2017年5月5日金曜日

やや日めくり憲法 55条(資格争訟の裁判)


 5月5日の子どもの日、GWまっただ中の今日、
みなさんはどうお過ごしですか?

ちょっとした合間に、【やや日めくり憲法】も覗いて
くださいね。今日は55条を紹介します。



 日本国憲法55条〔資格争訟〕
  両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を
 裁判する。
  但し、議員の議席を失はせるには、出席議員の
 3分の2以上の多数による議決を必要とする。



「両議院」とは衆議院と参議院、つまり国会のこと。

国会が裁判する…あれ?って思った方いらっしゃいませんか。

  これまで何度も説明していますが、私たちの自由や権利を
守るために権力者の手を縛る、これが立憲主義でしたね。

 権力者の手を縛る手段の一つとして、憲法は、権力が集中
して独裁国家とならないよう三権分立という形をとっています。
 権力を立法、行政、司法の3つに分けて、それぞれ国会、内
閣、裁判所がその役割を担っています。
 ですので、裁判所が司法権を握り、裁判を行う、これが大原則
で、76条には「すべて司法権は、…裁判所に属する」と定めら
れています。

 ところが、その例外が憲法上いくつか定められていて、その
一つが今回紹介する55条です。


 衆議院と参議院は、それぞれ独立して審議や議決を行います。
そのためには、内閣や裁判所からはもちろんのこと、お互いにも
干渉されることなく独自に活動できなければなりません。
 これを議院の自律権と言います。自らの所属する議員の資格に
ついての争いを自ら判断する、これは各議院の自律権の表れの
一つです。


 この「議員の資格」とは、①被選挙権があること、②兼職が
禁止される公職についていないことです。
 この2つの要件いずれかを満たしていなければ議員の資格が
失われることになるので、そのことが争いになった場合に各議院
自ら裁判をすることになります。
…が、これまで一度もこの裁判が実施されたことはありません。


 とはいえ、この規定が各議院の自律権を認める重要なもので
あることは間違いありません。今、国会では共謀罪(テロ等
準備罪)の審議について緊迫した情勢を迎えていますが、
国会議員のみなさんは、自律権が保障された中で活動している
ことの自覚と責任を忘れずに審議に臨んでほしいものです。