2015年5月18日月曜日

「平和」でも「安全」でもない法制!? とりあえずここだけは ~その①~

安保法制だか平和安全法制だか戦争法制だかいろいろ言われていますが、安全保障に関する11もの法律の新設・改正が、先日閣議決定されましたね。
「閣議決定」されただけですよ、まだ法律はできていません。まだ止められます。
これから衆議院と参議院で議論が始まります。国会議員の方々にはしっかり議論していただきたいし、これだけ重要な問題について「党が賛成しているから」などという理由で右ならえの意見表明はしないでほしいですね。
ところでこの法制、複雑怪奇すぎて、よくわからないから賛成も反対もできない、という人も多いのではないかと思います。そういう方のために、とりあえずここだけ押さえていただきたいという点について、3回シリーズでご説明したいと思います。ぜひこの記事を使って、まわりの方々に広めていただきたいと思います。

◆その① 存立危機事態…?◆

<集団的自衛権が行使できるようになります>

これまでは、憲法9条があるので、日本が攻撃されていない場合には武力行使はできないとされてきました。しかし、昨年7月1日の閣議決定、そして安保法制では、日本に対する攻撃がない場合でも、「日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」は、防衛出動(自衛隊の武力行使)ができる、とされています。
これが、いわゆる「存立危機事態」に集団的自衛権の行使ができるようになったという点です。

<アメリカが関わってたら存立危機事態?>

でも、この「存立危機事態」。どんな場合が「存立危機事態」になるのか、これだけでは全然わかりませんよね。

昨年7月14日の衆議院予算委員会で、岸田外相は、「米国に対する武力攻撃は、わが国の国民の命や暮らしを守るための活動に対する攻撃になるので、3要件にあてはまる可能性が高い」と言っています。
つまり、アメリカが関わってたらいつでも存立危機事態!?と思ってしまいますね。

さらに今日5月18日、安倍首相は参議院本会議で、生活物資の不足や電力不足も「存立危機事態」にあたると答弁しました。
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=115980
資源やエネルギーの不足で戦争が引き起こされてきた、これまでの歴史を思ってしまいますね。

<先制攻撃した場合でもOK>

また、アメリカが先制攻撃をして、攻撃を受けた国が反撃したという場合でも、「同盟国であるアメリカが攻撃を受けた」ということで集団的自衛権を行使できるんだそうです。今年2月2日に、参議院予算委員会で安倍首相が答弁しています。
これで「アメリカの戦争に巻き込まれることは絶対にない」と言われても、やっていることと180度違っているとしか思えないですよね~。

<どういう事態が起こったから存立危機事態なのかは特定秘密>

さらに、どこでどういったことが起きてどんな事態になったのか、という具体的な事実は、特定秘密に指定される可能性があるんです。
このことは、昨年10月6日の衆議院予算委員会で、安倍首相自身が認めています。
先日の「朝まで生テレビ」で、存立危機事態の認定根拠が特定秘密になる可能性を指摘した出演者に対して思いっきり否定した人がいましたが、残念ながら安倍首相自身が国会で認めてるんですね~。
そうすると、何が起こったから戦争に日本が参加するのか、国民にはヒミツだよ~ということになり、それが良いのか悪いのか判断できなくなりますね。

<国民の権利制限があります>

<国民の権利制限があります>

 武力攻撃事態や存立危機事態には、国民の自由と権利を尊重しよう、という条文があります(武力攻撃事態等安全確保法(案)8条)。

これは、要するに、国民の自由と権利を制限することが前提の条文ですよね。

 ほかにも武力攻撃事態には、国民が、国や公共団体の措置に「必要な協力をするよう努める」という条文もあります(同法(案)8条)。

 こちらは、実は今までもあった条文なのですが、自衛隊による武力行使や他国軍隊支援が増えれば、武力攻撃事態の危険も高まります。

 この「協力」というのは、例えば、限りある物資(資源、エネルギー、食料などなど…)のなかで足りないものが出てきた場合や、道路・鉄道等の使用、医療機関の体制などなど。すべて軍事優先になることが考えられます。

 自衛隊だけの問題だから、自分の子どもは自衛隊には入らないから関係ないと思っている方がもしいたとすると、実は、あなたにも深く関わってくることなのです。

(つづく)