集団的自衛権の行使を容認するという閣議決定がなされたことで、徴兵制が導入されるのではないかという声が上がっています。
日本でも70年前にはあった制度ですし、韓国やスイス、ロシアなどをはじめとして世界的にも徴兵制がある国は珍しくありませんから、ありえないと言い切ることはできませんよね。
首相官邸もこの声を心配したのか、こんなQ&Aを上げています。
「問10)徴兵制が採用され、若者が戦地へと送られるのではないか?
答)全くの誤解です。例えば、憲法第18条で「何人も(中略)その意に反する苦役に服させられない」と定められているなど、徴兵制は憲法上認められません」
https://twitter.com/kantei/status/485571328380911616
しかし、この答えを信用することができるのでしょうか?
官邸のこの答えは、徴兵制の採用が「誤解」であるという理由は憲法18条であるとしています。
つまり、徴兵制によって軍隊に入れられることが、憲法18条が禁じる「意に反する苦役」にあたる、ということで、徴兵制の導入は憲法違反だというのです。
たしかに、これまで政府はそのように解釈してきました。
でも、徴兵制によって軍隊に入れられることが「意に反する苦役」にあたらない、というふうに政府の憲法解釈が変わったら?
そのときは、徴兵制の導入も憲法違反ではなくなりますよね。
実際にそのように主張している自民党幹部もいます。
今回、長年にわたる議論の積み重ねの中で、憲法9条のもとでは集団的自衛権の行使が許されないとしてきた政府解釈を、閣議決定によって変更しました。
そうすると、憲法18条と徴兵制に関する政府の解釈も、変わってしまう可能性があると思われませんか?
閣議決定によって憲法解釈を変更するとは、そういうことです。
政府が言っていることを私たちが信用できなくなる、ということなのです。
私は個人的には、徴兵制の導入はされないのではないかと思っています。
徴兵制が敷かれると、戦争が起こってしまうと強制的に戦地に送られる可能性が誰にでも出てくるわけですから、戦争に反対しようという気運が高まりますよね。基本的には避けようとするはずです。
そして、自衛隊が人手不足にならなければ徴兵制を導入する必要性はないわけですが、親しみやすい自衛隊員募集の看板が掲げられていたり、高校生にDMが送られたりしていますよね。貧富の差が拡大して就職先がなくなると、食べていくためには自衛隊へ、ということになるかもしれません。なので、徴兵制を導入しなくちゃいけないほどの状況にはならないんじゃないか、と。
ということで、私自身は上記の意見を持っています(ある意味では、徴兵制の導入よりも悪い状況かもしれませんが)。
だから、徴兵制導入への不安を煽りたいわけではありません。
この点については、あすわかメンバーの中にもいろいろな意見がありますし、徴兵制導入は十分ありうると思っているメンバーもいます。
でも大事なことは、閣議決定による憲法解釈の変更が行われたことによって、
私たち国民が政府の言うこと、約束したことを信じられなくなった、ということなのです。
そんな国、そんな政府、そんな政治で、ほんとうにいいのですか?