2019年6月10日月曜日

広島弁護士会 憲法に9条の2(自衛隊条項)を創設する案に反対する決議 <勝手にあすわか訳1>


 広島弁護士会が、自民党の自衛隊加憲案に反対する決議を出しました。

憲法に9条の2(自衛隊条項)を創設する案に反対する決議


 この決議の内容を、(小難しいので!)あすわか訳しますね。

 まずは、
「恒久平和主義が実質的に失われるおそれ及び立憲主義からの問題点」
 のところ。


* * * * * *
 
 自民党が提案する自衛隊加憲案が、平和主義と立憲主義の観点からなにが
問題か、というと、
  自民党の自衛隊加憲案は,憲法9条の規定をそのままにしているものの,
「前条(9条)の規定は,…必要な自衛の措置をとることを妨げず」と定め
てます。
 …なんですかねこの「必要な自衛の措置」って?
中身カラッポで「必要だ」と思ったものなら、結局武力行使でもなんでも
アリなわけですよね。
じゃあどんなに戦争放棄とか言葉だけ残しておいても意味ありませんねって
話ですよね。

 っていうかただでさえ,安保法制のせいで「存立危機事態」になれば集団的
自衛権の行使がOKってことになっているのに,9条がこんな書き方になって
しまえば「必要な自衛の措置」だと思えば「存立危機事態」に至ってなくても
集団的自衛権の行使OKになりかねません。
 海外でも自衛隊が戦争に参加する可能性、ありえます。

 結局、日本の今までの、9条に基づいて「専守防衛」に徹底する姿勢が、
激しく変わって、戦争放棄も平和主義も、実質的になくなるということです。

 ヤバいのは、「必要な自衛の措置」かどうかっていうのは憲法の平和主義と
密接不可分な大問題なのに、この自民党案だと、その判断は権力(内閣及び国会)
次第( ゚Д゚)。
 こんなの、立憲主義(権力の行使を憲法に基づかせ,国家権力を制約して
国民の権利と自由を守る)からして許されません。権力をぜんぜん縛れてない。

 「必要な自衛の措置」とか書きたいのであれば、「権力者次第でどうとでも
判断できる」ような規定じゃいけなくて、せめて「必要な自衛の措置」の限界
くらい定められてなければならないはずでしょう。
 しかも、自民党案の第2項は「国会の承認その他の統制に服する」って。
これ分かります?
 「国会の承認、もしくはその他のコントロールを受けます」という意味です。
法律次第では、国会ではないなにかの承認でもOK、となりうる可能性があるわけ
です。内閣が「必要な措置だ!」と武力行使を決め、それを国会が食い止め
たくても何もできなくなるかもしれない。
 まさに「権力の思うまま」。立憲主義が壊れます。

 というわけで、「必要な自衛の措置」の限界が規定されず、また、国会の関与
自体が排除される可能性のある自民党の自衛隊加憲案は、立憲主義の観点からも
重大な問題があるとしか言いようがありません。