自己責任論を過剰に強調して福祉を斬り捨て続けた安倍政権を引き
継いだ菅政権の、「自助、共助、公助、そして絆」。このメッセージ
がいかに憲法の理念と相容れない醜悪なものか、とてもよく分かる
記事があったのでご紹介します。
● 安倍・菅政権考 「まず自助」はコロナ禍最悪のメッセージ
政治は「公助」を (毎日)
https://mainichi.jp/articles/20210919/k00/00m/010/006000c
<一部抜粋>
― 菅首相が昨年9月の就任記者会見などで「自助、共助、公助」と発言
したことをどう受け止めましたか。
率直に言って、自己責任論が強化される、困っている人が「助けて」と
言いづらくなると受け止めました。「まずは自分でやる」なんて誰でも
分かっているのです。でも、つまずいたとき、転んだとき、多くの人は
一人では起き上がれない。しかも、発言がなされたのは、新型コロナ
ウイルスの感染拡大で、急速に人々の困窮が深まり、孤立を深めていた頃
で、「困ったときは頼っていい」というメッセージが必要な時期でした。
そんなときにリーダーがあえて「まずは自分でやりなさい」と、助けが
必要な人の口を塞ぐ。最悪のメッセージだったと思います。
<抜粋終わり>
突然のけがや病気、家族の介護、災害などで職を失ったり収入が途絶
えるリスク、あるいは家族からの暴力・虐待などでとにかく逃げなけれ
ばならないリスクは、自分の努力では防ぎようのないもので、誰にでも
あり得ることです。いずれもその人の自由で平穏な暮らしを脅かし、
その人らしさ、人間らしさを奪いかねない事態であり、命に関わります。
それを防ぎ、その人の人間らしさ・尊厳を守るのは、ほかのだれでもなく
行政の責任です。自助ではどうすることもできないから、まず福祉、なの
です。その状況下で「まずは自分で頑張りなさい」と声をかけることは、
無知もはなはだしく、棄民に等しいことです。
記事中、ノンフィクションライターの北村氏は
「積極的に受給を勧めるメッセージや、使いやすい制度への改革はあり
ませんでした。他の制度も含め、公的支援が拡充した実感はありません。
自助を強調して、公助の部分の責任を丸投げしており、責任放棄です。」
と菅政権を喝破しています。
自民党の総裁選に出馬している候補者は、いずれも安倍・菅政権下で
要職に就き、自己責任論を過剰に強調する姿勢を批判せず同調しました。
それへの猛省もなく、候補になった途端に「国民に寄り添う」などと
優しげなことを言い出すのは、ちょっと控えめに言っても…しらじらしく
はないでしょうか。
それを信じてまた権力を託すのかどうか、一人ひとりが考え、一票で
答えなければなりません。