2017年5月7日日曜日

やや日めくり憲法57条(国会における会議の公開・秘密会)

日本国憲法 57条〔会議の公開と会議録〕
1 両議院の会議は、公開とする。但し、出席議員の
 3分の2以上の多数で議決したときは、秘密会を
 開くことができる。
2  両議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の
 記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、
 これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。
3  出席議員の5分の1以上の要求があれば、各議員の
 表決は、これを会議録に記載しなければならない。



この辺りの条文では国会の話をしているので、
57条の「両議院」とは、衆議院と参議院を指します。

どちらも、主権者国民を代表する人たちの機関なので、
そこで何をしているのかは、原則として当然、
主権者国民に見せられるものであるはずです。

実際に議場に傍聴人を入れるだけではなく、
テレビやインターネットでも放送され、遠くに住んでいる人でも、
国会で何を議論しているのかを見ることができます。

国会議員が勝手に、
「こんな法案を議論していることは国民になるべく知られたくないから、
こっそりやろう…」
と言い出さないように、
国会に国民の目を届かせることを、憲法が約束してくれています。

とはいえ、まったく例外がないと、困ることもあるかもしれません。
国会でも、誰にでも見せられることばかり議論されるとは、限りません。
そこで、「出席議員の3分の2」という厳しい条件で、
秘密会、つまり公開しない議会を開くことができることとしました。

ちなみに、国会の本会議が秘密会とされたことは、今のところありません。

ここまでが、1項です。

2項は、国会の会議録は保存して公開しようね、ということです。
会議をやったその時に公開するだけではなく、
事後的にも国民がチェックできるようにしています。

3項は、「表決」についてです。
表決とは、簡単にいうと、議員が賛成したり反対したりすることです。
テレビで、議員が一斉に立ち上がったり、
押しボタンで賛成や反対の意思表示をしたりするのを見たことがあるかもしれません。
(ちなみに、立ち上がって賛成や反対をするのは衆議院、
押しボタンを使うのは参議院です。)
そのどちらでもなくて、議員一人ひとりが前に出ていって、
札のようなものを提出している場合もありますね。
※昔の国会で「牛歩戦術」といっていたのは、
あの札を持って前に出るときにゆっくり歩くことで時間稼ぎをして、
国会の会期が終わってしまうまで粘ることで、
反対したい法案が廃案になるのを狙ったものです。

その結果についても、一定の議員から要求があるときは、
会議録に載せることで、国民のチェックを入れられるようにできるよう定めています。

ある法案に誰が賛成し、誰が反対したかを見ることは、
「誰が憲法を守ろうとし、誰が破ろうとしたか」のチェックになることがありますからね。