2020年12月16日水曜日

「純粋」な日本企業です、と自賛して差別をさらけ出す企業


 株式会社DHCの代表取締役会長からのメッセージです。

 最後の段落をご覧ください。

https://top.dhc.co.jp/contents/other/kuji_about/?sc_iid=main_banner_kuji



「サントリーのCMに起用されているタレントはどういうわけかほぼ全員がコリアン系の日本人です。そのためネットではチョントリーと揶揄されているようです。DHCは起用タレントをはじめ、すべてが純粋な日本企業です。」


 自社を自賛する目的でためらいなく人種・民族・国籍差別をさらけ出す会社。

 

 「純粋」という言葉に込められた意味を想像すると、たとえようもない不快な感覚が湧きます。

 純粋な日本人、って、なんでしょう?

 逆に、純粋ではない日本人、って、なんでしょう?


 さまざまなルーツを持つ人、ルーツの異なるパートナーと家庭を持つ人、国際色豊かで雑多でまじりあったカルチャーを愛しアイデンティティーを形成している人、そのすべての人たちの価値・尊厳を「純粋でない」のひと言で一蹴する差別的な発想は、優生思想にもつながる、軽蔑すべきものです。

 また、アイヌや琉球、蝦夷はじめ、記紀ではクマソなどの勢力も語られ、日本は今も昔も多民族国家です。「純粋」という言葉遣いからは、日本を「単一民族の国」だと思い込む非科学的で反知性的な姿勢もうかがえます。「純粋な日本」など幻想であり、「純粋」さに価値を見出すのは差別の始まりです。

 「DHCは起用タレントをはじめ、すべてが純粋な日本企業です。」という一文は、多様なルーツを持つ従業員への差別・ハラスメントが起きたりしていないか、不安を掻き立てます。今まで起用されてきたタレントさんたちも、「あなたは“純粋な日本人”だから起用したのです」と言われて、果たして誇らしい気持ちになるでしょうか。

 

 差別は許されません。

 BLMが世界中で叫ばれて、差別への怒りと平等な世界を求める声が海を越えて大きな輪になった年の終わりに、大きな企業からの軽蔑すべき発信がなされたことは、表現できないほど残念です。