2014年5月14日水曜日

1972年の政府見解が根拠に?

 砂川事件最高裁判決を根拠に「日本国憲法が集団的自衛権を認めている」と言っていた自民党さんでしたが・・・

やっぱり、在日米軍の駐留の合憲性について判断した(したがって、日本がどんな戦力を持ち、どんな武力を行使できるかについては判断していない)判決を根拠にするのは難しいと考えたのでしょうね。

政府が次に持ち出したのは、「1972年の政府見解」。
次のように説明するようです。

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1972年の政府見解は、外国による武力攻撃で国民の権利が根底から覆される事態に対処するために、必要最小限度の範囲で自衛権を行使できるとするものであるが、近年の安全保障環境の変化で、その必要最小限度の範囲に集団的自衛権も含まれるようになった。

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なんだかそれらしい理由に聞こえますけど、本当かな?
1972年見解では、次のように述べられています。

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平和主義を基本原則とする憲法が、自衛のための措置を無制限に認めているとは解されない。
あくまでも国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態に対処し、国民の権利を守るためのやむを得ない措置として、はじめて容認されるものであるから、その措置は、右の事態を排除するためとられるべき必要最小限度の範囲にとどまるべきものである。

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政府はこの見解をベースに、今日に至るまで、
「日本に対する急迫不正の侵害があること、これを排除するために他に適当な手段がないこと、必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと」を自衛権発動3要件としてきました。

ここで大事なのは、国民に対する急迫不正の事態があり、これを排除して国民の権利を守るため他に適当な手段がない場合に初めて、必要最小限度の武力行使が可能になるという点です。

集団的自衛権(自国は攻撃されてないけど密接な関係にある国を守るために武力行使をすること)も「必要最小限度の範囲内」だから、国民に対する急迫不正の事態がなくてもOK!
・・・そんなことが、本当に1972年見解から言えるのかな。

それとも、日本が攻撃を受けていない段階であっても、「国民に対する急迫不正の事態がある!」と言ってしまうのでしょうか。
しかし、それは誰がどうやって判断するのでしょう。

どっかの国は、「あそこは大量破壊兵器を持ってる!」(実際には見つからず)とかって戦争を始めたこともありましたよ。

・・・これでは、無制限に集団的自衛権の行使を認めるのと同じです。
「平和主義を基本原則とする憲法が、自衛のための措置を無制限に認めているとは解されない」と明言する1972年見解と、まるで正反対です。

結論ありきで根拠を探そうとすることには、無理がありますよね。

http://mainichi.jp/select/news/20140511k0000m010106000c.html