2017年10月5日木曜日

やや日めくり憲法 5条(摂政)


<日本国憲法 5条>
 皇室典範の定めるところにより摂政を置く

ときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する
行為を行ふ。この場合には、前条第1項の規定
を準用する。

 この条文は、天皇が自分で国事行為を行うことができない状態が
続く場合には、「摂政(せっしょう)」という立場に成年の皇族が
就任し、その摂政が天皇の代わりに国事行為を行うことを定めた
規定です。
 (摂政!どうでもいいけど、すっごい日本史タームですねw
まだ生きてる役職なんですね~…。)


 それでは、「天皇が自分で国事行為を行うことができない状態」とは
どういう場合をいうのでしょうか?
 皇室典範16条は2つの場合を想定しています。1つは、「天皇が
成年に達しないとき」場合(つまり、天皇が未成年の場合です)。

 そして、もう一つは、「天皇が、精神若しくは身体の重患又は重大な
事故により、国事に関する行為をみずからすることができない」と皇室
会議が認めた場合です。4条2項が想定する天皇の臨時代行が就任する
場合との差は、疾患や事故が「重大であるかどうか」という点です。
 例えば、天皇が海外旅行をしている場合は「事故」として天皇の臨時
代行が就任しますが、天皇が失踪したり、戦時中に捕虜になる場合には
「重大な事故」として摂政が置かれるという考えられています。


 ちなみに、摂政には、原則として、
①皇太子又は皇太孫、
②親王及び王、
③皇后、
④皇太后、
⑤太皇太后、
⑥内親王及び女王
  の順に就任することとされています。
天皇に就任する可能性のある皇族との違い、わかりますか?
 そうです。天皇の就任とは違って、女性皇族も摂政には就任する可能性
があるのです。


 摂政が置かれた場合には、摂政が国事行為を行うことになります。
 摂政の国事行為は、7条で定められたとおり、内閣の助言と承認(3条・
7条)の下行われるので、形式的・儀礼的・名目的なものに過ぎません。
天皇は、あくまで形式的・儀礼的役割を担う「象徴」だからです。
もちろん摂政も形式的・儀礼的役割しか負いません。

 日本国憲法は、権力の行使を制限し、市民の自由権利を保障する立憲
主義を採用しています。かつては国の統治の主体であった天皇が形式的・
儀礼的・名目的役割しか負わないのも立憲主義のあらわれです。
これは摂政の場合でも同じだということです。