警察に疑われて、調べられたり尾行されたりするなんて、そんなの
犯罪者だけだよね!?って思っていませんか?
実は、イスラム教徒であるというだけの理由で警察に尾行されたり、
個人情報をデータベースにされている実態があるのです。
これは、外国の話ではありません。日本の話です。
このことは、2010年、Winnyを通じてインターネットに警視庁の内部
資料が流出したことでわかりました。
流出した資料のなかに、警視庁が集めたイスラム教徒の個人情報が
大量に含まれていたのです。
警察は、洞爺湖サミットに伴うテロ対策という名目で、東京や愛知の
モスクを監視し、出入りしている人をチェックし、尾行していました。
そして、イスラム教徒(もちろん日本人も含みます)の名前、住所、
勤務先、果ては口座番号まで、警察が集めてデータベースにしていた
んです。
もちろん、イスラム教徒だというだけで犯罪とかテロにかかわっている、
なんていうわけがありませんよね。
なのに、イスラム教徒だからって、テロ対策のためだと言って個人情報
を集めていた、となると…。
これでは、イスラム教徒のみなさんが、ものすごく肩身の狭い思いを
することになると思いませんか?
イスラム教には共感するけれど、警察に疑われたくないからモスクに
行くのはやめよう、ということにもなりかねません。
個人情報を集めてデータベースにしたり、尾行したりすること自体が、
信教の自由を侵害していると思うのです。
警察は、テロを防ぎたい一心でこのような捜査をしているのでしょう。
「テロを防ぐ」という目的そのものが悪いわけではもちろんありません。
でも決して、テロを防ぐためであれば何をやってもいい、ということには
ならないのです。
こんなふうに、警察は、犯罪に関わっている疑いがなくても、イスラム
教徒や労働組合の事務所に疑いの目を向け、監視してきました。
今でも行き過ぎた状況があるのに、
もし277もの犯罪について共謀罪ができて、犯罪の範囲が広がった場合、
どこまでも監視の目が広がることになってしまいます。
モスクに行こうが教会に行こうが友達とラインをしていようが、警察から
監視されているかもしれない社会。
みなさんは、そんな社会にしたいですか?
この事件については、個人情報を集められた方々が東京都を相手に
裁判を起こしました。
最高裁までいきましたが、裁判所は、個人情報を流出させたことについて
は警察の責任を認めたのですが、個人情報を集めたことについては違法で
はないと言ってしまいました。
弁護士としては悲しいことですが、共謀罪についても裁判所がストッパー
になるとは期待できないな、と、この判決からも思ってしまうのです。
5月14日の東京新聞朝刊社会面に、ムスリム違法捜査弁護団の一員
である福田健治弁護士のインタビューが掲載されています。
https://twitter.com/fukudank/status/863626997901045760
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