2016年4月6日水曜日

緊急事態条項 やっぱ必要ないんじゃない!?広田一議員の質問答弁リポート④


 広田議員の質問は更に続きました。
 
 「東日本大震災で、「憲法に緊急事態条項がなかったから
こういうふうに困った」という具体的事実はあったのでしょうか?」

 「災害対策のために憲法に緊急事態条項をつくろう」という論者は、
「例えばこういうことがあって困ったのだ」という「具体的事例」を挙げ
ます。そういう事例って、しかし、本当にあったんでしょうか。
 広田議員は具体的事例として 
(1)ガソリン不足により緊急車両が走れないということがあったか? 
(2)道路を車両がふさいで緊急車両が通行できないという問題があったか? 
(3)原発事故後に被ばくを怖れて運転手が原発近くへの運転を拒否する
 という問題があったか?
 という3点を質問しました。

 この3つの事例が、よく、「改憲が必要だ」という根拠として挙げ
られるものだからです。
 冒頭(リポート①)にあげた改憲の順序を考える際の①レベルですね。

 (1)「ガソリン不足について、例えば救急車が出動することができなかった
事実はあるのでしょうか?」
 という広田議員の質問に対し、
 土屋総務副大臣は、こう答弁しました。

「岩手宮城福島被災3県の合計36消防本部に調査しましたところ、
東日本大震災の直後、燃料不足により消防本部の消防用車両が
出動できなかった事例はなかった。
 一部で、消防団の見回り車両がガソリンがなくなることをおもん

ばかって出動回数を減らしたという事例はあったが、いわゆる消防
本部の消防用車両ではなかった。」

 この消防団の見守り車両のケースも、震災後の話、つまり震災の
後の見回りの回数が減った、という事例になります。
 更に災害時のガソリン不足という教訓を踏まえた対策について
質問を受け、資源エネルギー庁・藤井資源燃料部長は次のとおり
答弁しました。

「2012年に石油の備蓄確保等に関する法律が改正された。」
「具体的には海外から原油の輸入が止まる事態に限定していた備蓄

石油の放出の要件を見直し、災害により被災地等の特定の地域の
不足の際においても放出できるようにした。」
「石油会社に対しても、災害時に被災状況や復旧状況の情報を共有し、

共同で相互に製油所等の設備を共有し、企業の枠を超えて、被災地
に早急に輸送するため経済産業大臣から勧告できるように整備した。
被災地へのガソリンの安定供給に努めて参りたい。」

 → つまりガソリン問題については、
 東日本大震災で、ガソリン不足で救急車が走れなかったという問題
はそもそも生じなかった。
 石油不足については法改正や企業等関係団体との連携を密にする
対策を既に講じた。
 ということがわかりました。 
 …じゃあ、「憲法改正」って必要なんでしょうか?


(⑤に続く)