今日は、昨日に引き続き、劇団四季「ウィキッド」の中にある憲法 問題について書いてみたいと思います。
★ネタバレな内容を含みますので、ご注意ください★
あすわかのサイトをご覧の皆さんは、もうお分かりの事と思います が、このウィキッドの中には、さまざまな憲法問題が含まれていま した。
1 エルファバが肌の色で虐められていたこと
肌の色での差別というのは、現代で言えば人種差別ですよね。
国際会議に出てみると、人種、性別、国籍、肌の色などは関係なく 、話している内容で価値が決まるんだということを痛感します。
差別していると、相手の素晴らしいところを知ることなく終わって しまって、とてももったいないことです。
日本で言えば、非嫡出子の相続分が差別されていたのが、最高裁で 違憲だとされました。日本にも、まだまだ差別が残っています。
また、同級生たちは、エルファバの肌の色で、結構あからさまにい じめていますので、最近話題のヘイトスピーチにつながる話でもあ ります。
表現の自由は保障されているものの、他人の人権と衝突する場合に は、制約される場合があると考えられています。ヘイトスピーチは 、その対象とされている人の尊厳を無視したものですし、ヘイトス ピーチが放置されてホロコーストにつながったという見方もありま す。
現在の法律では、ヘイトスピーチだからといって、ただちに規制で きるわけではないのですが(名誉棄損、脅迫、不法行為などの問題 になることはあります。)、それは表現の自由という価値が重要だ と考えられているからです。表現の内容によって規制をしてしまう と、権力側の都合によって規制すべきではない表現行為まで規制さ れかねないから慎重に考えなくてはならない、というわけです。
2 動物の言葉を奪うこと
動物たちの言葉を奪うというのは、ある人種・民族について表現の 自由を認めないかのような話です。
もちろん、動物に「人権」はありませんが、ウィキッドの世界にい る動物は、人間と同じように言葉を話すので、人間と同じような存 在なんですね。人種・民族の違いに近いように感じられました。そ うすると、1で書いたように、差別の問題になります。
さらに、動物を小さい頃から調教してしゃべれないようにしておけ ば、そもそも言葉を覚える危険がなくなるだろうという、オズの魔 法使いの政策。これは、義務教育の内から、権利がないんだという ような思想を教え込んでおけば、政権を批判するような言動はしな くなるだろう、というように見ることもできます。
教育内容の統制は、実質的な思想統制につながっていきます。
そういえば、ごく最近、教育内容を政治が左右できるような法律改 正がありましたね。教育勅語を見直そうという発言もありました。 とても心配です。
3 罪をかぶせられたこと
本当は、オズの魔法使いの方が動物から言葉を奪うという悪いこと をしているのに、逆にエルファバがテロリスト扱いされて追われて しまっています。
自民党の憲法改正草案では、表現の自由は「公の秩序」に反しては ならないとしています。
そうすると、政権が悪いことをしているからということで政権批判 をしていたら、それは「公の秩序」に反すると言われて弾圧されて しまうこともあり得るのです。
しかも、政権のしている悪いことが特定秘密に指定されていたら、 それを知った人が内部告発をしようとしても、特定秘密保護法によ って処罰されてしまうわけです。
4 秘密を知ってしまい、追われていること
オズの魔法使いは、実は魔法が使えなかったなんて、とんでもない 秘密なわけですが、知り過ぎたエルファバは、捕まえられそうにな ってしまいます。特定秘密を知ってしまった人が、内部告発したら 処罰されてしまうような状況と同じですよね。
オズの魔法使いがエルファバを追いはじめる前に言った「彼女は知 りすぎた」というせりふは、とても象徴的です。
権力者にとって一番怖いことは、国民が賢くなることです。権力者 の痛いところをついて、説明を求められ、嘘だと分かったら、次の 選挙で落とされてしまうかもしれません。
それで、あたかも情勢が厳しいように言ってみたり、時間がないか のように言ってみたり、誇張していってみたり、事実と異なること を言ってみたりすることがあるのです。
そんなときには、まず「知憲」。
今の憲法の中身を知ってみましょう。
そうやって憲法を知ってからウィキッドを見てみると、どうして憲 法が必要なのか、実感をもって知ることができるかと思います。
憲法は身近なものではないと思われがちですが、ウィキッドという 作品一つとってみても、こんなに憲法問題が潜んでいるんですよね 。
ウィキッドは今年11月16日(日)に千秋楽だということですの で、ご興味のおありの方は、お早めにどうぞ。
★ネタバレな内容を含みますので、ご注意ください★
あすわかのサイトをご覧の皆さんは、もうお分かりの事と思います
1 エルファバが肌の色で虐められていたこと
肌の色での差別というのは、現代で言えば人種差別ですよね。
国際会議に出てみると、人種、性別、国籍、肌の色などは関係なく
差別していると、相手の素晴らしいところを知ることなく終わって
日本で言えば、非嫡出子の相続分が差別されていたのが、最高裁で
また、同級生たちは、エルファバの肌の色で、結構あからさまにい
表現の自由は保障されているものの、他人の人権と衝突する場合に
現在の法律では、ヘイトスピーチだからといって、ただちに規制で
2 動物の言葉を奪うこと
動物たちの言葉を奪うというのは、ある人種・民族について表現の
もちろん、動物に「人権」はありませんが、ウィキッドの世界にい
さらに、動物を小さい頃から調教してしゃべれないようにしておけ
教育内容の統制は、実質的な思想統制につながっていきます。
そういえば、ごく最近、教育内容を政治が左右できるような法律改
3 罪をかぶせられたこと
本当は、オズの魔法使いの方が動物から言葉を奪うという悪いこと
自民党の憲法改正草案では、表現の自由は「公の秩序」に反しては
そうすると、政権が悪いことをしているからということで政権批判
しかも、政権のしている悪いことが特定秘密に指定されていたら、
4 秘密を知ってしまい、追われていること
オズの魔法使いは、実は魔法が使えなかったなんて、とんでもない
オズの魔法使いがエルファバを追いはじめる前に言った「彼女は知
権力者にとって一番怖いことは、国民が賢くなることです。権力者
それで、あたかも情勢が厳しいように言ってみたり、時間がないか
そんなときには、まず「知憲」。
今の憲法の中身を知ってみましょう。
そうやって憲法を知ってからウィキッドを見てみると、どうして憲
憲法は身近なものではないと思われがちですが、ウィキッドという
ウィキッドは今年11月16日(日)に千秋楽だということですの