2019年11月21日木曜日

下村博文氏の「東大に指導」発言 大学の自治を無視


 下村元文科大臣が
「間違ったメッセージを国民や他大学に対して、与えている。
文部科学省は、よく東大に指導していただきたい」
 と発言した2週間後に、東京大学は突如方針転換して民間
試験の活用を検討することにした、とのこと。


● 英語民間試験 下村氏「東大に活用するよう指導を」
                   党内会議で  (NHK)
 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191119/k10012183121000.html



 入試の方法や方針は、大学の自治(憲法23条)に関わる事項
であり、下村氏の発言は大学の自治を侵す圧力を持っていると
言わざるを得ません。
(「大学の自治」って何だっけ?→ )


 文化庁が「あいちトリエンナーレ2019」への補助金の交付を
撤回したことからも明らかなように、現政権や与党はあまりにも
国民の人権、特に「精神活動の自由・人権」を軽んじています。
 軽視というより、敵視に近い。
 できるだけ「自由にものを考え、表現する」領域を狭め、コント
ロールしたい、かのようです。
 
 大学への許されざる圧力となる発言をした下村氏本人は、こんな
弁解をしています。
 「もちろん最終的には、各大学が判断することでは当然あるけど、
もっと文科省がちゃんと説明する必要があるのではないかという
ことで申し上げた」
 「政治的な圧力には全く当てはまらない」



● 【報ステ】下村元文科大臣「圧力に当てはまらない」(テレ朝)
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20191120-00000079-ann-pol


 大学の自治を理解して、自主性を重んじていれば、常識的に考え
て「指導」という言葉は出てこないはず。
 「政治的な圧力には全く当てはまらない」と、発言した本人が
言ったところで無意味なのは、ハラスメントと同じです。
 発言の受け手がどう反応・解釈・忖度し、どう動くか、どんな
結果を招くか、まさかそれを想像できないというなら、その能力は
政治家として(というか社会人として)致命的です。
 もちろん、想像できた上で発言したのであれば議員辞職に相当
するほど罪深い行いですから、どっちにしろ議員失格、ということ
です。


 大学は政府の方針に従え、という発想の議員が“重鎮”として活躍
する政党にとって、学問の自由はじめ憲法の理念は、“邪魔”でしか
ないのでしょうか。
 「桜を見る会」の追及と共に、ぜったいに見過ごすことのでき
ない問題です。