2017年5月25日木曜日

憲法審査会ここんとこ超重要!なマメ知識~大事な大事な「中山方式」~



 「2020年に新しい憲法の施行を」と安倍首相が言い出したことを
きっかけに、自民党の中では改憲議論を急ピッチで進めちゃおうと
慌ただしく計画されていっているようです。

 国会の憲法審査会の議論にゆだねる、と言ってきたわりには、
憲法審査会をも強行にとりまとめられかねない事態になっています。

 ここで今回、小口幸人弁護士が
「国民の方々には、ぜひ憲法審査会の『中山方式』を知って頂きたい!」
と訴えています。
 昨日の報道ステーションでも報じられたようです(さすが報ステ!)


 憲法審査会での、議論の進め方については、通称『中山方式』と
呼ばれる慣習が敷かれています。無意識にそういうルールになって
るのではなく、意識的に、しっかり憲法審査会において数回に1度の
ペースで、繰り返し繰り返し確認され続けているルールです。

 もちろん、安倍政権下でも、この『中山方式』で議事が進められて
きました。

 どういう慣習なのか、を示すために、昨年11月17日の衆議院憲法
審査会の議事録(会長発言部分)を貼り付けます。


******* ここから ********

○森会長 
 これより会議を開きます。
 この際、本憲法審査会における議論を再開するに当たり、幹事会の
協議に基づきまして、憲法審査会の特色と、今後の運営に関する私の
所感について、一言申し上げさせていただきます。

 平成十二年に衆参両院に置かれた憲法調査会を前身とする憲法
審査会は、他の常任、特別委員会と異なる数々の伝統と特色を有して
おります。

 例えば、会長代理が置かれ、野党第一党の幹事がこれに充てられる
例となっておりますし、その運営については、与党や野党第一党だけ
でなく、少数会派も含めて幹事会等で協議、決定するとともに、少数
会派や委員にも平等に時間を配分して議論を尽くすという姿勢がとられ
てきました。

 これは、憲法調査会、日本国憲法に関する調査特別委員会を通じて、
一貫して会長、委員長を務められた中山太郎先生を中心として、歴代の
幹事やオブザーバーの方々が築き上げてこられ、本憲法審査会にも
継承されてきたものです。

 このような憲法審査会の伝統と特色は、憲法は国家の基本法であって、
全て国民のものであるという憲法論議に対する基本理念に基づくもので
あります。

 また、憲法調査会以来、国家の最高法規である憲法に関する論議に
おいては、政局にとらわれることなく、憲法論議は国民代表である国会
議員が主体性を持って行うべきとの共通認識に基づき、熟議による合意
形成がなされてきました。ここに、議論に真摯に取り組まれてきた各党に
改めて敬意を表します。

 今後ともこの共通認識に基づき、国民に対してオープンな場である
憲法審査会において、国民の代表者たる国会議員により、憲法改正の
必要性の有無とその内容について熟議を重ねるとともに、国民の憲法
論議に関する理解も深めていただくことが重要であります。

 私は、会長として、これまでの憲法審査会の運営方法を継承して、
少数会派の 意見も十分に尊重し、幹事会における協議、決定に基づいて、
円満かつ公正公平 な運営を行っていく所存でございます。

 御協力のほどよろしくお願い申し上げます。


******* ここまで *******


 この『中山方式』と呼ばれる慣習には、「憲法は主権者国民のものである」
という強い意識が根底にあり、「政治家主導での改憲論議は許されない」と
いうポリシーがあります。

 ときの政権が強大な力をもっても、あるいは仮に過半数の国民が支持して
いても、憲法だけは、国民の総意、少数派からもある程度の同意がないと
変えられない。強行採決でベルトコンベアーのようには通させない、という
強い意思から生まれたものです。


 この慣習に対し、安倍首相は「議論のスピードが遅すぎる」と憤り、
今月3日以来、憲法審査会に対し、介入を試みているようです。

 この意義深く重要な「中山方式」を蹴破るような強硬な策を、自民党が
採るかどうか…それは主権者がどれだけそれを警戒するか、にかかって
います。

 中山方式を捨てるなんて許さない、きちんと深い、国民主導の議論をしなきゃ
ダメだよ!
と、自民党に強く強くメッセージを放っていかなければなりませんね☆

 小口弁護士はじめ、あすわか弁護士も、憲法カフェで「中山方式」について
触れていこうと思います。