今日は、緊急事態条項のお話です。
東日本大震災以降、憲法に緊急事態条項を作るべきだという話が急に出てきました。これはいったいどういうものなのでしょうか?
自民党改憲草案98条と99条は、緊急事態条項を定めています。 これは、ものすごくてっとり早く言うと、地震や戦争などで内閣が 「緊急事態」と判断したときには、
三権分立をやめて、内閣が法律と同じ効力のある政令を作れるよう にする(国会の権限の重要部分を内閣にも与える)、
というものです。
では、緊急事態宣言がなされたらどうなるか。
緊急事態宣言がなされた場合には、「何人も」、国の指示に従わな ければならないとしています(草案99条3項)。つまり国民も、 企業も、地方自治体も、国などの指示に従う義務を負うことになり ます。
... 自民党は、緊急事態条項の説明として、「国民の生命、身体及び財 産という大きな人権を守るために、その範囲でより小さな人権がや むなく制限されることもありうる」としています(Q&A33頁) 。ここで「大きな人権」に入っていないものの代表例は、政治的言 論をはじめとする表現の自由ですね。
そうすると、内閣が緊急事態宣言をした場合、「国民の生命や身体 の安全を守るため」という「名目」で、内閣に不都合な言論を禁止 してしまうということが容易にありえる、ということになります。 報道規制や、デモや集会の禁止、ということがすぐに思いつきます ね。
緊急事態には国などの指示に従わなければならないわけですから、 内閣に不都合な言論を禁止した場合、それに従わずに言論を続けた ら処罰される、ということも想定されます。
こういったことが、内閣の独断でできるようになってしまうわけで す。
以前にも書きましたが、立憲主義の考え方は、「権力は、放ってお くと、圧政・独裁・暴走するようになる」という考えから、国民の 権利と自由を守るためには権力を放っておいてはいけない、権力を 縛らなければならない、というものです。
このことから、権力は1つのところにまとめておいてはいけない、 立法、行政、司法に分けて相互に監視、抑制させなければならない 、とされているのです。
みなさんが学校で習った三権分立も、立憲主義から生まれた考え方 なのです。
なのに、内閣が好き勝手にできるようになっていいのでしょうか?
東日本大震災以降、憲法に緊急事態条項を作るべきだという話が急に出てきました。これはいったいどういうものなのでしょうか?
自民党改憲草案98条と99条は、緊急事態条項を定めています。
三権分立をやめて、内閣が法律と同じ効力のある政令を作れるよう
というものです。
では、緊急事態宣言がなされたらどうなるか。
緊急事態宣言がなされた場合には、「何人も」、国の指示に従わな
... 自民党は、緊急事態条項の説明として、「国民の生命、身体及び財
そうすると、内閣が緊急事態宣言をした場合、「国民の生命や身体
緊急事態には国などの指示に従わなければならないわけですから、
こういったことが、内閣の独断でできるようになってしまうわけで
以前にも書きましたが、立憲主義の考え方は、「権力は、放ってお
このことから、権力は1つのところにまとめておいてはいけない、
みなさんが学校で習った三権分立も、立憲主義から生まれた考え方
なのに、内閣が好き勝手にできるようになっていいのでしょうか?
そもそも、東日本大震災のときに緊急事態条項があったら、今より良くなっていたのでしょうか?