2019年11月21日木曜日

「大学の自治」とは?


日本国憲法23条 
    学問の自由はこれを保障する。


 五・七・五のこの条文は、人の学問研究の自由を保障すると同時
に、「大学の自治」という制度自体を保障している、と解釈されて
います。


 大学の自治とは、大学が外部(特に公権力)からの干渉や圧迫を
受けずに自主的な意志決定で大学を運営することです。


 学問研究というものは、どんな分野であれ「人/社会/国家 とは
何か、どうあるべきか」など、この世の中の見つめ方に関わってくる、
真理探究です。
 大学での一人ひとりの研究者の営み・成果は、多かれ少なかれ社会
のあり方、国家の未来を左右し、究極的にはより人類が繁栄する方向
に導いてくれるものです(学者と社会が倫理を手放さなければ)。


 研究者のそういった高度な精神活動は、国民の表現の自由と同様、
公権力にとっては時として「邪魔な存在」であり「都合の悪い敵」
です。
 天皇を国家機関であると唱えたり、天皇制や政府の方針と異なる
学説を発表した学者が大学を追われたり著書が発禁処分になったり
捕まったりした日本の歴史を振り返れば、いかに公権力が学者・研
究者、ひいては大学を恐れているか(支配したいか)が分かります。
 
 そこで、「大学の自治」を保障することで、公権力が大学の運営
に容易に踏み込めないようにして、大学を構成する人々の自由な
精神活動を保障しているのです
 その研究は許さない」とダイレクトな弾圧でなくても、「どんな
入試を課して、どのような若者を受け入れるか」という入試制度の
決定も、大学が描く“あるべき高等教育”に関わるものですから、
自主性に委ねられる事項でしょう。