さて、今日で4月も終わり!年度始めの慌ただしい日々で
お疲れの方が多いのでは。大型連休中に、少しでもゆっくり
休む時間がとれるといいですね~。
ということで、5月に入る直前の今日、日本国憲法の50条
を解説します☆
50条は、国会議員の不逮捕特権を定めています。
両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、
国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、
その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなけれ
ばならない。
この不逮捕特権の目的は、①議員の身体の自由を保障し、
政府権力によって議員の職務の遂行が妨げられないようにする
ことと、②議院の審議権を保障することにあります。
不逮捕特権が定められた背景には、中世ヨーロッパにおける
歴史的な沿革があります。
ヨーロッパにおいて、国会は、強大な権力をもつ君主との
厳しい闘争を繰り返しながら発展してきました。
議会ができたばかりのころ、君主は議会を自己の支配下に
置くために、議会に対して様々な攻撃(嫌がらせ)をしました。
そのとき、最も強力な攻撃となったのは、君主に反対する議員
たちを逮捕拘禁することでした(>_<)。
君主に刃向かえば逮捕・拘禁されるということになれば、
およそ自由な議論はできませんよね(ウゥ,卑怯…)。
そこで、君主による不当な攻撃から身を守るために議会・
議員が獲得したのが不逮捕特権です。憲法で、君主の権力の
濫用を防ぐことにしたのです。国家権力を縛ることに眼目が
ある「立憲主義」がここにも表れていますね!
なお、この50条は、「法律の定める場合」には例外的に
議員も逮捕・拘禁される、と定めます。
これを受けて国会法33条は「各議院の議員は、院外に
おける現行犯罪の場合を除いては、会期中その院の許諾が
なければ逮捕されない」と定め、①院外における現行犯逮捕
の場合と、②議院の許諾がある場合を例外としています。
実際には、憲法50条が使われることはあまりありません。
今の時代に憲法50条が意味をもつとすれば、政権与党から
国会の少数派を守るという点ではないかと思います。
政府や検察当局が、不当な政治的目的をもって議員を逮捕し、
国会の議決を左右することもないではありません。
もっとも、国会の許諾、すなわち多数決があれば議員を
逮捕することもできるので、政権与党が多数派を占めていると、
不逮捕特権が政権与党に対する歯止めになっているかは…
疑問の余地が残ります。
憲法50条が制定された経緯や同条がもつ意味を知った上で、
現在において不逮捕特権をどれくらい保障すべきかについては、
考えていかなければならない問題といえるでしょう。