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2017年2月14日火曜日
厚労省の新指針「保育所に国旗国歌」…!?
こんな報道がありました。
保育所でも国旗国歌、厚労省 新指針公表、押し付け懸念も(共同通信)
https://this.kiji.is/204175374750924802
国旗国歌法があるので、日本の国旗は“日の丸”、国歌は“君が代”、
ということになっています。
しかし、天皇の治世が永遠に続きますように、という“君が代”の歌詞は、
とてもじゃないけれど民主主義国家の歌としてはふさわしくない、という
思いを抱く人はけっこうたくさんいます。
別にそんなこと願ってないし…と単純に思う人もいるでしょう。
また、この歌がアジアへの侵略や太平洋戦争の際に、日本臣民を鼓舞
するアンセムとして歌われてきた歴史を振り返れば、そんな歌聴きたくない
し、ましてや歌うなんて、と嫌う人がいるのも、さもありなん、といったところ
です。
“日の丸”が大日本帝国のシンボルとして植民地に掲げられた歴史を
負っていることも、同じです。
そんなわけで、“日の丸”と“君が代”には、隠すことのできない、忘れる
こともできない歴史があるので、親しみを覚える人や特になんとも感じない
人もいる一方で、どうしても好きになれない、どうしても歌いたくない、
という感情を抱く人も確実にいます。
東京や大阪では、中学校や高校の教職員に対して、入学式・卒業式で、
君が代を歌わないと減給や戒告といった処分だ、という職務命令が出され
ています。
どうしても歌いたくない人の、「どうしても歌いたくない」という気持ちは、
単なる好き嫌いなどをはるかに超えた、思想や信仰の核心から来る
拒否感で、それを傷つけられると自分が自分でなくなってしまうものです。
まさに個人の尊厳にかかわる、人権の問題です。
「1分程度の歌でしょ、それくらいガマンして歌えばいいでしょ」と思う人が
いるならば、それは知識も想像力も欠いたものと言わざるを得ません。
歌わなかったが故に処分を受けた教職員の方々は、「そんな命令は思想
良心の自由に反しているから無効だ!」と、たくさん裁判を起こしています。
そんなところへ、冒頭の報道です。
厚生労働省が保育所の運営指針について、2018年度からの改定案で、
3歳以上の幼児を対象に、国旗と国歌に「親しむ」と初めて明記した、
とのこと。
保育園で?
わざわざ幼児に?
日の丸と君が代を?
…どんな歴史をはらんでいようと、それには向き合わず、子どもたちに
刷り込ませてしまえばいい、という狙いがあるように思えます。
親が子どもを預ける保育園を気軽に選択できるわけでもない(保育園不足
の)状況下で、そんな政策をとるのは、卑怯、とすら思えます。
わざわざそんないわくつきの旗と歌を国旗と国歌にしてしまったから、
拒否感を持つ人がいるので、日の丸と君が代の内容自体が、民主主義と
平和の国であるはずの日本と相容れないのでは、という問題が、
そもそも論としてあります。
そして、1,000歩譲って、それが国旗であり国歌である、という前提に
立ったとしても、歌いたくないという人に、無理矢理歌わせてはいけない
のです。
人によってはアイデンティティや尊厳に関わる「国旗」と「国歌」が、国家
によってじわじわと“推奨”される社会に、息苦しさを感じます。