男性の性被害が、女性の性被害以上に実態がつかめないのはなぜか。
あすわか太田啓子弁護士が、悪しき「男らしさ」の刷り込みが男性を
追いつめている結果だと語っています。男性を性暴力の加害者にも被害
者にもしないために、親ができることは何なのか、ぜひ考えるきっかけ
にしてみてください。
● 太田啓子さんに聞く
"男の子"を性被害の被害者・加害者にしないために (NHK)
https://www.nhk.or.jp/gendai/comment/0026/topic027.html
<一部抜粋>
個人差もあるにせよ、全体の傾向としては、男の子か女の子かに
よって、相当違うメッセージを親や先生や社会が発しているからだ
と思います。「男が弱音を吐くんじゃない」「男は弱いままじゃ
いけない、やり返せ」と周囲から言われると、男の子たちは性暴力
の被害に遭ったときに、被害者としての自分を受け入れづらくなって
しまう。
男性たちによる、理由が不明の無差別連続殺人事件などの凶悪事件など
を背景に、アメリカでは2010年頃から、男性の問題行動について
「Toxic Masculinity(トクシック・マスキュリニティ)」という用語
で語られ始めました。日本語では「有害な男らしさ」と訳されることが
多いですが、「男らしさそのものが有害」というより、「男らしさ」に
過剰に執着するゆがみが、自他を害する暴力的な行動につながりかねない
と警鐘を鳴らす言葉です。
弱音を吐かず、危機的状況でもくじけずにたくましく切り抜けるといった
「男らしさ」を社会が男性に求めることは、よい効果を生むことがある
反面、男性が痛みや恐怖といった感情を抑え込んだり、弱みを開示でき
なかったりする、有害な面もあります。
男性の自殺率が女性に比べ2倍以上高いのも、こうした背景が関係してい
る部分もあるのではないでしょうか。
<抜粋終わり>
幼少期から「男は自分の弱さや苦しみ、悩みを外に見せてはいけない」
と思い込まされることで、いざという時に周りに助けを求められず、
孤立を深め、心の傷を深めてしまう…。ジェンダーが男性にとっても
害悪であること(すべての人にとって有害であること)を確認し合い
ましょう。