2016年7月12日火曜日

知憲でよりよい主権者ライフを~参院選を終えて~




  
 参議院議員選挙が終わりました。
 遅ればせながら、(私たちも含めて)皆さまお疲れ様でした!


 結果はご存じのとおりです。
 非改選の議席と合わせて、「改憲勢力」が3分の2を獲得してしまった

こと、残念で悔しくて…そしておそろしい。
 もっともっと勝ちたかったですね。
 それでもきらめく成果がありました。

 まずは全国に32ある1人区で、野党統一候補が11人当選したこと。
そして深刻な人権問題・政治課題を抱える沖縄と福島で、現職の大臣
が2人も落選したこと。
 立憲主義が壊されつつある中での「そんなこと絶対に許さない。私たち
は自由で平和な社会を取り戻したい。」という決死の市民の取り組みが、
共感を呼んだのでしょう。
 もし野党共闘できていなかったら、間違いなく惨敗だったでしょう…。
立憲主義を取り戻し、今の憲法をしっかりと実現させる政治を目指す、
という一点で野党がまとまったこと、これはまぎれもなく正しい道でした。
今後も、野党は迷うこと無く共闘していってほしい(まずは秋までにある
であろう2つの補選に取り組んでほしい)と強く思います。




 予想したことではありますが、与党はやはり憲法の議論を避けました。
安倍首相は「必ずしも争点とする必要はない。決めるのは国民投票だ。」
などと曖昧な言葉で濁し続け、開票後はうって変わって「(改憲草案が)
自民党で出ている以上、党の基本的な考え方、政権公約のなかにも
入っていますから、当然、それを前提に票は入れていただいているんだ
と思います」と笑う。
 「丁寧な説明を」と何度も言い、何度も裏切り、そして今ここで再び…
主権者を愚弄する、とても不誠実な姿勢であると言わざるを得ません。




 ここで指摘せずにはいられないのが、マスメディアの報道の有り様です。
 NHKはじめどの報道番組も、選挙期間中、一切これを報じず、なぜか
全国区で都知事選について特集を組み続ける光景は「異常」の一言に
尽きます。
 討論番組はもちろん公約の紹介・比較、候補者の演説の様子すら報じ
ない。争点隠しどころか、選挙そのものが隠されたと言っても過言では
ありませんでした。
 開票時刻になり各TV局が一斉に開票速報を始め、憲法改正や日本
会議を紹介しつつ当選者に切り込む特番を組む様子を見ながら、「なぜ
選挙期間中にこれをやらないんだ」とつぶやいた方は、少なくないはず
です。

 そう、マスメディアは、この選挙の意味合いを知っていた。
 それにもかかわらず憲法が争点であることを報じず、選挙自体を報じず、
それでいて投票率の伸び悩みを嘆いたり、「憲法論議深まらず」と他人事
のように憂う記事を目にする時、持っていき場のない怒りに震えるのは
単なる私たちの「八つ当たり」でしょうか?
 志高い現場の記者さんたちの熱心な取材活動を知っているからこそ、
なおさらその異常さを感じずにはいられません。
「権力の監視」という自らの使命を忘れ、改憲というテーマを隠したがる
政権与党との共犯にひた走った罪は、あまりにも深いと思います。




 この争点隠しの取り組みが「功を奏した」のでしょう、
高知新聞では83%、神奈川新聞では67%の有権者が、「この選挙での
「3分の2」というキーワードの意味を知らない」と回答したそうです。
 高知新聞  http://www.kochinews.co.jp/article/32968/
 神奈川新聞 http://www.kanaloco.jp/article/184813

 結局、隠されたのだから、民意は問われていないのです。
 政権与党は、隠したことの責任として、たとえ「3分の2」を確保した
ところで、改憲への国民の信任を得たなどと都合よく解釈しては
ぜっっっっっっったいにいけません。




 …とはいえ、戦後日本で最初に改憲をした総理大臣になりたーい、と、
総裁任期満了までの国民投票を目指して拍車をかけるでしょう。
 任期延長という地味で関心をひかないテーマから来るかもしれません。
日本会議の悲願である24条の切り崩しにも警戒しなければなりません。

  私たちあすわかは、知識という名の武器を主権者に手渡すことが、
専門家団体の使命だと考えています。
 知識があるから議論でき、知識があるから疑問がわき、知識があるから、
怒れる。まず憲法を知ろう--憲法カフェを通じた「知憲」の取り組みは、
市民の皆さまの主権者力を高めるために、そして民主主義の畑を耕す
ために、何よりも大切なものだと、改めて感じます。
 あなたがあなたらしく生きられる社会。そんな社会を守るために、あす
わかはあすわかなりの「不断の努力」をこれからも全力で続けます!