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2014年3月18日火曜日
サイバー空間と集団的自衛権
集団的自衛権の議論で、安倍首相や「私的」諮問機関は
「こんなケースでは集団的自衛権の行使が認められるべき
だ!」と4つの類型を引き合いに出します。
例えば、アメリカがミサイルで攻撃されたときに、日本が
撃ち落とさなくていいのかと言われると、なんとなく認めた
方がいいのかなと思ってしまったりしますよね(こういう類型
の設定自体が間違っているということは、あすわかの新リー
フレットでざっくり説明していますので、ご覧ください。)。
今日は、こういう類型に当てはまらないケースをご紹介します。
集団的自衛権の行使がひとたび認められれば、際限ない
「戦争への参加」が待っていることを、一緒に考えてみましょう。
2011年にアメリカは、「サイバー空間」を、陸・海・空・宇宙
に続く「第5の戦場」と位置付けると発表し、サイバー攻撃を
受けた場合には、反撃として武力行使することもありうる、と
名言しました。
アメリカのインフラや国防はIT技術に支えられていますから、
サイバー攻撃を受けたら、物理的に攻撃されたのと同じくらいに、
インフラがマヒしたり、国防に重大な支障をきたしたりすることが
考えられます。
一方、テロリストの側からすると、実際に戦闘行為をしたり、
多大な費用をかけて兵器を購入することなく政府にダメージを
与えることができるということで、サイバー攻撃はある意味、
魅力的な攻撃方法ということになるでしょう。
そうすると、アメリカの「サイバー攻撃されたら自衛権の行使と
して物理的な攻撃する」という発想も、理解できなくもないところです。
アメリカがそう考えている中で、日本が集団的自衛権の行使を
認めたらどうなるでしょうか。
これまでの集団的自衛権の議論では、物理的にアメリカの領土
や艦船が攻撃されるようなケースだけを想定していました。
しかし、サイバー攻撃に対しても武力行使して反撃する、という
ことになってくると、例えば、どこかのA国がアメリカにサイバー
攻撃をしたということで、アメリカがA国へ武力行使することを
決め、日本に「集団的自衛権の行使」を要請し、日本も自衛隊を
A国に派兵して参戦する…ということになりかねないのです。
日本の参戦がありうるとして、そのサイバー攻撃があったことの
証拠は明らかにされるのでしょうか。
「イラクに大量破壊兵器がある!そしてその大量破壊兵器は
アメリカを狙ったものだ!」と喧伝してアメリカが堂々とイラクに
派兵した(そして大量兵器などどこにもなかった)歴史的事実を
振り返ると、容易にアメリカ政府の提示する証拠を信じて日本
国民の命を差し出すことはできませんし、特定秘密保護法の下
では、アメリカ政府が日本政府に提示した「証拠」を日本政府が
国民に明らかにする可能性は低いのが現実です。
しかも、物理的な攻撃と比べて格段に証拠の偽造や改ざんが
簡単にできてしまいます。
こんな危ういケースで、日本が安易に「そっか攻撃されたんだ
ねかわいそうに、じゃあ一緒に戦うよ!国民の命を差し出すよ!」
と集団的自衛権を行使して自衛隊を派遣して参戦…などと、
想像しただけでもゾっとします。
しかしこれは決して「空想」ではありません。
アメリカが「サイバー攻撃に対しては武力行使もありうる」と名言
した以上、日本が集団的自衛権を行使できることになると、否が
応でもこのような事態に陥る可能性があるのです。
(こういう可能性についても大いに議論すべきなのですが、
政府からは何の言及もありません。まったく分かっていないのか?
それとも分かっているけれども言いたくないのか?どちらでしょう…)
そもそも、サイバー攻撃に対して、個別的自衛権の行使として
物理的攻撃(武力行使)することの是非については、まだ国際法
的には何も確立していません。国際法上のコンセンサスもない中、
アメリカに言われるがままに自衛隊を派遣して参戦する可能性も
出てくるので、こうなってくると、安倍首相が強調する「国際協調
主義」はどこへやら、という事態になりかねません。
法律を制定しようという場合、「法案にはAという表現には、
こんな場合も含まれかねないが、それでいいのか」等々の審議が
なされます。ひとたび集団的自衛権の行使が認められると、この
サイバー攻撃への反撃のように、どのような戦争に関わることに
なるのか、あらゆる可能性を検討しなければなりません
…本来ならば。
しかし、困ったことに、安倍政権は、集団的自衛権の行使を、
「憲法の読み方を変える(解釈改憲)だけで済みますから」と
内輪で勝手に決めようとしていて、国民の声を聞いてしっかり
議論しようという気は全くないようなのです。
解釈改憲には、ほんとうに、いろいろ問題があるということが
分かりますね。 \(-"-)/