使いは変えてあります。)

 「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互
の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するので
あって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼
して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。
 われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と
偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている
国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。
 われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏
から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する
ことを確認する。

 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに
専念して他国を無視してはならないのであって、
政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この
法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国
対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる。

 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげて
この崇高な理想と目的を達成することを誓う。」

 すごく高い理想に燃えて、さすが平和国家だなという前文です。
 自国の繁栄だけを目指しているのではないのです。
 全世界の国民がひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和の内に生存できる
国際社会を作ること、その営みに「国家の名誉をかけて」貢献すること
を目指しているのです。

 首相や外相は、憲法尊重擁護義務を負う身として、この前文を(いや
もちろんその他の条文も)読んで、少しでも実践して頂きたいと、
願ってやみません。

今週末! 武井由起子弁護士の講演@世田谷区立砧図書館☆


 衆議院を解散してまで、国会の審議(モリカケ問題の追及)から
逃げたい安倍政権です。

 「国会の軽視=国民の軽視」ですから、とことん民主主義という
システムが嫌いなのだなぁ、とうなだれる思いです。

 でも、うなだれてても仕方ありませんね。
 こんなに民主主義を嫌い、国民の「自由」を嫌う政権に、これ以上
政治の舵取りをまかせていいの?という不安を、「とりあえず憲法
知ってみよう」という前向きなエネルギーに変えてみませんか?
 「知は力」です!

 今週末、武井由起子弁護士が、世田谷の砧図書館で
憲法のキホンのキをお話しします。
 ぜひぜひご家族でお集まり下さい(^^)/


☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・


 第24回 きぬたとしょかんまつり 講演会


日時: 2017年9月24日(日)
   14:00~15:30 (開場13:30)



場所: 世田谷区立砧図書館 地下集会室
    世田谷区祖師谷3-10-4
    小田急線 成城学園前駅もしくは祖師ケ谷大蔵駅 徒歩7分
    駐車場はありませんので公共交通機関をご利用ください。


講師: 武井由起子先生(弁護士)


テーマ: 「憲法ってなあに?」
       ~日本国憲法の基本を知ろう~


対象: 小学生から大人まで


参加費: 無料


定員: 50名(事前に申し込みしてください)
   先着順、現在受付中



申し込み・問い合わせ先: 世田谷区立砧図書館 
     電話 03-3482-2271
     FAX  03-3482-4603


*なお、チラシにあります「ひととき保育」は締め切りました。


2017年9月21日木曜日

特に重要なテーマもない自己都合解散…えっ,許されるの?「丁寧な説明」はどこへ?


 臨時国会の冒頭で衆議院が解散されるそうですね。

 突然降ってわいたような話ですが、TVではずいぶんと
「解散権は首相の専権事項だから」
「衆議院議員は常に解散の可能性を頭に入れておかなければ」云々、
問題がないかのようなコメンテーターの発言が、けっこうありますね。


 でも、憲法にはどこにも「解散権は首相の専権事項」という言葉は
ありません。
 解散について触れている条文は、つねに「内閣は」です。首相が解散
したいと思えば、解散に反対する閣僚を罷免すれば可能だから、事実
上首相の思い通りに解散できる→首相の専権事項、という考えのよう
です。

 そして「解散できる時」について何の規定もないから、首相はいつ
なんどきでも、どんな理由でも衆議院を解散できる、という理屈が、
肩で風を切って歩いているのかな、と思います。


 解散権に制限がない憲法、というのは諸外国と比較してもかなり少数で、
例えばイギリスでは近年、首相の解散権に歯止めをかける法改正が
ありました。
 立法をつかさどる国会と、行政を司る内閣が、抑制均衡の関係に立ち
つつ、国会からの信任をバックに行政をしくのが議員内閣制です。
その関係を保たせるために、憲法は内閣に解散権を与えました。

 首相や政権の党利党略のため、あるいは「今ここで選挙すれば勝てる
だろうなと思ったから」という100%自己都合の解散など、憲法が「いいよ」
と許しているわけがない、と考えるのが常識…ですよね。

 唯一、「衆議院で内閣不信任案が可決された時に解散できる」という
69条の規定がありますから、それに匹敵するほどの事情が必要、と
考えるのが合理的でしょう。
 つまり、「解散して民意を問わないことには、民主的正当性のある政治
を責任持って行えない」というような事情が求められるはずです。

 (解散権についてもっと知りたい方は、憲法カフェへGO!)
 
 今回の衆議院解散、どこに大義があるのか、分かりません。
 解散してから「大義」を探しているような気配すらあります。
 森友学園に国有地をタダ同然で払い下げた問題、加計学園に異常な
ほど有利に認可をおろした問題、国民は説明を求めています。
 野党はずっと臨時国会の開催を求めてきましたが、これを無視し続けた
首相は、一刻も早く首相は説明する義務があります。

 それに、北朝鮮が核開発を止めない問題で、「対話は無駄骨」と言い
放った首相は、国連でも「とるべきは対話ではなく圧力だ」と好戦的な
演説をしました。どんどん、どんどん、北朝鮮を追い込んで、緊張関係を
高めたいという意欲が感じられます。
 なので、Jアラートを鳴らしてまで「今は有事だ」と言わんばかりに国民の
不安を高めておきながら、え、解散???という疑問もありますね。
今はめっちゃ緊急事態なのでしょう?選挙なんかやってていいの?

 昨年は、「大災害時などの緊急時に選挙で国会議員が国会を空けて
いたら対応できない!だから緊急事態条項が必要だ!」と言って改憲を
主導しようとしていたのは、ほかでもない自民党ではありませんか…。

(ウラを返せば、選挙をやる余裕があるのだから、Jアラート鳴らしてる
けど緊急事態じゃないんだなって安心しますよねw 原発も止めないし。)


 直感的に「あぁ、そんなに国会審議がイヤなのか(追及から逃げたいの
か)」と感じますが、理屈的に考えても、解散の必要性も合理性も、
見当たりません。
 そこにあるのは、「民進党に人気が無い今、選挙をやれば勝てる」
「野党共闘がうまく進む前に選挙しちゃえ」という、単なる自己都合。
 
 特定秘密保護法、
 解釈改憲、
 安保法制、
 共謀罪…
 この4年半の安倍政権の「立憲主義を壊す政治」の、続きは、もう
見たくないな、と思います。

2017年9月19日火曜日

首相が「対話は無駄骨」と言ってしまう国の、立憲主義の立て直し方


 安倍首相は米紙ニューヨーク・タイムズに寄稿し、核・ミサイル開発を
進める北朝鮮への対応について
 「国際社会は団結し、制裁を完全に履行しなければならない」
 「対話を呼び掛けても無駄骨に終わるに違いない。北朝鮮の目には
諸外国が屈したとさえ映りかねない」
 と、呼びかけたそうです。

● 「対話呼び掛けは無駄骨」=安倍首相、北朝鮮制裁で団結訴え(時事)
 https://www.jiji.com/jc/article?k=2017091800272&g=prk 


 これが戦争放棄した国のリーダーの言葉かと思うと…悲しいですね。
悲しくて、がっかりします。
 まさか、真っ先に対話という選択肢を棄てるのが日本だとは。
 あの国は、立憲民主主義国家じゃなかったっけ?違ったっけ?と諸外国
から不審がられても仕方ありません。


 立憲主義とは、「国民が自分たちの自由や人権を守るために、権力を
憲法でしばる」というものですが、憲法を制定すればもう安心、というわけ
ではありません。

 現実には、憲法で保障されているはずの自由や人権を、いくらでも制約
してしまう法律が作られてしまったり、制度が運用されてしまったりします。

 そんな時、国民は「いつか立派な政治家が変えてくれるでしょう」とか、
「だれかヒーローが現れて権力と戦って世直しくれるでしょう」とか、ただ
待っているだけでは、なにも変わりません。変わるどころか、マジョリティの
都合よいだけの、きゅうくつで生きづらい社会が深化してしまうだけです。

 自分の自由は、自分で守る。権力が自分たちの憲法を無視するなら、
「そんな政治家は要らない!」と強くNOを突きつけて、政治の場から退場
してもらう。そういう意思表示をし続けなければなりません。
 立憲主義は、究極的には、国民が社会を「憲法を守らない政治家なんて
要らない」「憲法を無視する政治は許されない」という空気で満たし続ける
ことで、どうにか守り抜けるのです。

 …正直、めんどくさいですね。毎日政治のニュースとにらめっこなんて。
 でも、そういうめんどくさい営みでしか、自分たちの自由は守れない。
だから、やるしかない。民主主義という政治システムは、その「めんどくささ」
を引き受けたシステムだ、ともいえます。


 だから、こうやって首相が堂々と「対話なんて無駄骨だ」と、とっても好戦的
なことを言ってのけてしまうのは、ウラを返せば「憲法無視して、こう言っちゃ
ったところで、国民は許してくれるし、支持率は下がらないだろう」という見積
もりがあるからです。
 この報道を見て、脱力してるだけでは、立憲主義は壊れていくだけです。

 「憲法があるのに、まるで戦争を引き起こしたいかのような発言は許せま
せん」と新聞に投書してみませんか。
 あるいは「首相のこういうひどい言動を、もっと報道して下さい」とTV局に
メールしてみませんか。
 地元選出の与党議員に「首相がこんな憲法を無視したままでは、与党には
票は入れられません」とFAXしてみてもいいかもしれません。

 みなさん一人ひとりの、「自分なり」の声の上げ方があります。

 みんなが「自分なりの」声を上げれば、必ず政治は動きます。
 必ず、立憲主義も立て直せます!
 

2017年9月14日木曜日

9月16日(土) 竪十萌子弁護士の憲法カフェ@朝霞☆



 安倍首相が突如提案した「自衛隊を憲法に明記する」改憲案が、
自民党から国会に出されようとしています。
 首相は「憲法違反の存在だと言われ続ける自衛隊員がかわいそうだ」
…という、いわゆる“お涙頂戴”のような同情論を誘って呼びかけています。

 でも、「そうだねー、かわいそうだから明記してあげよう」で済まされる
話なのかな?と立ち止まることが必要です。

 自衛隊は(法理論的に憲法違反かどうかは置いておいて)、国民から
頼られる存在になっています。でも、その信頼は、災害救助で奮闘する
姿、一人も殺さない専守防衛に徹底する姿、を見続けてきたからだと
思うのですが、間違いでしょうか?

 国民に広く受け入れられてきた自衛隊は、一発も人に銃を撃たずに
人命救助に励んできた自衛隊です。
 でも、その自衛隊を、“同盟国の戦争に参加する事実上の軍隊”へと
変質させてしまったのは、ほかでもない安倍政権です。
「そんなつもりで入隊したんじゃない」と戸惑う隊員の方もいるでしょう。
 まさか憲法9条があるのに、専守防衛どころか、先制攻撃しかねない
暴力装置になってしまうとは。
 その変質してしまった自衛隊を、憲法に書き込む… カンの良い方は、
たとえ憲法をあまり知らなくても、「ヤバい」ことにお気づきでしょう。
安倍首相に「自衛隊員がかわいそうだ」と言う筋合いがあるとは思え
ません。


 首相や自民党が進めようとしている改憲の危ういロジックを、今すぐに
でも知ってください。
 私たちの当たり前のような平穏な生活が、どれだけ憲法に支えられて
いるものか、考えてみる入り口になるよう、あすわかは日々憲法カフェや
SNS発信など、がんばります!
 
 さて、10月1日は、埼玉の朝霞で竪十萌子弁護士の憲法カフェが
開かれます(^^)/    

*:..。o○☆○o。..:*゜*:..。o○☆○o。..:*゜*:..。o○☆○o。..:*゜*:..。o○☆○

朝霞憲法カフェ
 憲法知って子ども達の未来を守る



日時: 9月16日 13時半~16時


場所: 朝霞市中央公民館 コミセン


参加費: 500円(コーヒー付き)/学生無料


講師: 竪十萌子弁護士
(子育て中のママさん弁護士・明日の自由を守る若手弁護士の会)



10月1日 「太田啓子弁護士 安倍改憲を斬る」@豊橋☆



 自民党は、近日中に憲法9条の改正案を国会に提出するそうです。
  
● 9条改正たたき台10月にも 自民改憲本部が議論再開(産経)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170913-00000073-san-pol


 首相は「スケジュールありきではない」と、柔軟な姿勢を見せていた…
ような気がするのですが、ポーズだったのでしょうか。ね。
 国会の憲法審査会では、まだぜんぜん「そもそも憲法を改正する必要
がどこにあるのか」の議論が熟していません。というか、国民の間にそん
な議論はありません。憲法になにが書かれているのか、よくご存じない方
が大多数だからです。

 言いたいことを表現し、信じたい宗教を信じ、なりたい職につき、愛する
人と結婚する…そんな当たり前の生活が、今の憲法がなかった72年前
には不可能だったこと、あまりにもみんな、忘れてしまっていませんか?

 そして、なぜ日本が戦争放棄して軍隊を持たないという大きな大きな
決断をしたのか、ほんとに「理想論だよね」と一蹴されてしまうようなバカ
げた考えなのか、真正面から向き合って考えてみませんか。
 
 太田啓子弁護士が、愛知県豊橋で改憲の行方などについて講演します☆


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「太田啓子弁護士 安倍改憲を斬る」


日時: 10月1日13:30~

会場: カリオンビル5階会議室
    (豊橋市松葉町2丁目)

参加費: 800円(高校生以下・障がい者は無料)

主催: 安保法制の廃止を求める東三河の会

連絡先: 東三河労連0532-54-2011


2017年9月12日火曜日

9月19日(火) 楾弁護士の「檻の中のライオン」カフェ@川崎多摩区☆


 北朝鮮がミサイルを撃ったり核実験をしたり、平和への挑戦が続き
ますが、それに対する日本政府の反応も、とても危ういもののように
感じます。

 どの国も対話による解決という選択肢に重きを起き続けている中、
安倍首相(日本)だけは「異次元の圧力を」。い、異次元…!?
(圧力でどうにか抑えられるなら、もうとっくに抑えられているはずです。
北朝鮮に「核開発をする動機」を失わせることが、一番の近道なのでは?)

 憲法で戦争放棄した平和国家のリーダーの発言とは到底思えない
発言です。
 こうやって、憲法を無視することを常態化させることで、社会全体に
「憲法って大したもんじゃないのかな」という空気を充満させようという
つもりなら、不誠実のきわみです。
 
 他国を危険だとか脅威だとか言う前に、自ら謙虚に憲法に縛られて
いる身だと自覚して誠実に政治をしていただきたいと、願わずにはいら
れません。
 なぜ70年前、日本は戦争放棄をしたのか。
 なぜ「もう軍隊も要らないや」と決意したのか。
 それは単なる「もうこりごりだ」という衝動だけではないはずです。
 9条はじめ、そもそも憲法がどんなものなのか、「憲法で権力をしばる」
とはどういうことなのか、ぜひ憲法カフェで知ってみて下さい。

 楾大樹弁護士の憲法カフェツアー、最終日は川崎で午前と午後の2回!


*・゜゜・*:.。..。.:*・*:゜・*:.。. .。.:*・゜゜・**・゜゜・*:.。..。.:*・*:゜・*:.。. .。.

 檻の中のライオンin川崎・多摩区 
               午前の部/午後の部


日時: 2017年9月19日(火)
   午前の部10:00~12:00 
   午後の部13:30~15:30


定員: 14名


会場: Coconut Dream 
      神奈川県川崎市多摩区東生田1-17-4A


参加費: 1,500円 (Coconut Dreamのお茶菓子付き)


申込: tamaku.ws@gmail.com 


FBイベントページ
  https://www.facebook.com/events/1902212330002507/?fref=ts



<オリライグッズの注文フォーム完成★☆★>

 https://ameblo.jp/hando-law/entry-12308279591.html

 憲法カフェの会場で販売されてきた人気商品
(憲法条文クリアファイル・Tシャツ・マグカップ・缶バッジetc)
などの注文を受け付けております♪




9月18日(祝・月) 楾弁護士の「檻の中のライオン」カフェ@横浜&溝の口☆


 自民党の高村副総裁は「いまの勢力図の方が発議はしやすい」と、
来年の通常国会での発議を目指す気満々のようです。

● 自民・高村氏「衆院解散前の改憲発議望ましい」(読売)
 http://www.yomiuri.co.jp/politics/20170907-OYT1T50025.html


 たしかに、改憲したい方々にとって、衆参両院で3分の2以上を“改憲派”で
確保できている今は、絶好のチャンスですものね…
 いやいや、、、どこに改憲のニーズなんてあるのかな(-_-)と。国民が突き
上げているわけでもないのに、勝手に権力ある人達の執念だけで進められる
のはゴメンです~。

 「なぜこんなにも、山積する課題そっちのけで改憲を進めようとするのかな?」
 「そんなに自民党は今の憲法がキライなの?なぜ?」
 「憲法って生活に密着しているようには思えないけど…どんな感じで大切なものなの?」
 いろいろ、疑問がわいてきませんか。

 楾大樹弁護士が、パペットたちと共に分かりやすく教えてくれますヨ☆
 「檻の中のライオン」カフェ、ぜひぜひお気軽に御参加下さい(^^)/
 9月18日(祝・月)は、午前は横浜、午後は溝の口で開催されま~す♪


*☆*――*☆*――*☆*――*☆*――*☆*――*☆*――*☆*――*☆*――

① 檻の中のライオンin横浜・泉


日時: 2017年9月18日9:45~11:45


会場: 横浜市泉区民文化センター テアトルフォンテ
   横浜市泉区和泉中央南5-4-13

参加費: 大人500円 高校生以下無料

主催者: 生活クラブ 泉コモンズ

申込: izumi.coms@gmail.com

FBイベントページ
 https://www.facebook.com/events/1621192681264633/?fref=ts



② 檻の中のライオンin川崎・溝ノ口

日時:9月18日(祝日・月曜日)14:00~16:30
  (受付は13:30~)


場所:高津市民館 第5会議室(ノクティ2 12階)
   *JR武蔵溝ノ口駅北口または東急溝の口駅東口から徒歩2分
    *駅とペデストリアンデッキで直結しているノクティ2の12階
   http://www.city.kawasaki.jp/takatsu/category/111-11-1-8-0-0-0-0-0-0.html


会費: 大人1000円 中高大500円 小学生以下無料

主催: おでぶな会

申込: odebunapeace9@yahoo.co.jp

FBイベントページ
  https://www.facebook.com/events/235822690245367/?fref=ts



<オリライグッズの注文フォーム完成★☆★>

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 憲法カフェの会場で販売されてきた人気商品
(憲法条文クリアファイル・Tシャツ・マグカップ・缶バッジetc)などの
注文を受け付けております♪



2017年9月11日月曜日

9月17日(日) 楾弁護士の「檻の中のライオン」カフェ@小田原☆



 一気に夏から秋へと季節が変わろうとしていますね。
 食欲も芸術も読書も、なんといっても秋です!
 学びの秋です!

 日本国憲法を解説した本としては驚異のベストセラー『檻の中のライオン』、
もうお読みになりましたか?
 作者の楾大樹弁護士の憲法カフェツアーが、今月17日からスタートです☆
 今回のツアーは神奈川を行脚!スタート地点は小田原です(^^)/


*・゜・*:.。.*.。.:*・☆・゜・*:.。.*.。.:*・☆・゜・*:.。.*.。.:*・☆・゜・ 

 檻の中のライオンin小田原 まなび場企画Vol.3 
  ~なるほど!スッキリ!憲法のハナシ~



日時: 9月17日(日)14:30~17:00 


会場: ササキ塾一階 フリースペース 
    (旧チャルカフェ)
  小田原市国府津3-14-3 JR国府津駅より徒歩3分 
  駐車場はコインパーキングを


参加費: 1,000円

申し込み:manabiba55@gmail.com 


FBイベントページ: https://www.facebook.com/events/299912903805488/?fref=ts




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2017年9月9日土曜日

やや日めくり憲法99条 憲法を守らないといけないのは誰?


 みなさん、これまで憲法を日めくりでみてきましたが、振り返るといろいろな
人たちが登場しましたね。

 だいたい登場順にいうと、

 ① 天皇

 ② 私たち国民

 ③ 公務員

 ④ 弁護士

 ⑤ 国会議員

 ⑥ 総理大臣

 ⑦ 裁判官

 

 さて、この中で、憲法というルールを守らなければいけないのは、誰でしょう?

 

 これは憲法カフェ定番クイズのひとつ。
 答えは、この99条、憲法の実質最後の条文に書いてあります。



<日本国憲法 99条>
 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官
その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務
を負う。





 そうです、答えは①③⑤⑥⑦。
 つまり国家権力の側にいる人たち、②国民と④弁護士以外です。
 ちなみに憲法カフェでは④に引っかかる方がけっこういらっしゃいます。
 弁護士も権力を持っているように感じられるのでしょうか…でも弁護士は
ただの民間人、国民の一部ですね。



 これまで繰り返しお話ししてきたように、憲法とは、国民(市民)ひとり
ひとりがそれぞれ自分らしく自由に暮らし、幸せに生をまっとうすることが
できるようにするためにあるもの。
 そのために、国家権力に対して、国民の○○という自由を侵害してはいけない
だとか、国民のために○○というサービスをしなさいだとか、命じるものです。



 憲法をどうしても変えたい方々は、「今の憲法は自由や権利ばっかり
だからおかしい。自由には義務や責任が伴うはずだ。」としきりとおっ
しゃいますが、それこそが「おかしい」お話、なんですよね。
 もともと、憲法とは国民の自由や権利を、国家権力が踏みにじることの
ないように、その手枷足枷として存在するものなんですから。
 これが「立憲主義」ですね。

 そして、憲法に定められた国民の自由や権利は、もともと、「他の人の
自由や権利を害してはいけない」という意味において、義務や責任を伴う
ものでした。「ひとりひとり」がそれぞれ自由や権利を持っているのだか
ら、当然ですね。

 
 さて、私たちあすわかが一貫してその危険性を発信し続けている自民党
改憲草案ですが、この99条を、以下のように変えようというのです。



1 全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。

2 国会議員、国務大臣、裁判官その他の公務員は、この憲法を擁護する
 義務を負う。



 これはまさに立憲主義の否定、憲法を憲法でなくすものといっていいで
しょう。
 憲法は国民の自由を守るもの。私たち国民が、権力者に対して、憲法を
守れと命ずるものです。

 その憲法が、私たちの心の中にまで踏み込んで、憲法を「尊重」せよと
命ずるなんて、まさに「アベコベ」な話です。

 
他方で、本来憲法を守らなければならない権力側の方々(しかも天皇・
摂政が除かれてしまいました!)の義務からは、「尊重」が消え、単に
「擁護」義務だけになっています。彼らの義務を軽くしたい、薄めたい、
そんな意識が見えるようです。

 

 かつて、日本国憲法を「いじましい」とか「みっともない」などと
さんざんにこきおろした国会議員がいました。現在は総理大臣ですが、
いずれにしても彼は、憲法「尊重」擁護義務を負う立場にあるわけ
ですから、こうした発言は完全に憲法違反です。


 他方、国民は、いくらこの憲法を嫌おうがこきおろそうが、19条が
あるから完全に自由。でももしも、国民の憲法「尊重」義務が憲法に
定められてしまうと、これは憲法が許した19条の例外だと位置づけ
られてしまいます(ちなみに、自民党案には、「国旗」と「国歌」に
ついても、国民の「尊重」義務が明記されています)。

 国民の心の中にまでずかずかと立ち入って、自由を拘束しようという
自民党案。本当に怖い話です。

 私たちあすわかは、これからも、ひとりひとりの自由と幸せを守る日本
国憲法を大切に生かしていくために、不断の努力を続けます。


11条からはじまった「やや日めくり憲法」シリーズ、来月からは1条
に戻ります。お楽しみに!

2017年9月8日金曜日

やや日めくり憲法98条 国の最高法規


 いよいよ、憲法の最終盤、98条です。



 <日本国憲法 98条>
 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に
反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の
行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
2 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、
これを誠実に遵守することを必要とする。



要するに、日本に存在する「きまり」の中で、憲法が最強だということです。

そのため、憲法に違反する法律も命令も、無効です。
 「国権の最高機関」である国会(41条参照)で作った法律ですら、憲法には
かないません。

 たとえ多数決で採決されて成立した法律であっても、憲法に違反するなら無効。


 これは81条の回でもお話したとおりです!

 
 要するに、多数決が絶対なのではありません。
 いくら多数決で決めたことだ、民主主義のルールどおりに作ったものだ、と
言っても、なによりも大切なのは個人の尊重(13条)であり、人権保障なの
です。

 多数決(国会)で決めたことでも、個人の尊重(憲法)を侵害することは
許されません。
 立憲主義の範囲内での民主主義。それが、立憲民主主義なのです。


これは、まさしく、
国民の権利・自由を守るため、憲法で公権力(国会)の行使を縛る
という立憲主義の表れの最たるものといえます。

96条97条、99条も同じように、立憲主義の表れですね。


 当然ですが、天皇が誰よりも偉い明治憲法では、こんな条文はありません
でした!


 
2項は、自分が「日本も参加します!」と決めた条約と国際慣習法には
従います、ということを定めています。

ごく当たり前ですね。


で、憲法と条約では、どっちが強いかというと、憲法ということになります。
なぜなら、条約を締結するかどうかは、国会の判断で決められます(61条)。

そういう意味では、法律と一緒ですよね。だから、憲法が優先します。

 それに、もし条約が憲法より強ければ、条約を締結することで、主権者
たる国民の投票をせずに、憲法改正(96条)と同じことができちゃいます
もんね。
 それはおかしい。


 安保関連法の成立時に話題になった砂川事件判決でも、憲法が優先する
ことを前提としているとされています。


 ただし、2項は、あくまで自分で入るって決めた条約に限られます。

 なので、日本が参加していない条約については守る義務はありません。
   (まぁ、当たり前ですね)

 なので、この条約に入ってほしい、それが国民の権利・自由を守ることに
つながる!
 と思ったら、そのことをいまの国会と内閣に伝えなければなりません。

 
 みなさんは、
 日本に参加してほしい(とか一部だけじゃなく全部入ってほしい)条約
 としてどんな条約を思い浮かべますか?


 女性差別撤廃条約?
 障がい者の権利条約?
 ILO関連の条約?
 核兵器関係の条約?


 いずれにしても、ここでも、国民の不断の努力(12条)が関わって
きますね。

 主権者がきちんと「もっと女性の権利向上を!」「もっと労働者の権利保障を!」
と声を上げ、
 メディアに声を届け、メディアがそれをたくさん報道すれば
 国会議員も、「国民が女性の人権向上や労働者の権利保障を求めている」ことが
分かります。
 新聞やラジオに投書したり、地元選出の国会議員に要請したりすれば、
自然と社会全体で「女性の地位向上」「労働者の権利保障」は大きな関心事に
なるでしょう。
 国会議員も、無視できません。
 現実問題として、「女性の地位向上」「労働者の権利保障」を公約に掲げた
方が、選挙に勝てる、という風向きになってきます。
 そうすれば、国会はその国民の声を無視できなくなります。 
 政府も、無関心ではいられなくなります。
 そうやって、主権者の声に突き動かされるように、政府は「女性差別撤廃
条約」や「ILO条約」に、留保なく全面的な参加を検討するでしょう。
 
 私たち主権者国民の「不断の努力」なしには、民主主義も、国民主権も、
正常には回らないのです。

 

2017年9月7日木曜日

やや日めくり憲法 97条(基本的人権は永久の権利)


 <日本国憲法 97条>

  この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、
 人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、
 これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び
 将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利
 として信託されたものである。




「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」

「過去幾多の試練」


 とても思いのこもった言葉ですね。


 97条は、熱く語りかけるような、ハートに訴えるような趣があります。

 「めちゃめちゃ大変だったんですよ。いっぱい失敗したんですよ。で、やっと
ここまでたどり着いたんですよ。なんとかよろしくお願いしますよ。」

みたいな感じです。


 人類の歴史を遡れば、権力者のわがまま勝手によって、人間らしく生きるこ
を許されなかった人がたくさんいます。
 生まれながらに身分がきまり、
 職も選べず、
 別の場所に移り住むことも許されず、
 好きな人との結婚も許されず、
 選挙権もなく、
 ただただ言われるがままに税金を取り立てられて、
 「自分らしい人生」なんて夢見る余裕もなく人生を終えていった人
の方が多いかもしれないくらいです。

 そんな社会、おかしい! 立憲主義も民主主義も、こんな社会を変えたい
という問題意識や正義感が、編み出したものです。


 一人ひとりみんなが人間らしく生きられるように、権力を法で縛っておく、
という立憲主義憲法には、人類の叡智が詰まっているのです。



 この97条、自民党改憲草案ではどう変わっているでしょうか?

 なんと、全部削除されているのです!


 97条が削除されると、どうなるでしょうか?




 97条の意味するところは、次のようなことです。

 1.「基本的人権は・・・信託された」との表現から、人間が生まれながらに
 して天から信託されたもの、という天賦人権説、自然権思想を示している。
 2.97条は、「第10章 最高法規」の章の冒頭に置かれており、憲法が
 最高法規であることの実質的な根拠を示している(通説)


 まず、①の天賦人権説、自然権思想について。

 人権とは、人間として生まれた以上当然に天から与えられているもの、と
されています。

 この天賦人権説・自然権思想を示すのが、11条「基本的人権は…与えら
れる」と、97条「基本的人権は…信託されたもの」です。



 <日本国憲法 11条>

 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障
する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の
民に与へられる。



 11条と97条、2つあるので1つが削除されても実害はないかもしれません。

 しかし、自民党改憲草案は、11条末尾も「…永久の権利である。」に
変えています。

 その理由について、「自民党憲法改正草案Q&A」には、

 「天賦人権説に基づく規定を改める必要があるから」

と書かれています。

 つまり、自民党草案では、天賦人権説の根拠規定を2つとも無くして、天賦
人権説をやめましょう、ということになっています。


 天から与えられるのでなければ、誰が与えるのでしょうか?

 自民党改憲草案は、まず「国」があって、国が、おまえら国民に権利を
与えてやるのだ、国の都合で制限できるのだ、という考え方をしているように
読み取れます。

 「そもそも人権とは」という、憲法の出発点が、まるっきり違うのです。

 「自民党改憲草案Q&A」には、97条削除の理由について「11条と重複
しているから」という説明が書かれています。

 しかし、重複しているとしても両方削除してはいけません。

 自民党草案は、基本的人権を制約するどころか、基本的人権という概念その
ものを破壊しようとするものです。



 次に②の最高法規性について。

 最高法規性については、97条が示す「実質的な根拠」よりも、最高法規
としての「形式」「手続」を示す96条、つまり憲法改正手続が厳格である
ことの方が重要です。

 憲法は、改正しにくいからこそ最高法規なのです。

 ところが、自民党改憲草案96条は、憲法改正の発議要件「3分の2」を
「過半数」に変えており、憲法の最高法規性を大きく失わせています。


 これに加えて97条も削除しているので、ますます問題だということに
なります。


 憲法が憲法じゃないようなものに変わってしまわないように、私たちが
しっかり日々の政治を監視し、おかしいと思ったらしっかり声を上げる。
「不断の努力」が、なによりも大切です。