<日本国憲法4条>
天皇は、この憲法の定める国事に関する行為
のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
2 天皇は、法律の定めるところにより、その
国事に関する行為を委任することができる。
天皇には「国政に関する権能」が認められていません。
「憲法の定める国事に関する行為のみ」を行うとされています。
日本国憲法の下では、国民は主権者ですので、象徴である天皇には、
実質的な政治的・権力的な権限は認められません。
され(1条)、しかも、国の元首で「統治権ヲ総攬」する(4条)と、
天皇が国の全ての権力を掌握していることになっていました。
立法権について「天皇ハ帝国議会ノ協賛ヲ以テ立法権ヲ行フ」(5条)、
行政権について「国務各大臣ハ天皇ヲ輔弼シ其ノ責ニ任ス」(55条)、
司法権について「司法権ハ天皇ノ名ニ於テ法律ニ依リ裁判所之ヲ行フ」
(57条1項)…こんな感じで。
司法権は裁判所に(76条1項)と明確になっていることと非常に対照的です。
そして、天皇に認められている「国事に関する行為」については、
7条でいろいろ書いてありますが、これらも、天皇が主体的に実質的な
意思決定をして行われるものではなく、あくまで「内閣の助言と承認」
(3条、7条)の下行われるので、形式的・儀礼的・名目的なものに過ぎ
ません。これにより、天皇は形式的・儀礼的・名目的な役割だけを担う
「象徴」となります。
2項では、天皇自身が「精神若しくは身体の疾患又は事故がある」場合を
想定して、国事行為に関して委任することを定めています。
具体的には「国事行為の臨時代行に関する法律」という法律で、いざと
いうときには皇太子などが臨時代行できるように定められています。
する立憲主義を採用しています。かつて国の統治の主体、元首として全て
の権力を把握していた天皇が、日本国憲法の下では実質的な権力を持たず、
形式的・儀礼的・名目的な役割を担うに過ぎないとされているのも、
立憲主義のあらわれです。