2020年9月29日火曜日

「男らしさ」の息苦しさ!


 「男らしさ」の呪縛がどれだけ男性を(無自覚に)ハラスメント体質

にし、女性を苦しませ、社会全体を息苦しいものにしているか、見事に

指摘した本が朝日新聞の夕刊で紹介されていました。


● 社会の「男らしさ」、問い直す

              「効率とらわれ、ハラスメント無自覚も」 (朝日)

 https://www.asahi.com/articles/DA3S14638405.html


 清田隆之氏の『さよなら、俺たち』は男性自身が「“俺たち”がとらわれ

ている男らしさ」について掘り下げ、あすわか太田啓子弁護士の『これか

らの男の子たちへ』は女性(母親)側からの警鐘です。

 

 2018年に発売された女子小学生向けの『おしゃカワ!ビューティー

大じてん』という本は、ひたすら男子にウケる(モテる)ためのファッション

やメイク、「これでカンペキ!モテしぐさ12連発」などを紹介したあげく、

「キュートな会話テクニック」と題して、「男の子はホメられるのが好き!」

「さすが!」「知らなかった!」「すごい!」…、「さしすせそ」のあい

づちを指南。。。

 何度も言いますが、女子小学生向け、なんですよねこの本…


 『さよなら、俺たち』では「なぜ男たちはそういった女性を好むのか」と

考察し、男性の「自分が劣った存在・弱い存在であることを認めたくないと

いう不安と隣り合わせであるがゆえに、女性に自尊感情のケアを求めてしま

う」傾向を指摘します。

 『これからの男の子たちへ』では、女性が男性の機嫌をとるのは当たり前

かのような文化は、男女の対等な関係の構築を妨げてしまう、と指摘します。

女性の中にも「男性を立ててあげるのが一枚上手」と処世術のように肯定的

に語る人はいますが、それも結局「女性は男性のケアをする」という性別役

割分担の固定化に一役買ってしまっていますよね。

 自分の機嫌くらい自分でとりなさい(間違っても女性に立ててもらわない

と機嫌を損ねるような男性にはなるな)、と育てなければ…と、全国のお父

さんお母さんとつながりたいものです。


 放っておけば気づかないうちに確実にしみこんでしまう「男らしさ」は、

男性自身にとっても、女性にとっても、ほんとうに息苦しいものです。

その根深さに気づき、多かれ少なかれ自分にもしみこんでいることに気づく

だけでも、社会にとっては大きな一歩になるのではないでしょうか。



*『これからの男の子たちへ』 太田啓子著 大月書店

 http://www.otsukishoten.co.jp/book/b516466.html



*『さよなら、俺たち』 清田隆之(桃山商事)著 STAND BOOKS

 http://stand-books.com/?p=934