2015年5月31日日曜日

「要件を満たせば他国の領域内での戦争もありうる」←やっと首相が認めました


 衆議院での安保法制の審議がおこなわれています。

 5月28日、辻元清美議員が
「新三要件が満たされれば、他国の領土,
領海、領空でも武力行使ができるのか」

と質問したところ、安倍首相は

純粋、法理上はありうる。
しかし、それはいわば机上の法理上に
おけるものだ。政策上はホルムズ以外は
念頭にないということは繰り返し申し上げて
おきたい」

と答弁しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150528/k10010094801000.html
 

 ついに認めました。

 安倍首相の答弁の「しかし、それは…」以下の言い訳はこの際
どうでもよく、「純粋、法理上はありうる。」という答弁の重要性、
皆さんはお分かりですよね。

 首相や政府考えている政策上どうこうとかは聞いていません。
聞いていないし関係ありません。
 問題なのは、「要件さえ満たせば他国領域内での戦争ができる」と
読める法律を作ろうとしている、ということです。
 もう一度。
 重要なのは、首相自身が、「自分はこれから、要件を満たせば
他国の領域内で戦争できる、と読める法律を作るんです。」と認めた
ことです。

 そう読めてしまうことが最初から分かっていて、しかも「でも
政策上はホルムズ以外は念頭にない」というのであれば、
ホルムズ海峡での事態だけに特化した法律にすればいいはず
です(それだって戦争する法律で、憲法違反なのでどっちにしろ
許されませんが)。
 それなのに、政府はあえて「読もうと思えば、他国内で戦争できる、
と読める法律」を作ろうとしている。

 法律は、それを作った政府が終わった後も生きています。
作った政府の思惑はどうであれ、法律は残り、運用され続けます。
将来、どんな政権がどんなつもりで法律を運用するか、作った
政府は予測できませんし、予測できないからこそ、誤った運用・
危険な運用がなされないようなきっちりとした言葉を選んで法律
の条文を作らなければなりません。
 それを分かっていながら、あえて「法理上、他国領域内の戦争を
可能にする法律」を作るというのは、つまり、そのうち他国領域内
で戦争することを目論んでいるからなのでは?と勘ぐりたくなります。
 何度でも問い詰めたいのですが、首相は今まで、いつもいつも、
まるで誠実に答弁してくれませんでしたし、あの名ゼリフ「我々が
提出する法律についての説明はまったく正しいと思いますよ、
私は 総理大臣なんですから」で、また強制終了してしまうかも
しれませんね。
 


(追記 三権分立ってなんだろう)
 政府や首相の不誠実なやり方が露骨で、主権者として本当に
ガッカリしています。
 辻元議員のこの日の質問は、上記の「法理上はありうる」発言を
引き出したことが大きな収穫なのですが、首相が辻元議員に「早く
質問しろよ」とヤジを飛ばしたことの方が大きく報道されてしまって、
せっかくの収穫が隠れ気味なのが残念です。
 とはいえ、これは大・大・大問題です。
政府が「こういう法律作りたいんですが」と主権者国民の代表機関
に提出したから、代表機関(国会)がそれを審議する。問題があると
思えば徹底的に大臣や首相を問いただす。特に、今回のこの安保
法制の改定は、実質的な憲法改正なのですから、国会議員が問題
点をあげて追及するのも当たり前の話です。そんな場で、首相が
国会議員の質疑をヤジで妨害する、って…国会を軽視するのは、
国民を軽視しているのと同じことです。
朝日新聞は国会と国民を「侮辱している」と社説で批判しています。
そのとおり、侮辱に等しい行為です。
 ほんとに悲しいことですが、安倍首相には、国民から選んでもらった
国会議員であるという自覚もなければ、この国は国民が主人公の国
であるという認識もないように見えます。 

「平和」でも「安全」でもない法制!? とりあえずここだけは ~その③~

連載してきました、閣議決定の関連法案シリーズ
第3弾の今日は、「国際平和支援法」を見てみたいと思います!
 
..
「国際平和」を「支援」するなんてステキ!
なんて考えないでくださいね。

簡単にいうと
この法案は、
これまで必要だった特措法がなくても自衛隊の海外派遣ができるってもので
「重要影響事態法」の我が国と関係ない版、です!

ん?
① 特措法?
② 重要影響事態法?
と思った方、
長いですが、頑張って読んでくださいね


<国民の議論もないまま行けちゃうよ>
① 特措法って?
特別措置法の略でして
何のために海外へ行くのか、いつまで行って、何をするのか? を具体的に決めた法律です
自国を守らなきゃいけないはずの自衛隊が海外に行くのは、超例外的だから、国会でこれらの事項をしっかり議論して決めましょう、というイメージです。

この特措法がないってことは、
どこへ行くか、いつまで行くか、何をするか、という事項は、内閣で決められるってことです。

あれ? 「事前承認」は?
と思った方、するどい!
そう、特措法がない代わりに事前承認が必要ってことになっています。
でも、この承認、各議院に要請があってから7日以内にしなきゃいけないんですよね。
7日ですよ、たった7日間じゃ、内閣の言っていることが正しいのかを十分に確認したり、ましてや国民の意見を聞くことはできないでしょうね。
時間足りなすぎですよね。

それに、なんてったって、秘密保護法がありますからねぇ
「自衛隊が行って何をするんですか?本当に行く必要あるんですか?」
「それは作戦にかかわることなのでヒミツです」
「自衛隊が行く場所は戦闘現場じゃないんですか?」
「それも米軍の作戦にかかわるのでヒミツです」
・・・・・・
「はい、採決でーす。賛成の方ご起立ください」
みたいな(苦笑)
だから、特別措置法がないってことは、要するに、国民の声を聞くことなく、国会での審議もそこそこに自衛隊が海外にいけちゃうってことなんです。


<自衛官が攻撃する危険・攻撃される危険が高まるよ>
② 重要影響事態ってなんだっけ?という方
http://www.asuno-jiyuu.com/2015/05/blog-post_79.html
をご覧くださいね!
で、どういうことかというと
重要影響事態法で自衛隊ができる活動と
国際平和支援法で自衛隊ができる活動って、ほとんど一緒なんです。

たとえば、いずれも
●活動場所は
「現に戦闘が行われている現場(戦闘現場)以外」なら戦闘地域でもOKですし
「捜索救助活動」であれば「戦闘現場」でもOKです。
●活動内容は
武力行使をしている他国軍の支援です
●武器の使用は
自己保存型だけではなく武器防護型も含まれます

そう、この2つは、ほとんど一緒なんです
ということは、不安な点や危険な点も一緒ってことですね。
例えば、
いわゆる兵站活動(戦争遂行に不可欠の供給業務)をしているので自衛隊が攻撃を受けるリスクは一気に高くなりますよね。
反対に、
やられそうになって(と思って)反撃しちゃうとか
テロリストだと思って武器を守るために攻撃しちゃうとか
自衛官が攻撃をしなきゃいけない場面にもなりやすくなっちゃうんですよね

これまで海外で発砲してこなかった自衛官が、今後は海外で攻撃をしてしまう可能性もびっくりするほど高まるんですよね。

あれ?
これって何のための法律でしたっけ?
国際平和支援?

2015年5月27日水曜日

今夜、田村弁護士がレイバーネットTVで安保法制語ります☆


 安保法制の審議が始まったようで…
 ところでアンポって言葉、やっぱりなんか違和感ありますよね。
 安全保障、略して、安保。
 安全保障…って言われてもその意味モヤモヤっとしてますけれど、
ズバっと言えば、軍事ですよね。
 つまり戦争するための体制ということ。

 日米安全保障条約が締結された時からアンポって言葉に
何十年もなんとなく慣らされてきてしまった感ありますが、
これも「日米軍事同盟」とズバリ正直に表現してくれればいい
のに、と思います。
でもそれもきっと意図的に言い換えているのでしょう…軍事
同盟なんて言ったら国民もっと警戒しますものね…フぅ(-_-)。


 さて、今晩、当会会員田村優介弁護士が、レイバーネットTV
というインターネットTV(公開スタジオで生放送)に出演します。
q(≧∇≦*)(*≧∇≦)pキャー
 若い方々と一緒に安保法制(つまり戦争法案)を議論します。
どうぞお見逃し無く!
 以下、レーバーネットTVさんの番宣を貼り付けます☆


*:.。..。.。o○*:.。..。.。o○*:.。..。.。o○*:.。..。.。o○*:.。..。.。

労働者の 労働者による 労働者のための 
レイバーネットTV 第87号放送

特集:戦争はイヤだ! 若者オブジェクション

・日時 2015年5月27日(水曜日)20:00~21:30

・視聴アドレス
http://www.labornetjp.org/tv

・配信場所 バンブースタジオ(竹林閣)
  
http://vpress.la.coocan.jp/bamboo.html
(地下鉄「新宿三丁目駅」E1出口近く)

・キャスター  松元ちえ 土屋トカチ

【ニュースダイジェスト】5分
ここ2週間のホットなニュースをお伝えします。

【特集前半:戦争はイヤだ!~現状に対する若者オブジェクション】35分
ゲスト=菱山 南帆子(許すな!憲法改悪・市民連絡会)
    須田 凌太(Peace Night 9)
    黒田 朝陽(Peace Night 9)
    田村 優介 (明日の自由を守る若手弁護士の会)ほか

 「若者は政治に無関心」「若い人は声をあげない」・・・
そんな批判がある中、国会前のデモや集会で存在感を
増す若者たちがいる。安倍政権下で推し進められる戦争
法案に反対の声をあげ、憲法9条を守ろうと動きはじめた。
戦後70年にして、非戦日本をつらぬけるのか・・・
戦争を知らない世代が語ります。

【ほっとスポット】8分 
*特集の合間の休憩タイム
 ジョニーHの替え歌と乱鬼龍の川柳で元気になろう。
 歌の内容

【特集後半:戦争はイヤだ!~行動提起に関する若者オブジェクション】35分
 戦争法案をつぶすにはどうしたらいいのか、ゲスト・
スタジオ観覧者・視聴者と一緒にディスカッションします。

【さよならのポエム】5分

★レイバーネットTVは公開放送です。中継スタジオで
 一緒に盛り上がりましょう。

★ツイッターコメント歓迎。ハッシュタグは #labornettv です。

2015年5月26日火曜日

5月27日 あっちで憲法カフェ☆こっちでトークショー☆


 水曜日に、あすわかメンバーが東京のあちこちで活躍いたします
ので、どうぞお誘い合わせの上お集まり下さいね(^^)/

<憲法カフェ@三軒茶屋>

日時: 5/27(水) am 10:00~11:30

場所: ふろむあーす&カフェオハナ(三軒茶屋)
 東京都世田谷区三軒茶屋1-32-6 (駅徒歩2分, 246通り沿い1F)
 Tel/Fax (03) 5433-8787
 http://www.cafe-ohana.com/

テーマ: 安保法制と憲法

講師: 倉持麟太郎弁護士(
    明日の自由を守る若手弁護士の会)

参加費: 500円(資料代込み)+ オーダー(*要予約)

主催:空間の感触

* お問い合せ・予約は、以下のフォームよりお願いします。
 http://form1.fc2.com/form/?id=914809

*ナチュラル&ピースSHOP + オーガニックベジCAFE
 ふろむあーす & カフェオハナ
 Twitter:http://twitter.com/cafe_ohana
 facebook:https://www.facebook.com/fromEarthCafe.OHANA



<トークショー>

 映画館で、『小さき声のカノン』上映後に、太田啓子弁護士と
武井由起子弁護士によるトークショーが開催されます。
自民党が「お試し改憲」としてまずとりかかろうとしている環境権
や緊急事態条項(国家緊急権)について、それって本当に必要
なの?という疑問にお答えする予定です。
 原発推進しながら環境権の保障って(-_-;)?みたいな疑問も
ありますよね。国家緊急権が発動されたら、原発事故の報道
なんて規制されるでしょうし(自民党改憲草案のまま実現して
しまったら、実際そうなる可能性がかなりあります)…
今後の改憲の議論に、マストな知識、今のうちに頭の中に
入れちゃいましょう!

日時: 映画上映 12:20〜14:19
   上映後にトークショー 

場所: アップリンク
  〒150-0042
  東京都渋谷区宇田川町37-18 トツネビル1階
http://www.uplink.co.jp/movie/2015/37069


<憲法お話会@百合ヶ丘>

 おっと、この日は武井弁護士朝から夜まで憲法三昧デーなのですねw

「人権って、憲法ってなあに?」
日時: 2015年5月27日(水)9:40-11:40
   (9:20ー受付開始)

講師: 武井由起子弁護士(明日の自由を守る若手弁護士の会)

会場: 川崎市北部リハビリテーションセンタ-3階会議室
   (小田急線 百合ケ丘駅下車 徒歩12分またはバス)

参加費:無料

定員:70名(先着順、事前申込も受け付けます)


保育はありませんが、会場後方に子供用スペースを準備します。

主催・お問合わせ・申込先:
  地域活動支援センター 日だまり工房 
   tel/fax(044)965-4311 mail:slt-spt@nifty.com


*主催者さまからのメッセージ
 仕事のなかで、いろいろ考え悩むこともあります。でも、そういう時に必ず思うのは、子ども、体の弱った高齢者、障害のあるひと、は、自分で自分を守れなかったり、自分のいいたいことを言えなかったりしますが、そういうひとも、そうじゃないひとと同じような人権がある、ということです。
  原発事故のとき、高齢者や身体の弱い人は避難が大変で、多く、亡くなったりしました。
 その後も十分な避難計画ができているとは思えないまま、再稼働するというのは、ある命を最初から見捨てることを意味していると感じます。
 そんな今、人権は守られ、そして等しいはずということを今一度考えてみたいと思いました。

2015年5月24日日曜日

お見逃しなく☆おしゃれ9条Tシャツのキャンペーンは24日まで!


 先日お知らせした、代官山のknife *acoustic groove*さんと
あすわかとの特別コラボ、もうチェックしてくださいましたか?
http://www.asuno-jiyuu.com/2015/05/knife-acoustic-groove.html


 おかげさまで、おっしゃれ~な9条Tシャツの売り上げ絶好調です!
80名ほどの方からの、120枚に迫る売れ行きとのこと。
 平和を愛する皆さまのご支援のたまものです。
 中野さんの素敵なアイディアと平和への祈りを込めたTシャツが、
「着るだけで立派な平和アクションじゃん♪」と何人もの人のフダン
ノドリョクをパワーアップさせてくれたと思うと、すてきな輪が広が
ったなぁと感無量です。

 このキャンペーン、なんと24日つまり今日まで!
ぜひぜひもう一度、「あ、あの人に贈ろうかな」とか、買い忘れは
ないか、ご確認をw 周囲のご友人へも教えて差し上げて下さい。
 おそらくこれから全国各地で、安保法制ちょっと待ったぁ!という
デモなどが行われるはず。そのとき、このTシャツを着て、彩りを
添えてくださいね。
 
 http://k-a-g.shop-pro.jp/


 *・゜・*:.。 (再掲)デザイナー 中野 貴さんより *・゜・*:.。.*

  現在受注中の「war is not healthy(戦争は不健康)」「article 9
(憲法第9条/英文)」の帆布トートバッグ、Vネックカットソーについて、
この売上の5%(微力でごめん)を「明日の自由を守る若手弁護士の
会(あすわか)」による「憲法カフェ」に寄付(カンパ)させて頂く事と
しました。現状、それぞれの手持ち弁当で、各地の憲法カフェは
開催されています。
  どの様な立場であったとしても命は大切なものだし、戦争反対
だなんて言うまでもない当たり前の事です。何故、殺し合うのか。
何故、壊し合うのか。どうあるべきか以前に、どの様な事の上に
みんなの生活が成り立っているのか考える事は、決して悪い事
ではありません。あすわか(呼び捨てごめん)の中には、個人的に、
首相官邸前集会に集まった人々を法的に見守り続けている弁護
士もいます。1つ1つは小さな事であったとしても、それぞれに
出来る事が循環し始めた時、何かが変えられるのだと信じて
います。
 それでも、未来は変えられる。

 「戦争は終わる、キミが望めば」by ジョン・レノン。
knife *acoustic groove* http://k-a-g.com

2015年5月23日土曜日

「平和」でも「安全」でもない法制!? とりあえずここだけは ~その②~

シリーズ2回目です。
◆その② 重要影響事態…?◆...
 「重要影響事態」って、また漢字ばっかりで嫌になりますけど、言葉を分けてみると「重要」な「影響」がある「事態」となります。なんとなく意味は分かる気がしますが、それでもどんな「事態」なのか、これだけではイメージできないですよね(>_<)



<どこでも行けちゃいます>
 実は、「重要影響事態」は「周辺事態法」を改正して新たに作られる考え方なのですが、「周辺事態」の定義も「重要」な「影響」がある「事態」なんです。
  違うのは、周辺事態には「我が国周辺の地域における」という言葉が入っていること。
 つまり、今回の改正では、この「我が国周辺の地域における」という言葉がなくなるんです。
ということは、世界中どこでも「重要」な「影響」がある「事態」が発生すれば、この法律に基づいて自衛隊が活動することになります。


<戦闘地域でもOK>
 さらに実は、の話なのですが、このように地理的な制約がなくなるだけじゃありません。
  自衛隊が行う活動の地域・内容も拡大しちゃいます。
 まず地域ですが、「周辺事態法」では、自衛隊が活動する場所は「後方地域」に限られていました。
 それが今回の法改正では、戦闘現場でなければOKとなります。
 そして内容ですが、これまで禁止されていた弾薬の提供や航空機に対する給油も解禁となります。
 そうすると、さっきまで戦闘現場だったけど一時的に戦闘が中止しているような場所で、自衛隊が米軍等に切れた弾薬を提供したりすることもできるようになります。
 これって、「武力行使の一体化」って言えません?


<事故承認でもOK>
 またまた実は、の話なのですが、今回新設されようとしている「国際平和支援法」というのと「重要影響事態法」って、活動地域も内容もほとんど一緒なんです。
  違うのは、「国際平和支援法」が「国際社会の平和と安全」を目的とするのに対して、「重要影響事態法」は「日本の平和と安全」を目的とするということ。
 で、与党協議で問題となっていた国会の事前承認というのは、「国際平和支援法」で必要となったのですが、「重要影響事態」は「日本の平和と安全」にとって「重要」な「影響」のある「事態」なので、例外的に国会の事後承認が認められます。
  何かだまされた気分…。


<結局、重要影響事態って何?>
 と、「重要影響事態」について説明してきましたが、イメージはつかめましたか?
 えっ、よく分からない?
 そうかもしれません。
 そもそも、どんな事態になれば「日本の平和と安全」にとって「重要」な「影響」のある「事態」と言えるのかよくわかりませんし、それを判断する政府の腹一つ。
 そして、「重要影響事態」って判断されれば、自衛隊が危険な地域で「武力行使の一体化」と言えるような活動をする。
 こういう憲法違反の仕組みを作ること自体、問題大アリです。

2015年5月21日木曜日

土曜朝、ラジオで竪十萌子弁護士のプチ憲法カフェ☆


 昨日の党首討論、ご覧になりましたか?


 うっそーーーーー、っていうほど、党首さん達の質問に
答えてくれませんでしたね、安倍首相。

 あんなに何度も「首相、質問に答えて下さい」と言われても、
頑として答えない首相。

 一体、何故なのでしょうね…

 答えたくない(=国民に説明したくない)、という強い気持ち
だけは伝わりました。とっても残念です。


 さてさて、国民が権力をしっかり縛っておくための憲法なのに、
権力がどんどん憲法を壊していってしまうような時代だからこそ、
しっかり憲法のABC、知っておきたいですね。
 そんなニーズもあって、竪十萌子弁護士の憲法ママカフェは
相変わらず大人気です。
 その竪弁護士が、ラジオでプチ憲法カフェを開きます!
 埼玉近郊以外の方でも竪弁護士の憲法カフェをちょこっと
だけ疑似体験できる大チャンス到来です☆
 本人は、「多くの人が聴いていると思うと緊張する~~」、と
言っていますが、いつもどおりのエネルギー&スマイル全開
のおしゃべりが聴けることでしょう(^^)/♪


日時: 5月23日9時半頃~(約10分間)

TBSラジオ 土曜ワイドラジオTOKYO 
永六輔その新世界 
「ラッキィ池田のTOKYO粗雑な疑問」

http://www.tbs.co.jp/radio/rokuchan/


 ぜひぜひお聞き逃しなく~~☆

2015年5月20日水曜日

首相が読んでいないというポツダム宣言を読んでみた件

今日、1年ぶりの党首討論で、安倍首相がポツダム宣言を読んだことがないとおっしゃったということで話題になっていますね。

共産党の志位さんが、ポツダム宣言が日本の侵略戦争を批判しているが、首相はこのポツダム宣言の認識を認めるか、と質問しました。
これに対して、安倍首相が、
「ポツダム宣言をつまびらかにしたことはありませんが、連合国の理解について論評はできない」
と答えたとのこと。


日本の首相が、
しかも戦後レジームからの脱却を目指すと言っている首相が、
ポツダム宣言をつまびらかにしたことはないというのは、少しびっくりしてしまいました。

これも良い機会ですので、ポツダム宣言をみてみましょう。
実は、全文でもとても短いものです。
http://www.ndl.go.jp/constitution/etc/j06.html

今日の党首討論で話題になったのは、6条と8条です。

6条は、無責任な軍国主義が世界から駆逐されるまでは平和、安全及び正義の新しい秩序が生まれない、なので、日本国国民をだまして世界征服などという行動に出る誤りを犯させた者の権力と勢力を永久に取り除くべき
と言っています。
つまり、大日本帝国の軍国主義を厳しく批判し、
先の大戦のことを「世界征服」を目指した、つまり侵略戦争だったと言っているわけですね。

続いて8条も、カイロ宣言をちゃんと実現すべき、と言っていて、
そのカイロ宣言というのは、
日本が中国から「盗取した」地域を中国に返すとか、
日本が暴力と貪欲によって日本が「略取した」とか、
朝鮮人が「奴隷状態」にあるとか、
大日本帝国の行動を厳しく非難しているものです。

日本は、1945年8月14日にポツダム宣言を受諾し、戦争に負けます。
こういった厳しい内容の宣言を受け入れることで、日本の戦後は始まったわけです。
安倍首相が脱却を願う「戦後」ですね。
まさに批判対象そのものです。

このポツダム宣言は、日本の戦後のいわば基盤です。
たとえば、10条で民主主義を強化すべきといって、言論の自由、宗教の自由、思想の自由や基本的人権の尊重を確立すべきと言っています。
6条では軍国主義を完全に追い払うと言い、
7条では日本の戦争遂行能力を破壊すると言っています。

…なんか、日本国憲法みたい、と思った方、鋭いですね。
こんな内容のポツダム宣言を受け入れた以上、明治憲法をもっと民主主義的な憲法に改正することは当然のことだったんですね。

ほかにも、8条で日本の領土を決めていたりしますが、これは領土問題を考える上で避けて通れない条文ですね。

このように、今の日本の基盤となっているポツダム宣言。
みなさんも、安倍首相と一緒に勉強するつもりで読んでみませんか?

2015年5月18日月曜日

「平和」でも「安全」でもない法制!? とりあえずここだけは ~その①~

安保法制だか平和安全法制だか戦争法制だかいろいろ言われていますが、安全保障に関する11もの法律の新設・改正が、先日閣議決定されましたね。
「閣議決定」されただけですよ、まだ法律はできていません。まだ止められます。
これから衆議院と参議院で議論が始まります。国会議員の方々にはしっかり議論していただきたいし、これだけ重要な問題について「党が賛成しているから」などという理由で右ならえの意見表明はしないでほしいですね。
ところでこの法制、複雑怪奇すぎて、よくわからないから賛成も反対もできない、という人も多いのではないかと思います。そういう方のために、とりあえずここだけ押さえていただきたいという点について、3回シリーズでご説明したいと思います。ぜひこの記事を使って、まわりの方々に広めていただきたいと思います。

◆その① 存立危機事態…?◆

<集団的自衛権が行使できるようになります>

これまでは、憲法9条があるので、日本が攻撃されていない場合には武力行使はできないとされてきました。しかし、昨年7月1日の閣議決定、そして安保法制では、日本に対する攻撃がない場合でも、「日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」は、防衛出動(自衛隊の武力行使)ができる、とされています。
これが、いわゆる「存立危機事態」に集団的自衛権の行使ができるようになったという点です。

<アメリカが関わってたら存立危機事態?>

でも、この「存立危機事態」。どんな場合が「存立危機事態」になるのか、これだけでは全然わかりませんよね。

昨年7月14日の衆議院予算委員会で、岸田外相は、「米国に対する武力攻撃は、わが国の国民の命や暮らしを守るための活動に対する攻撃になるので、3要件にあてはまる可能性が高い」と言っています。
つまり、アメリカが関わってたらいつでも存立危機事態!?と思ってしまいますね。

さらに今日5月18日、安倍首相は参議院本会議で、生活物資の不足や電力不足も「存立危機事態」にあたると答弁しました。
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=115980
資源やエネルギーの不足で戦争が引き起こされてきた、これまでの歴史を思ってしまいますね。

<先制攻撃した場合でもOK>

また、アメリカが先制攻撃をして、攻撃を受けた国が反撃したという場合でも、「同盟国であるアメリカが攻撃を受けた」ということで集団的自衛権を行使できるんだそうです。今年2月2日に、参議院予算委員会で安倍首相が答弁しています。
これで「アメリカの戦争に巻き込まれることは絶対にない」と言われても、やっていることと180度違っているとしか思えないですよね~。

<どういう事態が起こったから存立危機事態なのかは特定秘密>

さらに、どこでどういったことが起きてどんな事態になったのか、という具体的な事実は、特定秘密に指定される可能性があるんです。
このことは、昨年10月6日の衆議院予算委員会で、安倍首相自身が認めています。
先日の「朝まで生テレビ」で、存立危機事態の認定根拠が特定秘密になる可能性を指摘した出演者に対して思いっきり否定した人がいましたが、残念ながら安倍首相自身が国会で認めてるんですね~。
そうすると、何が起こったから戦争に日本が参加するのか、国民にはヒミツだよ~ということになり、それが良いのか悪いのか判断できなくなりますね。

<国民の権利制限があります>

<国民の権利制限があります>

 武力攻撃事態や存立危機事態には、国民の自由と権利を尊重しよう、という条文があります(武力攻撃事態等安全確保法(案)8条)。

これは、要するに、国民の自由と権利を制限することが前提の条文ですよね。

 ほかにも武力攻撃事態には、国民が、国や公共団体の措置に「必要な協力をするよう努める」という条文もあります(同法(案)8条)。

 こちらは、実は今までもあった条文なのですが、自衛隊による武力行使や他国軍隊支援が増えれば、武力攻撃事態の危険も高まります。

 この「協力」というのは、例えば、限りある物資(資源、エネルギー、食料などなど…)のなかで足りないものが出てきた場合や、道路・鉄道等の使用、医療機関の体制などなど。すべて軍事優先になることが考えられます。

 自衛隊だけの問題だから、自分の子どもは自衛隊には入らないから関係ないと思っている方がもしいたとすると、実は、あなたにも深く関わってくることなのです。

(つづく)

2015年5月15日金曜日

自民党主導の改憲をバッサリ!オススメ新聞記事みーつけた☆


 昨日、安保法制の閣議決定を受けて、安倍首相が記者会見を
しました。
「戦争法案などといった無責任なレッテル貼りは全くの誤り」
「あくまで日本人の命と平和な暮らしを守るため、そのために
あらゆる事態を想定し、切れ目のない備えを行うのが今回の法案」
                 
 … ( ゚ρ゚ ) ポカーン

 首相は、閣議決定に際して、全条文を読んでいるのかな、という
気持ちになってしまいました。
 自国の権益を守るためなら先制攻撃も辞さない世界最大の軍事
大国であるアメリカとの軍事同盟を盤石なものにするため、という
法整備です。それって、アメリカから要請を受ければ、日米同盟と
いう絆を言い訳にいつでもどこでも戦争しに自衛隊を差し出して
戦争する国になるわけです。戦争放棄、戦力不保持の憲法9条を、
完膚無きまでに壊す法整備です。なのに、それを指摘することの
どこが「無責任なレッテル貼り」なのでしょうか?

 ポカンとしてても始まりませんね、今日も元気よく、自由と平和を
シャウトしましょう~


 さてさて、ご紹介したい新聞記事があります。
地方紙ってがんばってるなぁ、と感動したものがいくつかあります。


<5月12日 岩手日報>
http://www.iwate-np.co.jp/ronsetu/y2015/m05/r0510.htm
「緊急事態条項 見えない改憲の必要性」


 自民党が、改憲の手始めとして、緊急事態条項という、国家
緊急権の制度を作ろうとしています。大災害の時に迅速に政府
が対応できなければならない、という理屈で主張しているの
ですが、この社説は、大震災を経た今、被災地として極めて
的確に、「不要です」とキッパリ語っています。


***(一部引用)

 緊急事態条項にしても「お試し」というほど軽いものではない。
自民党の憲法改正草案では、「国難」の際には憲法を一時的に
停止し、首相に権限を集中させる。国民の権利は当然制限される。
 しかし、現在の災害関連法には既に緊急事態の規定がある。

災害対策基本法では、これまで発動されたことはないが、大災害
時には首相が災害緊急事態の布告を発することができると定め
ている。現行法でも足りる。
 東日本大震災であれほどの甚大な被害となったのは、事後の

対応のまずさよりも平時の備えが不十分だったためだろう。
憲法でさらに屋上屋を架して緊急事態条項を規定していても
被害を防げるわけではない。

***

 説得力ありますね。
他にも、「そもそも緊急事態条項でお試し改憲、というやり方自体
が不純。改憲の世論など高まっていない。」とバッサリ斬っています。


<5月13日 信濃毎日新聞>
http://www.shinmai.co.jp/news/20150513/KT150512ETI090004000.php
 朝刊一面コラム「斜面」

 自民党が書いた改憲マンガを取りあげています。

***(一部引用)
 新憲法は平和主義や人権尊重などの面でむしろ時代を
先取りしている。GHQ案は憲法学者鈴木安蔵らによる
民間の「憲法研究会」の草案を参考にした。漫画はこれらの
評価や史実には目をつぶる。価値や功績より「出自」に重き
を置くのは、復古調の改憲案を売りにする党らしい
***

 国民の基本的人権とか、国家を縛るとか、そういう近代の価値観
をどうしても好きになれない方々が、憲法改正をみんなに広めようと
すると、こういう論調の流れのマンガにならざるを得ない…という
現実が暴露されている感じですね。
 なんと、先日連載していたあすわかの「ツッコミを入れずにはいら
れないネシリーズ」も紹介してくださっています☆チェックしてくださって
ありがとうございます信濃毎日さん!O(≧∇≦)O

2015年5月14日木曜日

5月19日 夜の大都会で憲法カフェ by武井弁護士☆


 今日お知らせする憲法カフェは、企業が主催する夜の憲法カフェ☆

 働いた後にもうちょ~っっっとお付き合い頂いて…都心で
憲法学んじゃいましょう。
 ソーケンという内装会社さん&地域ユネスコさんとのタイ
アップ企画です。
 (ちなみにソーケンさんのCSRは充実していて、グループが
製作したアニメは、夕張などの国際映画祭で高い評価を受け
たりしています☆)
 今回も太っ腹に、なんと入場無料、ライブ&アニメ映画&
美味しいおにぎりまで楽しめます☆


日時: 2015年5月19日(火) 19:00~22:00
   (18:45より受付開始)

場所: ソーケン・ソーシャルサロン(地下鉄茅場町駅徒歩4分)
   申込不要、入場無料
   http://www.soken-net.co.jp/doc/socialsalon02.pdf

講師: 武井由起子弁護士(明日の自由を守る若手弁護士の会)
  CSR企業の社長様のお話、ユネスコ憲章解説も!


【ソーシャルサロンとは?】
http://www.soken-net.co.jp/doc/socialsalon01.pdf

2015年5月13日水曜日

期間限定☆ knife *acoustic groove*さんとのコラボTシャツ!


 
 このたび、代官山のknife *acoustic groove*さんと
「明日の自由を守る若手弁護士の会」の特別コラボが実現しました。
(武井由起子弁護士とデザイナー中野貴さんとの奇跡なご縁が
きっかけでした♪)
 写真のおしゃれなTシャツ(Vネックカットソー)と帆布トートバッグ、
英語で憲法9条が書かれているのです!


 期間限定でこれらの売り上げの一部があすわかに寄付される
ことになりました!集まったカンパで、このメゾンで憲法カフェが
開催できたらいいなと考えております。
http://k-a-g.shop-pro.jp/



 q(≧∇≦*)(*≧∇≦)p ぃやったぁぁぁ~☆


 「政治活動」なんて堅苦しい言葉で言われると、敷居を高く
感じてしまうものです。
 このカットソーを着て歩くだけでも、メッセージ力はハンパあり
ません。おしゃれに楽しくできなきゃ、やる気は持続しません。
笑顔でやれるアクションは、共感も広がりやすいものです。
(そういうの抜きにしても、とっても着心地良い素材でできて
いるので、普通にファッションとしてオススメです!)
 期間限定の受注生産ですので、この機会に、ぜひお買い求めくださ~~い☆
http://k-a-g.shop-pro.jp/



*・゜・*:.。 デザイナー 中野 貴さんより *・゜・*:.。.*

 現在受注中の
「war is not healthy(戦争は不健康)」
「article 9(憲法第9条/英文)」の帆布トートバッグ、Vネックカットソーについて、
この売上の5%(微力でごめん)を「明日の自由を守る若手弁護士の会
(あすわか)」による「憲法カフェ」に寄付(カンパ)させて頂く事としました。
現状、それぞれの手持ち弁当で、各地の憲法カフェは開催されています。

 どの様な立場であったとしても命は大切なものだし、戦争反対だなんて
言うまでもない当たり前の事です。何故、殺し合うのか。何故、壊し合うのか。
どうあるべきか以前に、どの様な事の上にみんなの生活が成り立っている
のか考える事は、決して悪い事ではありません。あすわか(呼び捨てごめん)
の中には、個人的に、首相官邸前集会に集まった人々を法的に見守り続け
ている弁護士もいます。1つ1つは小さな事であったとしても、それぞれに
出来る事が循環し始めた時、何かが変えられるのだと信じています。
それでも、未来は変えられる。

 「戦争は終わる、キミが望めば」by ジョン・レノン。
 knife *acoustic groove* http://k-a-g.com

5月18日 横浜の幼稚園で憲法カフェ!


 戦争放棄を宣言した憲法9条をこっぱみじんにする
もろもろの法案について、自民党と公明党が「これで
いこう」と合意したのだそうです。

 国民によって憲法で縛られている権力自身が、その
憲法をこなごなにする…こういう光景を、21世紀の近代
立憲主義国家で見ることになるとは、想像していません
でした。

 でも、その悪夢はまだ実現していません!
「こっぱみじん」を区止めることができるのは、私たち
国民だけです。地元選出の国会議員さんにメールしたり
FAXしたり、家にいても簡単にアクションって起こせます。
1000人がメールしたら、すごいでしょう?
2000人がFAXしたら、国会は揺れ動きます。
諦めずに、1人ひとりが「できる範囲」のことをしませんか?

 さて、そんな激動なシーズンを迎え、大活躍の太田啓子
弁護士が幼稚園での憲法カフェで語ります。

日時: 5月18日(月)
    10:00~11:30(開場9:30)

場所: 安部幼稚園地区センター
   横浜市港南区芹が谷4-13-26
   京急上大岡駅、横須賀線東戸塚駅、市営地下鉄上永谷駅からバス

入場料: 無料

講師: 太田啓子弁護士(明日の自由を守る若手弁護士の会)

主催: 美しい地球を子どもらに残す会(あすなろ会)

問い合わせ先: あすなろ会長 高橋 045 824 6504


.:*゜..:。:.::.*゜:.。:..:*゜..:。:.::.*゜:.。:..:*゜..:。:.::.*゜:.。:..:*゜..:。:.:

「毎日忙しく子育て中のわたしたち、気になるニュースや話題を
あれこれ耳にしているけれど、いつのまにか通り過ぎてしまいがち・・・。
 社会や世の中、自分をとりまく周囲で怒っていること、ほんとうは、
キ・チ・ンと知りたい!!
 ちょっと立ち止まって「知る&考える」時間を作りませんか。
わかりやすく教えてもらって子どもたちのために考えよう!!」

★ あすなろ会で安部ママたちの「女子会トーク」をしよう★

 「小学生と保育園児の男の子ふたりのお母さんでもある太田啓子
弁護士をお招きして、子育て中のわたしたちが知りたいこと、知って
おくべきことをわかりやすーーーーーーーーくお話ししていただきます。」


2015年5月11日月曜日

自民党憲法マンガ ツッコミ入れずにはいられないネシリーズ④

数日前に(とりあえず最終回)って言ったものの
「もっと書いてくれ~」
という声なき声にお応えしまして、追加でツッコミます!
ただ、長いのです、ご容赦を。




今回は、P43からの「その3 国民投票ってどんなこと?」ってところです


① 憲法改正は厳格に、ってポイントがないよ~




まず、憲法改正は、普通の法律改正とは違うんだよ、ってことが書かれていないのです
憲法は、市民のために国家をしばるものです、だから、改正すると市民への影響が大きいので、じっくり考える必要があるのです




特に、憲法は、多数決で負けちゃう少数派のためにあると言われています
多数派は、憲法がなくたっていいのです、多数決で好きにできるから
でも、多数決で何でも決められたら、少数派の人たちが虐げられちゃいますよね?
だから、少数派を守るために、憲法があるのです


多数派(≒権力者)が好き勝手やろうとしても、少数派の人の人権を侵害しちゃいけないよ、そのために多数派(≒権力者)を縛りますってのが憲法の基本です、立憲主義ですね




だから、単純多数決じゃ変えられない、ってのが、むしろ普通なんです
マンガのP51にもあるとおり、法律よりも厳格ってのは、世界の多数派なのです




そこの理解がまず大切! でもマンガにはないんです~
当然だから書いていないのかな?
でも、前に憲法96条(改正要件の条文)を変えようとして失敗したような…




② 日本は厳格だから憲法が変わらなかったんじゃないよ~






ところで、マンガでは、
P46「ドイツも日本と同じ敗戦国じゃが憲法改正はきちんとやっとるぞ」
って話が出てきます


ここでは、よく聞かれる ドイツは60回も改正しているよ ってことについての分析をしましょう






ドイツでは、確かに何度も憲法改正をやっています


それは、1つには、ドイツ特有の歴史的事情があります
例えば、NATOに参加するために、占領中も含めて複数回の改正を行っています
独立後もNATO関連の改正をしています
ドイツは連邦国家なので連邦と州との間の権限に関する改正も行っています
さらに、東西ドイツの統一の関係でも改正が必要になり、EU加盟のためにも改正が必要になったんですよね




あと、ドイツの憲法は、細かいんです
例えば、動物保護条項があったり、日曜日祝日の規定があったり、郵便の民営化についても憲法に規定があります
日本だったら法律で書いているよ、ということも憲法にあったりするんですね。
そりゃ、改正が必要になりますよ。




単純に数だけ比較するってのは、ダメですね。






ところで、その何度も改正しているドイツでは、
憲法改正には、「連邦議会議員の3分の2、連邦参議院の3分の2の両方の賛成」が必要です


その点では、日本と一緒なんです!






って、ことは・・・


簡単なことですね!


実は、1度も改正されていない日本と、何度も改正されているドイツの違いは、
議会で賛成されるかどうか、
だけなのです。




国民投票は、議会で賛成されたあとの話なので、「国民投票があるから改正が難しい」ってことにはならんですね!


だから、
「衆参どちらかの議院で3分の1の国会議員が反対すれば憲法改正を止められちゃうわ」
という優子さんの心配は、無用なのです
だって、ドイツでは、その条件、何度もクリアしているんですもん。


「今の条件じゃ一度も改正できなかったわけだ」
という司郎さんの指摘
間違っているんです~


要するに、ドイツと同じ条件だったのに、それすらクリアできなかった、というだけなんです。


日本の憲法は、改正要件が厳格だから変わらなかったんじゃなく、議会で(ドイツと同じ数の)賛成を得られなかったから変わらなかったんです


このことは、
言い方を変えれば
議会が少数派の意見を聞いた結果、というふうに見ることだってできるのですね。




変わらないことが悪いことかどうか、それは、現状次第、改正の内容次第ですね。




あすわか会員・種田弁護士が書籍「だけじゃない憲法」を出版しました!

 
あすわか会員の種田和敏弁護士が、
書籍「だけじゃない憲法」を出版しました^^

タイトルは

だけじゃない憲法」


「おはようからおやすみまで 暮らしを見つめる最高法規」
とサブタイトルにあるように、
あるサラリーマンの一生をたどりながら憲法と暮らしの
かかわりを解説した書籍になっています。

「だけじゃない憲法」というタイトルは、
「9条だけじゃない」という意味。

憲法って9条のイメージがどうしても強いけれど、
実際何が書いてあってどう暮らしと関わってくるのか…
という疑問にお答えする本です。

もちろんイラストもたくさんです。

内容をちょっと先取りしたい…という方はこちらの種田弁護士の記事をどうぞ☆


「今こそ考えてみたい<9条だけじゃない>憲法」
http://www.huffingtonpost.jp/…/japan-constitution_b_7177414…


「だけじゃない憲法 ― おはようからおやすみまで暮らしを見つめる最高法規」(猿江商會)
明日の自由を守る若手弁護士の会 弁護士 種田和敏・著

この本で、憲法がみなさんにとってさらに身近なものとなりますように☆



 

2015年5月10日日曜日

【「17条の憲法」は、憲法ジャナイヨ!】

【「17条の憲法」は、憲法ジャナイヨ!】

最近、トンデモ憲法改正漫画が出回ってて、あすわかでもいろいろ突っ込ませていただきました。
そんな中、常々不思議に思っているのが、憲法を変えたいという人たちは、戦後70年もたって実情に合わなくなったから変えようという主張がある一方で、日本古来の伝統を踏まえた憲法にしようという主張もしているということです。

例えば、安部首相は、昨年、国際法曹協会(IBA)の年次総会で挨拶したときに、「聖徳太子は、早くも7世紀に、17条からなる日本で最初の憲法を制定しました」と言いましたし、自民党の憲法改正草案Q&Aでは、「和の精神は聖徳太子以来のわが国の徳性である」と言って、憲法前文に入れるべきだと言っています。7世紀という大昔の「17条の憲法」って日本史でやりましたよね。

古いから変えようということなのか、古いのに戻せというのか、どっちなのかと、はっきりしろと、盛大に突っ込ませていただきます☆

新しい、古いということで言ったら、日本国憲法は、当時の最先端の憲法で、その後も変える必要がなかったから、ここまで変えることなく来たんだと思いますけれどもね。
アメリカ憲法なんて、人権規定がなかったから、後から修正していったわけですしね。

それで、「17条の憲法」の話を聞いて、正直、「え?まだそれ言います?」という気分ですが、おそらく西洋から持ち込んだ人権の概念を否定したいばかりに、「日本には昔から憲法あった!凄い!」と言いたいんでしょうね(それを言い始めたら、明治憲法も外国から持ち込んだわけですけども。)。
じゃあ、自民党の憲法改正草案に「17条の憲法」が生かされているかというと、先ほどの一言以外にはなくて、他の16条はどこにも見当たりません。
(どれだけ「17条の憲法」が憲法からかけ離れたものかは、後半でザックリ分析します。)

一言で言うと、「17条の憲法」は「国家公務員倫理法」であって、いわゆる「憲法」ではありません。
憲法というのは、国政の基本を定める法ではありますが、それだけでなく、国家権力を縛って国民の自由を守るためのものです。憲法が縛るのは国民ではないんです(ココ大事。テストに出ます。というか、国民投票のためにも分かってないとマズいです。)
「憲法」と名前が付いていればいいってものではないんですね。

後でザクッと分析しますが、「17条の憲法」は、役人の行動を縛るという意味では権力を縛っているようにも見えます。しかし、天皇の権力は縛られていなくて、天皇が権力を振るえるようにするためのものなんですね。

これに対して、日本国憲法は、天皇も含め、国家権力を縛って、国民の自由を守るためのものですから、全然違うのです。
国民も「17条の憲法」の和する精神で、天皇とか権力の言いなりになれということなら、それは違うと申し上げておきます。

そもそも、和するのが日本人の徳性だったら、どうして壬申の乱とか、戦国時代とかあったんですかね?そうじゃないから、仲良くしろよ、と言われたんじゃないんですかね?和するのが徳性だったら、太平洋戦争は起こってないと思うんですけどね。

なんとなく、フワッと、日本には、昔から17条の憲法というものがあってーとか、国柄がーとか、和するのが日本人の徳性でー、それに合わせた憲法にしないといけなくてー、等と言われて、そうかもー、と思ってなんとなく憲法を変えようとしちゃいけないってことですね。

☆ここから先は、17条憲法の中身を分析しますー☆

17条の憲法を現代に当てはめるとどうなっちゃうのか見てみましょう!☆
 (17条の憲法や聖徳太子さんが良いとか悪いとかじゃなくて、ね。)
☆1条くらいしか見たことない方が多いと思いますが、
 今回は、特別に、なんとなんと、全部の条文を見ちゃいます!

ということで、早速、中身に入りまーす。

1 仲良くしろよ。その方がいい議論ができるからな。

→ 仲良くできるにこしたことはないですね。でも、そうはいかないから、裁判って制度があるんですよね。和するために、個人の権利が際限なく侵害されてもいいのかってことですよね。

2 仏法僧を尊敬しろよ。

→ 今は、信教の自由や政教分離ってものがあるわけでして、宗教やら神様を尊敬しろなどと、国家から押し付けられるべきではありませんね。

3 天皇の命令は聞けよ。

→ 権力者は絶対だと。この時点で、法の支配ではありませんね。
法の支配というのは、あるべき正しい法で権力を縛るという考えです。国民を「法で縛る」ということではありません。

4 役人は礼儀正しくな。でないと、国が乱れるからな。

→ 権力者が嘘をついていると、みんな真似しちゃいますよねーーー。

5 賄賂を取らずに、裁きは公正にな。

→ 賄賂を取る裁判官は、さすがに聞いたことはありませんが、最高裁に人事管理をされているので、国に都合のいい判決を書く裁判官はいますよね。あと、政治資金で問題があるのに、検察が起訴しないのはおかしいですよね。

6 悪事は懲らしめて、良いことしろよ。悪いことをする奴は、国への忠義心がないんだからな。

→ いや、それって個人の問題で、忠義心の問題じゃないんじゃないですかね?今の時代に、国への忠義がないから悪いことをするんだとか言われると、ドン引きしてしまいます。

7 役人は任務に忠実に、権限を濫用すんな。仕事は、適材適所な。
8 役人は、早く出勤して、遅くなってから退社しろよ。
9 役人は、真心を持って仕事しろよ。
10 他人と意見が違っても、怒んな。
11 信賞必罰な。
12 役人は、勝手に税金とるな。
13 役人は、職務を熟知しとけ。
14 役人は、他人に嫉妬すんな。
15 役人は、私心を捨てろ。でないと、不和になって、仕事に支障が起きるからな。

16 民衆を使うなら、春から秋は止めとけ。農耕養蚕をさせないといけないから。使うなら冬にしとけ。

→ 民衆を無理に使う役人が多かったんですかね。というか、今、勝手に国民を動員されたら困りますわ。自民党が入れようとしている緊急事態条項なんかは、そういうことができちゃうものですけども。

17 大事なことを決めるときには、一人で決めずに相談しろよ。

→ まー、最近は、閣議決定だけで、国会にも国民にも意見を聞かずに憲法違反のことを勝手に決める人もいますからね。

全体を見て、「17条の憲法」って、ホントに国家公務員倫理法っていう感じですよね。特に、7条から17条あたりは、こんな当たり前のことも書かないといけないほど、当時の日本の役人は酷かったわけですね。
いや、今でも国家公務員には、これに従ってきちんとやってほしいという気もしますね...。国家公務員法倫理法という意味なら、別に反対もしませんけれどもね。
それから、国の統治の基本を定めるという意味では、この17条憲法には、立法、行政、司法のあり方も定めてありません。そうした形式的な意味でも、「17条の憲法」は憲法の名に値しないということが言えます。

ということで「日本には昔から憲法があったんだ、だからそこに戻ろう」とか、「日本国憲法はもう古いから変えよう」とか、中身も見ないうちから決めつけて、印象だけで判断するのは、もうやめにしましょうよ。

2015年5月9日土曜日

人権制限や内閣の権限拡大…緊急事態条項優先って言いますが

5月7日、衆議院の憲法審査会で、自民党の船田元議員が、緊急事態条項を優先して憲法改正を行う考えを示したと報道されています。
「大規模災害発生時などに、国会議員の任期が延長できることなどを憲法に規定しておくことは急務だ」
とおっしゃったとのこと。
http://www.asahi.com/articles/ASH57331FH57UTFK003.html


来年夏と言われている憲法改正の発議&国民投票で、
緊急事態条項の導入が争点になる可能性が高いということですね。

この「緊急事態条項」、今の憲法にはない制度です。
おおざっぱに言ってしまえば、戦争や災害などの緊急事態に、緊急事態だからということでいつもとは違うことをやってもいいよ、とあらかじめ憲法の縛りを緩めておきましょう、というもの。

船田議員が例えに挙げた国会議員の任期延長だけだったら、
「それくらいならいっか」
と思う人も多いかもしれません。
でも、衆議院の解散中に緊急の必要が生じたときは、参議院の緊急集会を開くことができるので(憲法54条2項、3項)、国会議員の任期延長もどこまで必要なのかなぁ、という議論はあります。

しかし、それだけではありません。
自民党憲法草案では、緊急事態では何人も国その他の公の機関の指示に従わなければならないとされていて、
要するに、緊急事態では人権を制約して国の言うとおりにしてもらいますよ、とされています。
どのような場合に、どのような人権が、どの程度制約されるのか、緊急事態が解消した後に制約された人権が保障されるのか等、具体的なことは全く明らかになっていません。
人権は最大限に尊重しますよー、と言っていますが、尊重した結果、人権を制限するわけですよね。今でも、人権があってもいろいろ制限されてますが(憲法13条で環境権が保障されていると考えられていても原発は止まらず、財産権が保障されていても被災者には十分な損害賠償がされていなかったり、特定秘密だと言って知る権利が侵害されたり…。)、それより明らかに弱くなるわけですよ。

また、緊急事態に内閣が国会の権限も持ちますよ、ということも自民党草案に書かれています。
法律をつくるときの侃侃諤諤の議論を経ずに、内閣の思うとおりにしようというわけですね。
このように、緊急事態条項は、内閣の権限を限りなく強めて、三権分立もすっとばして、人権の制限を可能とする、リスクあるものなんです。

緊急事態条項は、震災のときに必要だーと言われています。
しかし実は、被災5県(兵庫、新潟、岩手、福島、宮城)の弁護士会が反対の声明を出し、共同で記者会見をしています。
兵庫県弁護士会の声明→ http://www.hyogoben.or.jp/topics/iken/pdf/150410seimei.pdf
福島県弁護士会の声明→ http://www.f-bengoshikai.com/topics/t1/2194.html

被災地の弁護士会は、被災者支援のために、精力的に避難場所を回ったり、法律相談を受けたりして、ニーズをくみ取り、二重ローン問題の解消のための立法提言をするなどしてきました。被災者が困ったことは何だったのかを、現場で最も熟知しているといっても過言ではありません。
その被災地の弁護士会が反対しているということは、本当に緊急事態条項が被災者のための制度なのか、と思ってしまいますよね。

緊急事態にどういうことが許されるようになるかっていうのは、緊急事態条項をおいている国によってもさまざまです。
「緊急事態条項の創設については各党に異論が少ない」なんて言っている状況で本当にいいんでしょうか?

2015年5月7日木曜日

5月24日 竪十萌子弁護士の憲法ママカフェ@与野 のお知らせ☆


 憲法記念日あたりの東京新聞&中日新聞で、
どでかい竪十萌子弁護士の写真に釘付けに
なりませんでしたか?
 澤地久枝さんとの対談、母として、法律家としての
切実な思いが、まだあまり憲法や政治に関心の無い
方の心にもなにかしらの形でひっかかれば、と願って
やみません。

 さて、そんな大活躍の竪弁護士による憲法ママカフェ、
与野で開催されます。日曜日ですので平日忙しい方に
もオススメ!ママに限らず埼玉エリアの女性誰でも
ウェルカムですよ、一度竪弁護士の分かりやすい解説で、
頭の中をスッキリ整理してみてください(^^)/


♦♫.。・*゜*・。.♦♫.。・*゜*・。.♦♫♦。・*゜*・。.♦♫♦♫

Welcome to 憲法ママCafe

 ~子ども達に平和な未来を。今出来ることは何だろう
――安保法制・集団的自衛権・憲法改正・特定秘密保護法って何?

 重要そうだけどよく分からない…
 子ども達に影響あるのかな…
 徴兵制になるの?
…ママ達の疑問に女性弁護士が分かりやすく解説し、平和な
未来のためにはどうしたらいいか考えるきっかけとなる会です。
お子様連れ大歓迎です。どうぞお気軽にお越しください☆
(すでに40回を終え、朝日・東京・埼玉新聞等でも紹介され、大好評です。)


日時: 5月24日(日)13時半~15時半

場所: 下落合コミュニティーセンター
    (与野駅西口より徒歩3分)

講師: 竪十萌子弁護士
    (明日の自由を守る若手弁護士の会)

費用: 300円(おやつ・資料代含む)


特徴: ○×クイズの憲法カフェ。知っていそうで知らなかった、
  日本国憲法のあれこれがわかる!憲法って、意外と身近な
  ところで生きているのかもしれません。
  自民党による改憲案についても、知ってみよう!


申込先: 埼玉中央法律事務所 
  電話048-645-2026

自民党憲法マンガ ツッコミ入れずにはいられないネシリーズ③


さて第3回(とりあえず最終回)、
自民党の憲法改正PR漫画「ほのぼの一家の憲法改正ってなぁに?」に
ツッコミを入れていきたいと思います。

 

今回は、「その2 憲法改正でどうなるの?」の冒頭部分
23頁~29頁に注目してみました。

 
 場面は、ほのぼの一家が自衛隊の航空ショーを見に来ている
場面から始まります。

 

ほのぼの司郎さん(64歳)が、唐突に、日本国憲法第3章
第12条(自由・権利の保持の責任とその濫用の禁止)を読み
上げます。

 

 第12条(自由・権利の保持の責任とその濫用の禁止)

この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の
努力によって、これを保持しなければならない。
又、国民は、これを濫用してはならないのであって、常に
公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う。

 

ちなみに、司郞さんが、なぜ第11条(基本的人権の享有)
や第13条(個人の尊重・幸福追求権・公共の利益)では
なく第12条を読み上げたのかすっごく気になりますが、
本題から逸れるのでそこには立ち入りません(オトナの
事情があったのかもしれませんね)。

  

ほのぼの一郎さん(35歳)が質問をします。
「公共の福祉って?」

 

それに対して、ほのぼの千造さん(94歳)

 

「公益。つまりはみんな利益ってことじゃ」
うぉっほん

 

 

Σ( ̄ロ ̄lll)、、、!!

 

おじいちゃん、違います!!
うぉっほんじゃないです!


 

公共の福祉というのは、基本的人権の制約を正当化する概念です。
その意味内容については、従来の通説では、「人権相互の矛盾
対立を調整するための実質的公平の原理などと説明されています」。
…むずかしいかな、人権を制約できるものがあるとすれば、
それは「他の人の生命や人権」だけだ、ということです。

例えば、
医者になりたい!職業選択の自由があるんだから今日から私は
医者だっ!と何の知識も技術もない私なんかが言い出して看板
立てて営業始めたら、地元界隈の人達の命と健康が危機にさら
されます。だから、いくら職業選択の自由があるといっても、
一定の知識と技術を持った人だけが医者になれる、という許可
制にせざるをえない…こんな具合です。現在においてもその
意味内容については、憲法学者により様々な議論がなされて
探求されています。

 

決して、「公益」「みんなの利益」などという単純な言葉
で説明できるものではありません。

 

 公益とか国益とか、それが何なのか、決めるのは結局権力
ですね。よく分からない曖昧な概念。権力が「これが公益だ」
といって国民の人権より優先させてしまうことって、ほんとう
にほんとうに危険で、暴走する権力が国民を縛るときの常套手段です。

みんなの利益で人権を制約できるのであれば、多数決で
負けた人たちの人権なんてあったものじゃありませんね。
戦前の全体主義に逆戻りです。

 
ほのぼの優子さん(29歳)は、千造さんのまちがった
説明を聞き、そしてスマホでおもむろに検索をし(どこの
ホームページを見ているんですか優子さん!?)、
千造さんに質問します。

「公益に反してなきゃ個人の幸福を追求するためなら
何でもやっていいってこと?」
(繰り返しますが、公共の福祉は、公益ではありません。)

 

千造さんは答えます。

「原則はそのとおり!!ほかの人の人権を侵さなければ
何をしても自由ってことじゃ!!」

(ちなみにここの答えを聞く限りでは公共の福祉が
公益とは異なることを千造さんも分かっているよう
にも読めなくはないのですが。分かってるなら、
ミスリードを誘うような表現は控えてほしいですね。)

 

これに司郞さんが続けます。

「国際人権規約を見ると『国の安全、公の秩序または
公衆の健康もしくは道徳の保護』に反する行動はダメと
日本の憲法より厳密に書いてある」

「つまりは基本的人権があるからといって何をしても
いいわけじゃないってことだ!!」

 

さらに一郎さんが続けます。
「そうでしょうねぇ みんながワガママを主張したら
社会は壊れちゃう」

 

千造さんが畳みかけます。
「今の日本の憲法は個人主義的といえるのぅ」

 

そして優子さんが爆発。司郞さんの胸ぐらを掴みます。
「日本じゃ国の安全に反してもワガママOKってこと!?」

 
 

(-_-;)

ここを読むと、

今の日本国憲法は基本的人権を手厚く保障しすぎているから、
国民一人一人がみんなワガママを言い放題で、日本の伝統的な
和の精神(笑)が軽んじられている、このままではテロとか
自然災害などで日本の安全が脅かされたときに適切に対処する
ことができない(だから基本的人権は今よりも制約するべきだ
よね)

という自民党さんの主張が伝わってきます。

読者の方も、そんな印象を受けるのではないでしょうか。

 

しかし、ここのやり取り、非常に問題があります。

 

司郞さんが引用している国際人権B規約第19条3項は、
表現の自由の制約について規定していますが(もちろん
日本も批准しています)、司郞さんらのやりとりをみると、
今の憲法は国際人権規約に照らしても基本的人権を保障
しすぎているかのような印象を、読み手に与えます。
しかし、そんなことはありません。

 

また、今の憲法は、近代憲法の中核である立憲主義の
理念のもと、成り立っていますので、当然「個人主義的」
なものです。

問題なのは、あたかも、今の憲法が国民一人一人のワガ
ママを許しており問題だというような印象操作を行って
いるかのようなところです。

 

 概念の定義をまずきっちりおさえてほしい。

 それから、ワガママって、一体具体的にどんなワガママの
ことを言っているのかさっぱり分からないので、例をあげて
もらいたいですね。

 人権が保障され「すぎ」ていると思うなら、その例も
具体的に挙げてもらいたい。

 モヤモヤっとした言葉の印象だけで話を進めるのではなく、
具体的にこういう問題が起きているんだ、と提示してから
議論を進めてほしいですね。そうでないと、自民党さんの
議論の進め方が理論的でなくて不誠実だと思われかねません
(と、老婆心ながら自民党さんを心配してみる)。

 

 

 ツッコミどころが多すぎて、収拾がつかなくなるほど
ですが、とりあえずこの「ツッコミを入れずにはいられないネ」
シリーズはここまで。(もしかしたら再開するかもしれませんが)

 

 私たちあすわかがゆるいスタイルで憲法や自由の価値に
ついて発信している、それを自民党さんが見届けてくれた
からこそ、「このゆるいやり方でいこう」とマンガをお書き
になったのかもしれません(勝手に想像してるだけです)。
もしそうだったら光栄!と思いつつ、しっかり「誠実に」
議論していきたいな~と思います。

 



 

2015年5月5日火曜日

自民党憲法マンガ ツッコミ入れずにはいられないネシリーズ②

自民党さんが発表した憲法マンガ「ほのぼの一家の憲法改正ってなぁに?」に、「ちょっと待ってちょっと待って」とツッコミを入れていくシリーズの第2弾!

①では、憲法の「古さ」という観点からツッコミを入れましたが…
今日は、マンガの主人公?である、お母さんの「ほのぼの優子」さんの描かれ方についてです。

既に気になっている方もいらっしゃると思いますが。

一家が憲法について調べることにしたのは「お母さんを安心させるため」、
前のコマで「調べてよーっ」と夫さんをガクガク揺する感情的な姿を見せた優子さんを、
家族の男性陣が安心させるためだったり。(はいはい、わかったわかった。ってか?)
スマホでママ友と相談、ランチのお店、海外小説…と気楽な趣味を並べて、
「マンガしか読まない」と家族に突っ込まれていたり。
「やっぱり反対反対!」って、キー!って顔していたり。

それに対して、子どもを含む男性の登場人物は、全員冷静で理性的(孫にデレるときの司郎おじいちゃんは除く?)。
「憲法改正に反対」という意見をもつ人が、
まるでちゃんと考えていなくて、ものを知らないから感情的に反対と言っているみたいじゃありませんか??

そもそも、自民党のマンガなのに自民党憲法草案の内容が一言も出てこないもんだから(なんででしょーね?)、中身については書きようがないのかもしれないけど、
この間憲法に関わってきたあらゆる人たちが一生懸命議論してきた、
立憲主義に反する改憲はダメだよ?!って話とか、
戦争と外交についてのいろんな意見とか、
そーゆーのは無視ですか?エ、一切無視ですか??
自民党さんが改憲についてのマンガを描いたというので、立憲主義についてどう説明してくれるのかなと思ったんですが、
なんか華麗にスルーされちゃって、
「改憲に前向き=きちんと考えている」「改憲に反対=考えていない」みたいに描き出されてますね。
結局自民党さんは、自分たちに反対する意見の内容をぜんっぜん勉強してくれてないってことがわかっちゃって、
なんかもう、メダマドコーって感じです(汗)


で、なんで自民党さんのマンガが、こういう描き方になるのかというコトなんですが。
飛び出ちゃった目玉をよいしょっとはめ直して、自民党憲法草案をよーく見てみると、
まぁ、なんとなくわかっちゃったわけです。

私たちが何度も何度も、耳にも目にも私たちの指にもタコができるくらい繰り返し書いてきたことですが、
自民党憲法草案では、憲法13条の「個人の尊重」の「個」の字が抜かれて「人の尊重」となっています。
そして、「家族は互いに助け合わなければならない」という、
(憲法に縛られているはずの)国家権力→(縛っている立場の)国民に命令する条文まで、ご丁寧に付け加えちゃったりして(24条1項)。
そんな自民党さんが、どんな家族、どんな「人」を想定しているのかといえば、
安倍内閣の閣僚の多くが所属している「日本会議」では、
「男らしさや女らしさを否定する男女共同参画条例」(これ自体真っ赤なウソなんですが)から子供や家族を守ろう、と、
性別役割分業、家庭は自己責任、の社会に押し戻そうとしています。

国が国民に教えるような家族像、人間像にあてはまらない、素直に言うことをきかない人は、
「個人」として尊重してやらないぞ、というメッセージが、自民党憲法草案には込められています。
だから、物を知らなくて憲法改正に不安を感じている人(典型的には若い女性)に、
物を知っている我々政府の代弁者(主に高齢男性)が、憲法について教えてあげる、
そうすれば、なんとなく憲法改正(具体的な中身は言わないんだけど)って必要かも?
うんわかった、よく考えて見る!(スナオ)
→そうかそうか、これからもお前はかわいい家族、ほのぼの一家の一員だ。
って具合に、ずいぶんと人を小馬鹿にした描き方になるわけです。
そこで、政府と反対の立場から考え抜かれた意見を言って、
千造おじいちゃんと激論を交わす!って展開には、最初からなりようがないということ。

そーいえば、司郎おじいちゃんや千造おじいちゃんの妻(おばあちゃん)は、
どこにいるのでしょうか?
まさか、二人とも亡くなっているのでしょうか。
おじいちゃんたちと同じくらい年齢と経験を重ねた立場から、
おじいちゃんと違う意見を言う人はいらないの?

だったら、我々あすわかがこれからも、代わりに言って差し上げます♪
続きはまた明日!

2015年5月4日月曜日

自民党憲法マンガ ツッコミ入れずにはいられないネシリーズ①

 

先日、自民党さんは
憲法マンガ「ほのぼの一家の憲法改正ってなぁに?」の
制作発表記者会見を行いました。



全64頁の大作!このマンガは、憲法改正の必要性や
憲法改正によって社会がどう変わるのかなどについて
理解が深まっていくストーリーなのだそうです。

そうなのか~と思って読み進めていくと、「ちょっと
待ってちょっと待って」とツッコミどころ満載(>_<)

とゆーことで~~、今日から連載でツッコミ入れて
いきます(ビシッ)!入れずにはいられない!

 

まず、このマンガは今の憲法の「古さ」を強調します。

憲法が約70年前にできたことから、登場人物が
「ケータイもネットもなかった時代の憲法で今の
社会についてこれるのかしら?」とつぶやいています
(「江戸時代ですかっ!?」なんて合いの手まであり
ます)。そして、「現行憲法が今の時代とかけ離れて
いる」と断言して、ほのぼの家を不安がらせています。


でも「ちょ、ちょっと待って」!


憲法は国のあり方を定める根本法なので、簡単に変え
られると困るんですね。だから、憲法は一般の法律
よりも改正要件が厳しくなっています(これを「硬性
憲法」っていいます)。


それだけに、憲法は時代の変化にも合わせられるよう、
フトコロ深~く作られています。憲法13条で幸福追求
権が定められていますが、約70年前には考えられて
いなかった新しい人権は、この13条で保障されると
考えられています。プライバシーの権利なんかはその
典型ですね。

環境権だって、13条で保障されるという考え方もあり
ます。漫画の中に「環境問題についても書かれてない
なんて今の憲法ってエコじゃないのね!!」ってセリフ
がありますが、決してそんなことはないのです。


もちろん、環境権について明記しているわけではないので、
はっきり書き込んだ方がいいという考え方もあるかもしれ
ません。じゃあ、当の自民党はどう考えているかというと、
4月29日の記事に書いたとおり、環境権について定める
気はないようです。


マンガに書いてしまうほど「環境問題は大事だよなぁ」
って本気で思っているのであれば、今の憲法を改正しな
くても十分環境問題に取り組めますよ、自民党さん!

 

あと、約70年前にできた日本国憲法が、実は世界の
最先端をいく憲法だってこと、皆さんご存じですか?


3年前の憲法記念日、「日本国憲法今も最先端 米法学者
ら188カ国を分析」という記事が朝日新聞に掲載され
ました。この記事によると、日本国憲法は、世界で主流に
なった人権の上位19項目までをすべて満たす先進ぶり
とのこと。分析した米法学者は、「65年も前に画期的な
人権の先取りをした、とてもユニークな憲法といえる」と
話しています。米国の法学者から最先端と褒められる日本国
憲法、もっと誇りに思ってもいいのではないでしょうか(*^_^*)


ただ、この記事は一方で、「憲法の内容が、現実の政治に
どれほど反映しているかは別問題」だとして、日本は女性の
社会進出がほかの先進国と比べて鈍いことや、9条の「解釈
改憲」が重ねられて自衛隊の創設や海外派遣などの政策が
積み上げられてきたことを取り上げています。
(政治家が憲法のセンスについていけてないってことですね!)


憲法の古さを問題にするより、最先端の内容を備えた憲法に
ついて行けていない現実の政治の「古さ」を問題にすべきで
はないでしょうか、ね、自民党さん!

 

…と、憲法の「古さ」、というテーマだけでずいぶん長く
ツッコミ入れてしまいましたので、続きはまた明日!