この条文は、皇位の継承(天皇のあとつぎの仕方)について規定しています。
まず、皇位は「世襲のもの」とされています。つまり、天皇の地位は親から子へ、兄から弟へ、など、一族の中で受け継がれていくことになります。
これって、14条(法の下の平等)との関係でどうなの?と思った方。
鋭いです
皇位継承、つまり天皇の後継ぎを一族の中でする、ということは、国が特定の血筋・家柄にある人たちを特別の存在として扱うことを内容とするので、
憲法14条1項2項が禁止する「門地による差別」、「華族その他貴族の制度」、
そして14条1項の「法の下の平等」と矛盾しています。
これはまぁ、歴史の中で残された「例外」、
いわば大人の事情で、天皇制については特に、残すことになったのです。
次に、天皇の後継ぎの具体的な方法ですが、
皇室典範という法律で決めるよ、ということです。
皇室典範は国会で制定し、改正できるものですから、
天皇制にも民主的なコントロールが及ぶ、ということになります。
この皇室典範では、1条で「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」と定めています。
つまり、父親が天皇家の出身である男子が継承する、ということです。
これを改正して、皇位の継承を女性や女系の人(母親が天皇家の出身である人)にも認めるべきだ、という議論もありますね。
皇室典範の改正は国会でできますし、憲法はこの点を皇室典範に任せていますから、
これはこれで可能です。
また、最近は、天皇の生前退位も話題です。
今の皇室典範には、生前退位についての規定がありませんから、これを付け加える皇室典範改正をするべきだ、という違憲もありました。
が、最終的に、皇室典範改正をしないで、一代限りの「特別法」ということになったようです。
つまり、今後のどの天皇にも適用される法律ではなく、今回限りの法律を特別に作ります、ということです。
憲法2条に「皇室典範の定めるところ」って書いてあるのに、皇室典範じゃない法律で決めていいの?という疑問もわきますが、
要するに、国会で民主的に決める、ということが重要なのです。