2014年3月2日日曜日

オリンピックと憲法

オリンピック、終わってしまいましたねぇ
(ただし、パラリンピックは3月7日からです)
終わってしまえばあっという間のような、もっといろいろと観たかったような。


オリンピックといえば、オリンピック憲章ってご存知ですか?
オリンピズム(オリンピックの目的・理念)を文章化したものらしいんです。

で、そのオリンピック憲章には、全部で9つの文章があるんですが、その中で「人権」について書かれているんです。

「8 スポーツの実践はひとつの人権である。何人もその求めるところにしたがってスポーツを行う可能性を持たなければならない。」


同じように、
ユネスコの「体育・スポーツ国際憲章」(1978年)では

「第1条 体育・スポーツの実践はすべての人にとって基本的権利である。」と定められています。

世界では、スポーツをやることって、人権(国家が尊重すべき大切なこと)って位置づけられてるんですね。


この「スポーツする権利」ですけど、日本国憲法だと、まさにこれを定めた条文って無いですよね?
憲法では、どの条文が近いんでしょうかね?

よく言われるのは、憲法13条です。
なんで13条かというと、
「個人の尊重」を定める13条からすれば、個人として尊重されるための利益や自由は、人権として保障されます(だから、明確には条文にはない「プライバシー権」とかが人権と言われるんですね)。
で、「スポーツをすること」も、その人がその人らしくあるために必要不可欠だ、個人として尊重されるためには、「スポーツをすること」を邪魔されないことが必要だ、といえるなら、13条で認められるってことなんでしょうね。

ほかにも表現の自由(21条)で保障されるって説明もあるようですね。
確かに、フィギュアスケート・体操・シンクロナイズトスイミングとかは、芸術そのまんまって感じがしますし、バスケでもサッカーでも野球でも、プロの技はまさに芸術的だったりしますよね。


じゃ、自民党改憲草案だとどうなんでしょうかね??

自民党改憲草案では、「個人の尊重」はありません、「人の尊重」に変えることになっていますからね(草案第13条)。
だから、きっと、13条で保障されることはないんでしょうね、残念。

表現の自由も、いまより制限されちゃいますよね
自民党改憲草案では、「公益及び公の秩序」を害する表現はダメです(草案第21条2項)。
スポーツが、「公益及び公の秩序」を害するかどうかは、はっきりしませんが、戦前には「敵性スポーツ」なんて言葉があったようですからね。

あと、スポーツをする上では、その環境整備が必要不可欠ですが、自民党改憲草案では財政健全を理由に様々な支出が削られる可能性があります(草案第83条2項)。


意外と、スポーツをされる多くの方にとっても、自民党改憲草案、無視できないかもですね!



ちなみに、
日本が、スポーツを権利として認めたのは、2011年です(スポーツ基本法)。
先の国際憲章から30年以上経ってからの制定なんですよね、
なんだか、オリンピックを誘致するために急いで定めたのかなって気がしちゃいます(^_^;)

なお、「権利」と言いながら、環境整備のための「スポーツ基本計画」には「権利」とか「責務」とかの言葉が全然(法律の説明として数回出てくるのを除いて)出てこないんですよね~
スポーツ大好き人間としては、ちょっと残念です