東京弁護士会が、政府が実施を決定している安倍元首相の『国葬』
について、「民主主義の観点からも、また国民の思想・信条の自由の
観点からも、重大な懸念があり、これに反対するものである。」と
会長声明を出したので、紹介します。ぜひ下記URLより全文お読み
ください。
東京弁護士会
<安倍晋三元内閣総理大臣の「国葬」に反対し、撤回を求める会長声明>
https://www.toben.or.jp/message/seimei/post-663.html
<一部引用>
政府は、安倍元首相を「国葬」とする理由について、
「歴代最長の期間、総理大臣の重責を担い、内政・外交で大きな実績を
残した」などとしているが、政府が特定の政治家についてその業績を
一方的に高く評価し、その評価を讃える儀式として「国葬」を国費に
よって行うことは、その政治家に対する政府の評価を国是として広く
一般国民にも同調を求めるに等しい。その政治家への評価は、主権者
たる国民の一人ひとりが自らの意思で判断すべきことである。
(中略)
「国葬」が近くなれば、安倍元首相の「国葬」に対する忖度から、
公的機関のみならず民間機関に対しても同様の有形無形の同調圧力が
かかることは容易に予想され、弔意の表明の事実上の強制が行われかね
ない。現に、兵庫県や北海道の一部自治体の教育委員会が学校現場に
「国葬」の際の半旗の掲揚を求めたという報道もあり、忖度と同調を
求める動きは今後も拡がることが予想される。
このように「国葬」の実施は、国民に対して特定の個人に対する弔意
を事実上強制する契機をはらむものであり、国民の思想・良心の自由
(憲法第19条)との関係で好ましくない状況がもたらされかねない。
<引用終わり>
加えて、安倍政権は、表現の自由や知る権利を侵害し、三権分立を
壊す特定秘密保護法や、憲法9条と真っ向から矛盾する安保法制などを、
学者・マスメディア・国民の猛反対をためらいもなく無視して強行採決
しました。国会での野党の批判にまともに答えず、時間稼ぎかのように
答えにならない答えを繰り返すだけで審議を尽くしたといって強行採決
に走る姿勢は、“もの言う国民”への嫌悪すら感じます。
対話と議論に本質を置く民主主義と相容れず、人権保障のための立憲
主義とも相容れなかった安倍政権の“実績”を「国葬」の形で讃えること
について、声明は「立憲主義及び憲法の基本理念を揺るがすものであり
是認できない。」と厳しく批判しています。