2021年9月22日水曜日

「別姓なんか認めなくても通称使用を拡大すれば」がいかに妄想か


 姓は「自分」の一部です。結婚したって、姓を変えたくない人はいます。

 同姓にするか、別姓にするか、結婚の際に選べる選択的夫婦別姓の実現

は、個人のアイデンテイティを守るために一刻の猶予もない問題です。

 でも、政府与党の一部の議員が猛反対していて、このままでは実現でき

ません。

 その猛反対する議員たちは、「別姓を認めなくても、通称使用を拡大

すれば問題は解決する」と言います。いわゆる「旧姓」を通称として仕事

や日常生活で使えるようにすればいい、と。

 しかし、果たして現実は。


<外務省 旅券(パスポート)の別名併記制度について>                             https://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/pss/page3_002789.html

      

 外務省はパスポートに通称を記載することについて、「戸籍に

記載されている氏名に加えて当該呼称を併記することができること

となっています」と言いつつ、

                 

「3.右併記は戸籍上の氏名に続けて、括弧書きで記載されますが、

ICAO文書には規定されていない例外的な措置であるため、ICチップ

及びMRZ(Machine Readable Zone)には記録されません。

このため、旅券面に記載されていたとしても、査証及び航空券を

右呼称で取得することは困難と考えられますので、御注意ください。」

 …と書いてます。



 そうです、国内外で本人認証やセキュリティの厳格化が進む中、

本名以外の通称でもOKな事例が増えていく可能性はむしろ少なく、

海外で理解が進むとは考えられません。企業にとってもあまりにも

コスト高で経済合理性に反します。

 通称使用を拡大すればいい、というのはパっと思いついただけの

妄想です。