9月3日(水)の東京新聞朝刊「こちら特報部」に、「貧困層に『経済的徴兵制』?」という記事が掲載されました。
文科省の有識者会議でメンバーの一人が、奨学金の返還ができない人たちについて、
「防衛省などに頼み、1年とか2年とかインターンシップをやってもらえば就職は良くなる。防衛省は考えてもいいと言っている」
と発言したというのです。
国民に服役を義務づける徴兵制がなくても、仕事や収入がないため、軍隊に志願せざるをえない状況になってしまわないか心配されています。
日本学生支援機構によると、奨学金の返還をする義務を負っている人は約322万9000人、うち3か月以上延滞している人は19万4153人いるのだそうです(平成24年度末時点)。
そして、アンケートの結果、3か月以上延滞している人たちのうち、
無職・失業中又は休職中の人が18.2%、非常勤の労働者が15.1%。
また、年収が200万円未満の人は計63%、300万円未満になると計83%にのぼります。
収入の低さが奨学金滞納の主な原因であることは、このアンケートからも明らかですね。
(日本学生支援機構 平成24年度奨学金の延滞者に関する属性調査結果より
http://www.jasso.go.jp/statistics/zokusei_chosa/24_chosa.html)
もし冒頭の発言が現実のものとなったら、これだけの人たちにとって、防衛省つまり自衛隊でのインターンシップがリアルな問題となるわけです。
他人事とは思えない数字です。
自衛隊に1年か2年行ったら、規律の良い生活ができて就職にも有利になる、それだけの話なんだから徴兵制でもなんでもないじゃないか、という意見もあるかもしれません。
しかし、自衛隊(あるいは軍隊)に入って訓練を受けることは、どういう意味を持つのでしょうか。
元自衛官のインタビューによると、これまでは相手を捕獲する訓練が基本だったが、安倍政権になってから「人を標的とする訓練」が始まった、実戦訓練も増えたとのことです。
(2014年7月14日沖縄タイムズ
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=76498)
実戦、すなわち人の命を奪う訓練をするということが、経済的苦境を理由として余儀なくされる、ということです。
そんな状況にしていいのでしょうか。