2013年5月30日木曜日

「個人として」の「個」が抜けたら…

フランスで、初の同性婚カップルが誕生したそうですね。
ニューヨークでは、小学校5年生の少年が同性婚についてのスピーチをしたそうです。

同性愛や同性婚に限らず、昔からのステレオタイプとは異なる価値観や生き方が尊重され、社会から認められることで
生きやすくなる、やっと私らしく生きられる、と感じる人がたくさんいます。

憲法13条は、このようなステレオタイプでない生き方も含めて、すべての個人をかけがえのない存在として尊重することを、国家権力に対して約束させています。

第十三条  すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
 (下線は当会による)

  この点、自民党憲法草案ではどうなっているでしょうか?

第十三条 全て国民は、人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大に尊重されなければならない。

尊重されるものが「個人」から「人」へと変わっています。
なぜでしょう?

ここで、自民党憲法草案の前文を見ますと…
最後の一文。
「日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、ここに、この憲法を制定する。」

良き伝統と、国家を末永く子孫に継承するために制定される憲法。
その憲法が想定する「人」って…??

前文第3文。
「日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り、…家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する。」

自ら国と郷土を守る力を持たない人や、「家族」を持つことができない人。
自分では「家族」という意思で生活を共にしている人が、法制度上想定している「家族」じゃなかったら?
そういう人がいることを、自民党憲法草案はきちんと想定しているのでしょうか?


さらに、同じ13条の中に
「公益及び公の秩序に反しない限り」とあります。
公の秩序、ってなんでしょうか。
昔からのステレオタイプとは違う生き方が、「公の秩序に反する」と言われてしまうことはないのでしょうか?大丈夫??


それぞれの立場から、自分はこの憲法で尊重される「人」なのか?と心配になるような憲法では、
「私も人として尊重されている」と安心することができませんね。

今の憲法13条が「個人として」とわざわざ「個」をつけていることで、
今のところ「私は対象なのか?」と考える必要がないことになっているのです。
どんな人でも、かけがえのない大切な「個人」なんです。
たった一文字「個」という文字の中に、それだけの意味が含まれているのです。

そういえば、「女性手帳」も最近話題になりましたね。


大切な「個」の字を外してしまう、自民党憲法草案。
どんな意図があるのでしょうか??

2013年5月25日土曜日

【活動報告】ラップで憲法考えYO!


報告がちょっと遅れましたが
23日夜 新宿ロフトプラスワン にて

,.;:,.;: 激烈 トークイベント :;..:;..

が開催され
それに事務局の深井が参加してきました!

紙芝居の上映もさせてもらいましたし、
参加者の発言のあとに、一言ずつコメントさせてもらいました!

場所が場所だけに、
参加者は、若い人が多くて、
いつもの「学習会」とは違う雰囲気でした()

詳細は、
東京新聞さんに報道してもらってますんで、それをご覧ください

取材していただいたみなさん
ありがとうございました♪

紙芝居動画がYou Tube に!

ご好評頂いている当会の紙芝居
「王様を縛る法~憲法のはじまり~」 の動画が、
動画サイトYou Tube にアップされました☆

 http://youtu.be/zWvD1rjusF8


 実はこれ、一般市民の方が、動画作成をボランティアで
名乗り出てくださり、実現しました。いつか動画サイトに…と
は思いつつも忙しくて実現できなかったので、大変ありが
たいことでした。


  紙芝居データを希望するメールも毎日全国各地から
殺到していて、改憲への関心の高まりを感じます。
そういったニーズに応えるツールを作れたことを、とても
嬉しく思います。

   

 ぜひ、上記URLにアクセスして、再生してみてくださいね!


   当会としては、こういう動画サイトに紙芝居を発信することで、
なかなか憲法に興味のわかない方と遭遇して、「へー、なる
ほどね」と憲法に興味をもっていただくきっかけを作りたい、と
考えました。
 

 (なので、この動画をDLして学習会で上映するのもアリ
かもしれませんが、そういう場では、紙芝居は自分で台詞
を多少アレンジしながら読んでいく方がよく伝わりますよ☆ 笑) 

2013年5月23日木曜日

サラリーマン川柳から…

毎年楽しみにしている人も多いであろう「サラリーマン川柳」。
http://event.dai-ichi-life.co.jp/company/senryu/

日常の悩みや頭痛のタネも明るい笑いに変えてくれる川柳は、まさに庶民の文化、知恵の賜物。

昔から、権力を持たない庶民は、笑いで苦境を乗り切ってきました。
川柳、草双紙、落語…笑いは、「基本的人権」なんて言葉がなかった時代から人々を支えてきた、人々の元気の源といっていいかもしれません。

太った妻やうっとうしい上司、時代についていけないオヤジの悲哀…
そして何より、不条理な政治への怒りを笑うのは、庶民にとっての快感。

「表現の自由」「基本的人権」なんていうと大げさに聞こえるかもしれませんが、
何を気にすることもなく作品を発表し、笑い、楽しむこと。
そこで、「こんなこと書いたら処罰されないかな?」なんて気にしていたら、
笑うものも笑えません。




「王様がいいと言ったら、川柳を作ってもいい。」
「王様を風刺する川柳の載った本は、燃やしてしまう。」
(↑当会の紙芝居の台詞を、ちょっとアレンジしています。)

なんて時代だったら、果たしてサラ川や、その他の川柳コンクールはこんなに流行ったでしょうか?
「家のオヤジを笑ったつもりだけど、首相をのことを言ってるように見られたら捕まってしまう…」
なんて気にしながら、投稿しなきゃいけなくなりますからね。

「失って 知った自由の ありがたみ」とはならぬように、
小さなところから、関心を広げたいものです。

96条の会発足


 プレスリリースによると、「96条の会」が発足したとのことです。


 「憲法改正規定を定めた96条の改憲は、
単なる改正手続きという技術的問題ではなく、
立憲主義と憲法の存在そのものへの挑戦で」
あるとして、憲法学者や政治学者を中心に、
改憲に反対し、96条と立憲主義の意味を広く
議論していく運動を進める団体だそうです。


 会代表は樋口陽一氏(東京大学名誉教授)、
発起人は
奥平康弘・東大名誉教授、

長谷部恭男・東大教授、

石川健治・東大教授、

阪口正二郎・一橋大学教授、

小林節・慶應義塾大学教授  

 など、30人を超える研究者です。

オールスターって感じ…

 発足の記者会見は、
 23日(木)午後2時45分~3時45分
 衆議院第1議員会館 地下1階 第5会議室
 出席:樋口陽一、山口二郎(北海道大学教授)、
千葉眞(国際基督教大学教授)、中野晃一(上智大学教授)ほか

www.96jo.com


 普段、学者の方々は政治とは一線を画して、
アクションを起こすに当たっての腰は重い印象が
あるのですが、このような蒼々たる顔ぶれの先生
方が動き出すほど、この国の未来が危うい局面に
立っているのだと改めて背筋が寒くなります。

 しかし同時に、憲法学会のほとんどの先生方が
自民党改憲に反対する立場に立っていることは
大変心強いですよね☆
 お時間ある方は、23日は記者会見を見て、夜はトークイベントで深井弁護士の勇姿を見届けてはいかがでしょうか!

2013年5月21日火曜日

パンフレットの配送料と申し込み部数


 ご好評頂いているパンフレットの配送につきまして、
以下のとおりとさせていただきます。

① 送料について
 以下のとおり統一します。
  1部~ 50部  メール便80円
 51部~200部  メール便160円
 201部~300部 レターパック350円
 301部以上    宅急便、着払い


② 注文部数について
 10部からのご注文を受け付けます。



 いずれも、配送(梱包)作業を少しでも軽減させる
ためのものです。少しでも速やかにご注文主様の
もとへパンフレットを届けるための苦肉の策という
ことで、どうぞご理解ください。

2013年5月20日月曜日

パンフ注文殺到のお礼と発送遅延のお詫び


4つ折りパンフレット「憲法が変わっちゃったらどうなるの?
~自民党案シミュレーション~」の注文が、殺到しています。

 雑誌「世界」「週刊金曜日」をお読みになった方や、ツイッター
をご覧になった方など、きっかけも様々で、文字通り日本全国
からのご注文が、1日10~20件届いています!

 すごい~~ ☆


 1人でも多くの方に自民党改憲草案の内容や危険性を知って
もらおう、という当会の設立目的からして大変ありがたい
ことで、作成者としてやり甲斐を感じ、また全国の方々と思いを
1つにできていることを心強く思います!!
 誠にありがとうございます!


 しかしながら…
多くの方々からのご注文に対し、発送作業が追いつきません。
今現在も、注文から発送までかなりの時間を頂いておりますこと、
誠に申し訳ありません。

 さらに、現在、先日増刷致しましたパンフレットの5万部が 
瞬く間に底を尽き、再度の増刷を依頼している最中です。
 現時点で注文をいただいている方につきましては、増刷分からの
発送となるので、注文から発送まで2~3週間ほどお時間を
いただかなければなりません。



 全国の皆さまと円滑な連携をとりたい私達と致しましても、
心苦しいのですが、以上の事情をどうぞご理解頂いた上で、
ご注文ください。m(_ _)m


☆★ 注文方法 ★☆

1部15円(500部ご注文ごとに500円割引、送料別途)
憲法改正について考える際の材料としてご利用いただければ
と思います。

お申し込みは、
 ①お名前 ②送付先住所 ③希望部数
 ④連絡先お電話番号、FAX番号 ⑤いつまでに必要か

をチェックのうえ、
http://www.asuno-jiyuu.com/p/11510-300350-301-500500500-10-1-2-3-4-5.html
からお申し込みください。

2013年5月19日日曜日

トークイベントのお知らせ♪


当会事務局の深井剛志弁護士がスピーカーの1人を
務めるトークイベントのお知らせです☆

,.;:☆,.;:☆ 激烈トークイベント ☆:;..☆:;..

 表現の自由剥奪!
 自民党改憲草案をぶった切る!

 あまりにも酷い自民党の憲法改悪草案

 このままでは時の政府の思うがままに表現の自由は
奪われてしまいます。全力でぶっ潰しましょう!

 日時: 5月23日(木)open 19:00 start 19:30

 会場:新宿ロフトプラスワン
    新宿区歌舞伎町1-14-7 林ビルB2
(tel 03-3205-6864)

 料金:予約1000円 当日1300円 (ワンドリンク付き)
    予約はこちらから → http://www.loft-prj.co.jp/PLUSONE/

 予定スピーカー: 梓澤和幸(弁護士)

深井剛志(弁護士)
五野井郁夫(国際政治学者)
高橋裕行(群馬県公立中学国語科教諭)
竹内昌義(建築家)
千葉麗子(インテグラル・ヨーガ講師)
DELI (ヒップホップMC)
HIBIKKILLA (レゲエミュージシャン)
山川健一(作家)

 主催: END THE LDP PROJECT

2013年5月16日木曜日

当会のリーフレットが大好評です☆

当会作成のリーフレット「憲法が変わっちゃったらどうなるの?~自民党案シミュレーション~」(A4版4つ折りサイズ)が大好評です!!

雑誌『世界』の反響もあり、さまざまな方から注文が殺到しています。
会では「そろそろ第3刷いかないと…」なんて話もしているところです。

お申し込みは
①お名前
②送付先住所
③希望部数
④連絡先お電話番号、FAX番号
⑤いつまでに必要か
をチェックのうえ、
まで!
(以上改訂しました)

講演の際に資料として使っていただくのもよいですし、
お店を経営されている方なら、レジやカウンターの片隅にも。
思わぬ方と会話が弾むかも?!






紙芝居と同じ大島史子さんのイラストで、イメージをわかせながら憲法について知ることができます。

リーフレットは、1部15円(500部ご注文ごとに500円割引、送料別途)で配布しています。
是非お買い求めください☆


2013年5月15日水曜日

クラブイベントのご案内!

日々、情勢が動いていますね。
立夏も過ぎ、いよいよ参院選が近づいてきました。
各政党とも事前準備の画策に余念がないようですが、
私達も、一瞬も休まずに活動しております。


そんな当会、このたび、京都でクラブイベントを開催
することになりました!

クラブで憲法を叫び、語りましょう♪
若手弁護士による憲法がテーマのクラブイベントって
史上初なんじゃないかと思うのですが、
面白そうでしょう?
なんてマニアックな企画だ(笑)、と笑っておられる
そこの貴方!ぜひご参加ください☆
参加して、「こんなイベントだったよー」と周囲に
発信していただければ尚ありがたく存じます。

詳細は下記のとおりです。
ぜひぜひ、お集まり下さい!

*:・゜*:・゜*:・゜*:・゜*:・゜*:・゜*:・゜*:・゜*:・゜*:・゜*:・゜

第1回関西集会IN京都
「LET'S TALK ABOUT 憲法!」
~自民党改憲草案をクラブで語ろう~

                              
日時: 平成25年5月26日(日)
    OPEN 13時 
       START 13時半~15時半

開催場所: CLUB METRO 

服装:  気軽な服装でOK
    (むしろスーツとかだと違和感あり!)

参加費: 無料     
予約 : 不要

<テーマ> 
 史上初?クラブで憲法を考える!
 憲法はこれからどうなっていくの?
 特別講演 福山和人氏
 (弁護士・京都弁護士会所属)

*:・゜*:・゜*:・゜*:・゜*:・゜*:・゜*:・゜*:・゜*:・゜*:・゜*:・゜

<アクセス>
住所 CLUB METRO
   京都市左京区川端丸太町下ル
   京阪神宮丸太町駅2番出口
   恵比寿ビルBF
京阪電車でお越しの方は、神宮丸太町駅2番出口階段を上がりきるまでにあります。
地上からお越しの方は、川端丸太町交差点東南の京阪電車入口からお入りください。

<連絡先>
明日の自由を守る若手弁護士の会事務局
諸富健(市民共同法律事務所)
TEL:075-256-3320 
FAX:075-256-3320

2013年5月11日土曜日

【報道紹介】96条改定について政党・学者さんの見解

 当会でも

 憲法96条改正に反対する決議

 を公表しています
 ご覧いただけましたでしょうか??

 「分かりやすい!」との評価をいただいております(^-^)v


 さて、
 この憲法96条を改定することの是非について
 与野党の各政党の意見についての報道・見解が出ていますので、
 参考にしてくださいまし。


  「96条見解 自民党にも先行懸念 民公共生は反対・慎重」
     東京新聞 2013.5.9夕刊 

  「96条維持、公明とも連携=共産・志位氏」
     時事通信 2013.5.9 14:55配信

  「96条先行改正に反対=公明・北側氏」
     時事通信 2013.5.11 10:21配信

  「自民、維新、みんなは96条改正で一致」
     産経新聞 2013.5.3 19:19配信

  「憲法第96条「改正」についての見解」
     社民党 2013.3.21発表

  「96条改正 根本精神を否定」
     しんぶん赤旗 2013.5.10

  「憲法96条改正についての幸福実現等の考え方」
     幸福実現党 2013.5.9

  「衆院憲法審 96条改正巡り議論」
     NHKニュース 2013.5.9 14:09配信 



 あと、政党の見解ではないですけど、
 憲法学者さんの意見ですね。
 ただ、大石教授の「最初の発議要件のハードルを高くしたまま憲法改正の入り口を閉ざす必要はない」というのは、「改正に賛成」の意見なんですかね?
 大石教授のニュアンスは、ちょっと違う気がしますけど・・・
     NHKニュース 2013.5.10 6:35配信


2013年5月10日金曜日

なぜ、ヘイトスピーチを規制できないのか?

最近、ヘイトスピーチ(特定の集団に対する攻撃的な、憎悪を表現する、といった表現行為)を伴うデモが話題です。
こういったデモを規制できないのか?と、疑問に感じる方もいるでしょう。

今のところ、ヘイトスピーチを伴うことだけを理由に、デモを不許可にして実施させない、ということはできません。
憲法は、有害な表現かどうかを権力が判断できるようにすると、いつか権力の都合のよいように使われる危険があるので、ひとまず自由にさせよう、と考えるからです。
「立憲主義」について、本ブログで何度も触れていますが、
権力が好き勝手できないように縛っておく結果、たとえ明らかに人を傷つけるような表現であったとしても、権力が制限することは簡単にはできないのです。

では、どうすればいいのか。
「在特会」のデモに参加する男性が、
「気にくわないなら表現の自由で対抗すればいい」と言っています。
http://www.asahi.com/national/update/0502/TKY201305020408.html
「表現の自由で対抗」とは、おそらく、
生まれたときから自由を持っている人が、抗議活動をする。
そうすると、それに反論したい人たちは、同じように生まれたときから自由を持っているので、
抗議に対する反論も自由にすることができる
(「在特会」のデモに対し、「仲良くしようぜ」のプラカードを掲げる行為がこれですね。)。
周りで見ている人たちも、どちらに賛成するか自由に決めることができる。
その結果、どちらかが間違っているならば、間違っている方の意見は味方がいなくなって自然にすたれる。
だから、わざわざ権力が規制する必要はない。
という意味でいっているのでしょう。

「そうはいっても、攻撃されている人たちは傷ついてしまってまともに反論なんかできない。
そういう弱い立場の人たちには、権力がヘイトスピーチを規制して味方をしてあげる必要があるんじゃないだろうか?」

「いや、そうやって権力に表現行為を制限する理由を与えたら、いつか悪用されるよ。
たとえば、政府を批判したら「権力を持っている人たちに対するヘイトスピーチだ!」って言われたりしないだろうか?」

…いろいろな考え方がありえますし、一人で考えてもまとめるのは難しいと思います。

でも、少なくとも、
こういうことに対して、自分でしっかりした意見が持てることって大事ではありませんか?
なんとなく気分で決めようとしたら、どっちの意見もそれなりに理由がありそうで、迷ってしまって決めることができません。
そりゃあそうです、どちらの意見にも理由があります。
その理由に、心から納得することがもしできたら、すごくスッキリすると思いませんか?
心から納得して、自分の意見を持つためには、きちんと知ることが重要です。

今、ヘイトスピーチを規制できないのはなぜなのか。
規制できる、と考えて大丈夫か。
意見を持てるように、憲法に関心を持って、学習会に参加して、ニュースに目を配って、
いろんな人と話してみませんか?


2013年5月9日木曜日

雑誌「世界」掲載

5月8日発売の雑誌「世界」6月号(岩波書店)に、当会が執筆した記事
「紙芝居でうったえるほんとうに恐ろしい自民党改憲案」
が掲載されています。

「『96条からの改憲』に抗する」と題する特集のなかの一記事です。

当会が作成した紙芝居のイラストなども引用されていますので、ぜひご覧ください!

2013年5月7日火曜日

自民党改憲草案の前文ってどんな内容?

1.国民が基本的人権を尊重?

自民党草案の前文は、「日本国民はこうあるべき」という理想像をいくつか示しています。
そのうちの一つが、
「日本国民は、基本的人権を尊重する」、というものです(前文第3段落)。

あれ?
ちょっと不思議に思いませんか?

 このページで何度かご紹介してきたように、
憲法は、国家権力が国民の権利と自由を侵害しないように、権力を縛るためのものです。

すなわち、憲法において、国民の権利と自由を保障する義務を負うのは、第一義的には、国です。

にもかかわらず、自民党草案の前文には、
国が基本的人権を尊重するということは記載されておらず、
国民が基本的人権を尊重する、と書かれているのです。
 


 2.日本国民とはこうあるべき?

そのほかにも、「日本国民はこうあるべき」という理想像が、数多く示されています。

「国と郷土を誇りと気概をもって自ら守る」
「和を尊ぶ」
「家族や社会全体が互いに助け合う」
「自由と規律を重んじる」
「美しい国土と自然環境を守る」
などなど…

自民党改憲草案の前文では、全体として、「歴史」と「伝統」、「固有の文化」がとても強調されています。
私は、国が、歴史や伝統を重んじることが悪いことだとは思いません。
しかし、それと、国が国民の「あるべき理想像」を示すこととは、全く違う話です。

たとえば戦争のような事態になったときに、「国と郷土を誇りと気概をもって自ら守る」ことが国民の義務とされたら…?


 3.何のために憲法を制定するの?

繰り返しになりますが、立憲主義の考え方からすすると、憲法を制定するのは、「国民の権利と自由を保障するため、権力を縛る」ことが目的だということになります。

これに対し、自民党草案では、
「良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため」
とされています。

憲法を制定する目的も、国民のためではなく、国家のため、とされているのです。


 4.憲法の「主人公」は?

では最後に、前文のいちばん最初の文章を見てください。
日本国憲法は、「日本国民は」で書き始めています。
これに対し、自民党改憲草案は、どうなっているでしょうか。

書き出しは、「日本国は」です。

このことからも、自民党改憲草案における、「改憲の主役」はだれなのか、よくわかるのではないでしょうか。



◆自民党憲法改正草案はこちら
http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-109.pdf
「前文」は、目次の次、第1条の前(上記のページでは2ページ目)に書かれている文章です。憲法の目的や精神、憲法制定の由来や憲法制定者の決意などが書かれるものです。

2013年5月5日日曜日

【報道紹介】 当会の活動紹介

5月3日

当会の活動が、NHKで報道されました!

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130503/k10014354841000.html


すでにfacebook等でご存じの方がおられるかもしれませんが、
ぜひご覧ください!

この紙芝居は、憲法改正を発議する要件などを定めた96条の改正に反対する全国の若手弁護士のグループが作り
ってあたりは、ちょっとミスリードですけど、
こんなに大きく取り上げてもらえてよかったです。


それから、昨日のブログでも軽く触れましたが、
NHKのニュース7やnews webの二つの番組でも報道されました!

前者では神保代表が声だけの出演(紙芝居を上映しているところ+聴衆の感想)でしたが、
23時からの後者では、インタビューも報道していただきました。

これからも、
マスコミのみなさんには、こういった活動を紹介して頂きたいですね。

2013年5月4日土曜日

連休、毎日お天気が良くて気持ちいいですね。

昨夜のNHKニュース7で、紙芝居放映されましたね!
皆さん、ごらんになりましたか?

同じくNHKのNEWS WEBでは神保代表のコメントも流れたよう(こちらは私チェックできてませんでした涙)です。

この調子で活動を広げていきたいものですね。

さて、先日告知させていただいておりました福岡での憲法劇、今年も多くの方にご来場いただきました。
ありがとうございました。

観客の方から、本当にたくさんのアンケートをいただいたのですが、その中に「9条は大事だと思うけど、実際よその国からミサイルが撃ち込まれてきたら・・・」というコメントがついたものがありました。

今の国際情勢、特に日本と近隣諸国との安全保障問題をとらえて、憲法は時代にそぐわないものになっているとか、自衛隊を国防軍に変えようとかいった主張は改憲派の方々から良く聞かれます。
でも、憲法を変える、特に9条をはじめとする平和主義を規定した部分を変えることで、今日本が直面している国際問題は解決するのでしょうか?
個人的には、冷戦時代にも日本にミサイルは向けられていたと思いますが、平和憲法がその解決を阻害するものだ、という主張はそれほど声高ではなかったように記憶しています。
今、改憲論議に国際情勢が持ち出されるのは、改憲の問題と安全保障の問題をごちゃ混ぜにして押し切ってしまえ!という意図があるのではないかなあ、と感じてしまいます。

落ち着いて、憲法を変えるということと、現在存在する様々な問題が解決することとが本当にリンクしているのかを考えなければならないのではないでしょうか。

そういった熟慮もないままに、まずは改憲の要件を緩和しようとごり押しする今の政治の状況には危惧を覚えます。

これからも憲法についていろいろな人たちと話をしていかなければならないなあ、と思っています。

2013年5月3日金曜日

憲法96条の改正に反対する声明

明日の自由を守る若手弁護士の会は、本日、憲法96条の改正に反対する声明を出しました。
以下、声明の全文です。


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憲法第96条の改正に反対する声明


政権与党に返り咲いた自由民主党は、着々と憲法改正への歩みを進めています。今夏参院選に向けて、すでに党幹部あるいは安倍首相自身から、第96条改正への意欲的な発言がなされています。また日本維新の会等もこれに同調する姿勢を見せています。

 しかし、自民党などが目指す憲法改正要件の緩和は、単なる手続き要件の改正で済まされる話ではありません。

 そもそも憲法は、立憲主義、すなわち、人が生まれながらにして持つ自由・権利を、国家権力によっても奪われることの無いように、権力を縛る法として定められているものです。そして憲法は、権力を縛る手段として、権力分立を基本原理として統治機構を規定しています。だからこそ、多数を占める時の権力者が思いのままに憲法を変えて、圧政や専制政治に走ったり、容易に人権を制約したりすることの無いよう、憲法改正には厳格な手続きが必要とされているのです。

 第96条が厳格な改正要件を規定しているのは、このような憲法の性質上当然のことであり、「手続きが厳格で憲法を改正できないから第96条を改正して要件を緩める」という主張は本末転倒といえます。

 日本国憲法は一度も改正されたことがないことを理由に第96条の要件の厳格さを批判する動きがありますが、他国の改正の多くは日本国憲法と同等又はそれ以上に厳しい改正手続を経て実現されてきたものであり、手続きが厳格であるから改正ができないという議論は誤りです。真に必要な改正であれば、他国のように正規の手続きで改正することができるはずです。 

 自民党改憲草案や同党幹部の発言などに表れているように、憲法改正要件の緩和は、その先にある立憲主義の否定、公益や公の秩序による大幅な人権の制約、非戦・平和主義の実質的な放棄などへ向けた突破口です。こうした真の狙いを議論の土俵に上げず、改正要件だけ最初に変えようという姿勢は、主権者である国民を欺く不誠実な態度ではないでしょうか。

私たちは、憲法改正要件を緩和する憲法第96条の改正に反対し、これが単なる手続き要件の変更では済まされないことが広く知らされること、また、憲法そのものの存在意義につき国民の間で議論が広がり、理解が深まることを願うものです。
 
2013年5月3日

明日の自由を守る若手弁護士の会

2013年5月2日木曜日

押しつけ憲法!?

 日本国憲法は占領軍による「押しつけ憲法」だ、
という主張は、改憲を唱える人達の強い論拠となって
いますし、自民党の自主憲法制定という党是の根底にも、
押しつけ憲法論が強く流れています。
 しかし、この主張は論拠としては非常にもろいもので、
言ってみれば「突っ込みどころ満載」な考えです (-_-;)


 大きく分けて2つのレベルでの反論がありえます。
 ① そもそも押しつけか否かなど改憲の是非の議論に
 とって意味がない。
 ② 押しつけではない。


。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.

 ①について考えてみましょう。
 立憲主義・民主主義・天賦人権・国民主権・平和主義、
これら近代民主主義国家の原則は、敗戦までの大日本帝国
憲法下にはありませんでした。それまでの「天皇を頂点と
した軍部独裁の政治」に終止符を打ち、日本が民主国家と
して生まれ変わるためには、憲法改正は必至の政策でした。
 しかし幣原内閣の下に設置された憲法問題調査委員会が
作った試案は、残念ながら明治憲法の焼き直しのようなもの
で、天皇主権は温存されたままで、民主的とは言えない内容
でした。そこで、GHQが案を提示しつつ、政府との間で草案
作成を進め、帝国議会に上程し、審議の末、大日本帝国憲法の
憲法改正手続にのっとり、日本国憲法が制定されたのです。

 一橋大学の阪口教授いわく、「意に沿わない結婚だったから
離婚しよう、という夫婦はいない。離婚したいのは、結局相手
のことが好きじゃないから離婚したいのであって、たとえ意に
沿わない結婚だったとしても相手のことを好きになったので
あれば離婚はしない」。
 押しつけだから改正せねばならない、というのは、憲法の
中身の議論を避けた、理屈になっていない主張といえます。
 押しつけ憲法論を主張する方々は、結局は、立憲主義や民主
主義、天賦人権等々の憲法の中身が嫌いなのですね。

 
 ②はどうでしょうか。
 議論の土俵を、「押しつけかどうか」というレベルに移した
場合、押しつけであるといえるのでしょうか?
 上記の通り、日本国憲法はGHQが突然「今日からこの憲法が
君たちの憲法だ」と言って発付したものではなく、帝国議会で
の審議と議決を経て制定されたものです。
 例えば一例を挙げると、
・GHQは当初一院制を想定していましたが、日本政府が二院制を
主張して、草案には二院制が取り入れられました。
・帝国議会の審議の中では、第1条の「国民の総意に基づく」や
第9条2項の「前項の目的を達するため」という文言が挿入され
たりもました。
  押しつけ?ではありませんよね。

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 雑ぱくな説明になりましたが、このように、「押しつけ憲法論」
というものは非常にもろい主張です。
 このような主張を、いまだに自民党はじめ改憲論者が強力に
続けているのは、憲法の中身が好きでなく、とにもかくにも改正
したい、という執念ゆえなのでしょうか…