リプロダクティブ・ヘルス&ライツ、なかんずく「中絶の権利」に
ついては、一方ではアメリカ連邦最高裁が「憲法上保障されない」と
判断し、他方フランスでは憲法に明記され、人権感覚やジェンダー観、
宗教観も複雑にからんで扱いが揺れています。日本も「中絶の権利」は
きちんと保障されているとはいえない状況です。
WHOは、日本で主流の掻爬(そうは)法の人工妊娠中絶を、「安全で
なく時代遅れの手法だ」として、直ちに薬による中絶などに切り替える
よう勧告しています。ようやく中絶薬が承認されたものの、「切り替え」
が進んでいるとはいえない状況です…なぜこのような危険な手法が主流か、
については下記記事にあるように「女性を罰する」性差別的な発想が根深い、
と度々指摘されています。
● 「男性は壮大なフィクションから脱却を」
信田さよ子さんの提言 (毎日)
https://mainichi.jp/articles/20240301/k00/00m/100/074000c
<一部引用>
人工妊娠中絶手術は原則、相手の男性の同意が必要とされていて、
いまだに(子宮内を金属製の器具でかき出す)「搔爬(そうは)法」など
母体にリスクのある術式が主流となっています。また23年11月から、
薬局でのアフターピル(緊急避妊薬)の販売が試験的に始まったものの、
費用は高額なままです。
こういった現状から、妊娠は婚姻関係下ですべきで、「枠から外れた人」
を罰して「痛い目に遭わせる」という女性蔑視的な思想が、明治期から
全く変わっていないと感じます。
<引用終わり>
そもそも、日本の刑法には明治時代からの「自己堕胎罪」がいまだに
存在し、女性の妊娠中絶は原則として刑事罰の対象となっています
(胎児はイエの物、という家父長制的な発想に基づいています!)。
こうした差別的で時代遅れな規定を決して放置せず、廃止して女性の
自己決定権をきちんと保障しようという政治(と政治家)を求めます。