名古屋入管で、スリランカ人女性がむごい扱いを受け亡くなった
事件は、創設されて以来、一貫して外国人への差別的な取り扱いを
改めない入管行政の必然ともいえます。政府(法務省)はこれを反省
する姿勢を一切見せず、死の間際が映る動画の開示も渋り続け、
ご遺族が弁護士の同席を求めてもこれを拒否しています。
弁護士が同席してはいけない理由が、どこにあるというのでしょう?
<東京弁護士会 会長声明>
出入国在留管理庁による弁護士から援助を受ける権利に対する侵害
及び弁護士業務への妨害に抗議する会長声明
https://www.toben.or.jp/message/seimei/post-630.html
<一部抜粋>
国連の「弁護士の役割に関する基本原則」は、第1項において、
すべて人は、自己の権利を保護、確立するために自ら選任した弁護士
の援助を受ける権利を有すると定める。また、同原則第16項(a)は、
政府は、弁護士が、脅迫、妨害、嫌がらせ、あるいは不適切な干渉を
受けることなく、その専門的職務を全て果たしうることを確保すると
定めている。
上記同席拒否は、真実解明の忌避だけでなく、弁護士の援助を受ける
遺族らの権利を侵害するとともに、弁護士の職務自体に対する妨害
ないし不適切な干渉でもある。
当会は、今回の入管庁による代理人弁護士らの同席拒否等に対して
強く抗議するとともに、政府に対し、弁護士法と国連の基本原則に則り、
速やかに弁護士同席の下で遺族らにビデオ開示を実施し、さらに事案の
真実解明のために必要な全ての方策を実施するよう求める。
<抜粋終わり>
法曹(裁判官・検察官・弁護士)の中で、唯一、権力と対峙・対決
できるポジションにいるのが弁護士です。市民の基本的人権の擁護の
ためには、弁護士の活動が行政に不当に制限できるようであってはいけ
ません。ご遺族とともに弁護士が臨席してご遺族をサポートし、必要が
あればご遺族の代わりに言い争えなければ、この事件の真相解明は
永遠に不可能で、ひいては入管行政の抜本的な改革など夢のまた夢です。
自民党総裁選の候補者たちは、政権下で要職に在りながら、この事件
に関して政府の対応を批判しませんでした。だれが総裁になっても、
外国人を犯罪者予備軍かのように見る排外的な視線をそのまま引き継ぐ、
ということです。
この国に生きる人間として、こんな恥ずかしく恐ろしい行政を、それ
でもな許すのか、変えるのか、問われています。