2013年12月6日を、私達は決して忘れることはないでしょ
戦後民主主義最悪の日を、思いを一つにして全身の怒りを込め て
行動した皆さんは、今、どう振り返り、どう分析し、これからの 行動
を見据えていますか。
「明日の自由を守る若手弁護士の会」の 会員270名も、
それぞれが、自分のたたかいを見つめ、得たもの 、学んだものを
これからの長いたたかいにつなげる作業へとシフト しています。
今日は、会の中でも特に海外への発信に奔走した内山弁護士の
手 記を紹介します。
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秘密保護法は通ってしまったが、不思議とがっかりしていない。
それは、日本国憲法の価値、表現の自由の価値を、みんなが
共有 してつながることができた実感があったから。
それは、日本の中だけではなくて、世界中の人たちとつながる
それは、日本の中だけではなくて、世界中の人たちとつながる
ことができたから。
世界中に応援してくれる人がい るって分かったから。
正直、1か月前は、ツワネ原則って何それ、美味しいの?
という レベルだった。
「それは、ツクネや」、という突込みをしていた。
「それは、ツクネや」、という突込みをしていた。
11月26日、特定秘密保護法案が衆議院で強行採決され、
みん なががっくりしてしまった。
そこで、いやまだ参議院があるよと、「明日の自由を守る若手
そこで、いやまだ参議院があるよと、「明日の自由を守る若手
弁護 士の会」がfacebookで説明したら、2200以上のシェア が
された。
「いいね」じゃなく、シェア。
2200人が、自分の友 達に伝えようと思った。
それで19万人に伝わったらしい。
他に何かできないのかという話になって、煮詰まっていたときに
ある美人弁護士が、軽やかに、
「ホワイトハウスにメールしたい よね」、とポロッと言った。
マジデスカ、と思った。
でも、それくらいの発想の転換が必要だった。
マジデスカ、と思った。
でも、それくらいの発想の転換が必要だった。
その美人弁護士は、憲法を明るく爽やかに語る。
地元のカフェで 子育て世代のお母さんを集めて憲法トークを
している、クリエイテ ィブな方である。眉間にしわを寄せて「はん
たーい」と叫ぶタイプ ではない。地道にビラを配り歩いて、たま
たま雑誌の記者の目に留 まり、女性誌に出て、憲法を語って
いたりしている。情熱大陸に取 り上げてもらいたい人だ。
彼女の一声から、「明日の自由を守る若手弁護士の会」の
みんな で声明案を作成し、英訳し、ネイティブチェックをかけ、
送付先を 探しだすまで4日くらいか。
送付先として予定していたのは、最初はホワイトハウスと
在日ア メリカ大使館くらいだった。ただ、せっかくツワネ原則と
いうもの があるんだから、その起草に関わった22団体にも
送ってしまおう と、私が言った。
「22団体もあるんだから、送付先を探すだけで 大変じゃな
いか」とも言われたけど、大変だと言われるほど、何と かしよう
と思う性質。サイトが期限切れになっていた1か所を除い て、
全て探し出して、メールを送った。
オバマ大統領、キャロライン・ケネディ大使に送ったあたりから、
オバマ大統領、キャロライン・ケネディ大使に送ったあたりから、
ローマ法王にも伝えようと、バチカンにまでメールを送った
のは 、ちょっと悪乗りしたかもしれない。
しかし、そうしたら、半日くらいで、リアクションが返ってきて
「何ができるか教えてもらいたい」と言われた。
Center for Law and Democracy(CLD) のトビー・メンデル理事長
である。長年、表現の自由や知る権利の 分野で国際的に活躍
してきた人物だ。
自分たちの声が、世界に届いた。
自分たちの声が、世界に届いた。
国内では暖簾に腕押しで、なかな か手応えを感じられなかった
のが、世界には届いた。インターナシ ョナル・スタンダードからしたら、
むしろ、自分たちがスタンダー ドだったんだと自信を持つことができた。
トビーは、時間がないし、国連やアメリカを動かすのは無理だと
言っていたけど、翌日くらいには、CLDのプレスリリースを作っ て
くれた。好きに使ってくれていいと言って。それで、急いで30 分
くらいで訳してネットに流した。トビーは、トビーで、自分のネ ット
ワークに流してくれると言っていた。
そして、参議院の委員会で強行採決されたり、国連人権高等
弁務 官が懸念を表明してくれ、それに対し自民党がけしからんと
言った りした。
戦前、国際連盟を脱退した日本の姿が重なった。
参議院本会議が始まり、もう止められないのかとやるせない
参議院本会議が始まり、もう止められないのかとやるせない
気持ち になっていたところに、今度はツワネ原則を取りまとめた
Open Society Foundation (osf)が、懸念を表明したというニュース
が飛び込んできた。
ここもメールを送った先だ。あるい は、トビーが動いてくれたのかもしれない。
NHKも、さすがにこ れは報道した。
OSFが懸念を表明したということは、世界中の表現の自由に
OSFが懸念を表明したということは、世界中の表現の自由に
つ いての専門家が秘密保護法に異議を申し立てたに等しい。
思いつきで始まった世界へのアクションだったけれど、確実に、
日本は、国際連盟を脱退し、治安維持法を作って、勝っていると
塗 炭の苦しみを味わった反省から、二度と戦争をしない、国際社会
の 中で協力を得ることで平和を維持しようと考えて、日本国憲法を作 った。
それを押し付けだと言う人もいる。
しかし、戦後66年、この日本国憲法を受け入れて、平和を信条
9条を変えて軍隊を持ちたい人、秘密保護法が必要だという人は
中国が攻めてきたときに戦争放棄でどうやって国を守るのだとい う。
しかし、国民に真実を伝えない政府は、必ず間違い、腐敗する。
しかし、国民に真実を伝えない政府は、必ず間違い、腐敗する。
自 民党の幹事長が、声を張り上げるデモをテロだと言ったが、もう
腐 敗の芽がそこにある。戦前は、そうして腐敗して戦争に突き進んで
国会は、政府が戦争し ようとするのを止めることができないのだ。
素晴らしい民主国家じ ゃないか。アメリカでさえ、大統領がシリアに
派兵しようとしたら 、議会に止められたというのに。
アメリカのロースクールを見学した際、入学直後に行われる導入
遂 行は政府の役割、宣戦布告は議会の役割と聞いて、軽い衝撃を
受け たことがある。アメリカでは民主的なコントロールが戦争に及んで
もし日本国憲法を改正して戦争ができる国にするのであれば、
議 会のコントロールも規定されなければならないところ、自民党の
憲 法改正草案にはそのような考え方はない。本当に、自民党に
任せて 大丈夫か、国民主権が切り崩されて行かないか、戦争を
したら、勝 っても負けてもおそらく国民は大きな苦しみを味わう
けれど、そん なことを国民は受け入れていくのか、受け入れて
いない国民が間違 っているとおそらく自民党は言うけれど、
本当にそれでいいのか。 秘密の保護といって、戦争をコントロール
できなくなったら、国民 の苦痛は計り知れないものになるだろう。
しかし、今回、国際的にネットワークがつながってみて、実感し
日本がおかしな方向に行こうとしたときに、自分たち一人一人が
つ ながっていったら、世界の人たちが手を差し伸べてくれ、応援して
日本の常識は、世界の非常識であって、世界の常識を主張して
い る人には、世界中から応援がもらえることを。
日本がおかしな方向に行こうとしたときに、止めようとしてくれ た人が
日本がおかしな方向に行こうとしたときに、止めようとしてくれ
いてくれたことを。
日本の中だけで活動していたときは手詰まり感を感じていたけど
ここ1週間で世界とつながってからは、動けば変わることを実感 できた。
こうして自分たち一人一人がつながっていくことで、本当 にヤバいもの
を止める可能性があるんじゃないかと実感できた。
今 回は間に合わなかったけど、施行までにはあと1年くらいある。
そ の間に、もっと国際世論を高めるんだ。
一人一人が世界とつながっ ていくんだ。
そして、世界が手を差し伸べてくれた期待に、今度は私たちが応 え
そして、世界が手を差し伸べてくれた期待に、今度は私たちが応
なければならない。
政治や大人に失望しているためか若者の投票率は低いようだけれ ど
政治や大人に失望しているためか若者の投票率は低いようだけれ
(平成24年の衆議院総選挙では、20代37%、30代50% 、他の世代
は60%以上)、自民党の絶対得票率は実は20%を切 っている。
小選挙区制や野党の分裂のせいで自分たちの意見が正し く国政に
反映されていないだけなのだ。
自民党は浮動票を取り入れ ることはできていないと思われることから
すると、実は自民党なん て少数派なのかもしれないんだ。そんな少数派
の声だけで、自由を 奪われていいはずがない。
本当は、こんな国じゃあ嫌だという声は、もっと多いはずだ。
日 本国内でも、一人一人がつながっていくことが大事。
高校生たちも、特定秘密保護法に反対して声を上げたことが報道
大人たちが何も言わないでいるからこうなっちゃったじゃないか と。
ああ、この若者たちが自分の国に自信が持てるように、大人が 頑張ら
なきゃいけないなと思った。
そして、次の総選挙の時には、彼らは有権者だ。
そして、次の総選挙の時には、彼らは有権者だ。
彼らともつながっ ていかなければならない。
自由っていうのは、空気みたいなもの。普段は当たり前のように
そして、自由は当たり前のように存在しているのではない。
歴史の 中で、苦しんで、勝ち取ってきた物だ。
この夏、アメリカ連邦最高裁のアンソニー・ケネディ判事は、
この夏、アメリカ連邦最高裁のアンソニー・ケネディ判事は、
A merican Bar Associationの年次総会での講演で、自由は自動的に
与 えられるものではなく、維持して、後世に伝えて行かなければなら
気付かない内に自由が奪われようとしているけれど、今ある自由を
私たちは、自由を諦めない。日本を諦めない。