今日は日本国憲法22条についてお話します。
第22条
〔居住、移転、職業選択、外国移住及び国籍離脱の自由〕
22条は、29条と併せて、「経済的自由権」と呼ばれています。
第22条
〔居住、移転、職業選択、外国移住及び国籍離脱の自由〕
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転
及び職業選択の自由を有する。
2 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を
侵されない。
22条は、29条と併せて、「経済的自由権」と呼ばれています。
基本的人権とは、個人が尊厳をもって自分らしく生きる上で必要不可欠な
権利のことです。
経済的自由権という人権がなぜ個人の尊厳に不可欠かといえば、自由な
場所で自分の選んだ職についてお金を稼いで経済的に自立できなければ、
尊厳ある自由な人生などありえない、からです。
職業や住む場所はただの生きる手段ではなく、生き方そのものといえます
から、これらの自由があって初めて、個人が尊重されているといえ、そして
人が生まれた時から持っている自由が生きている状態といえます(立憲主義)。
天賦人権という思想や、基本的人権という発想がなかった時代、
人は身分制や階級制に縛られていて、
「住みたい場所に住む」ことも「なりたい職業に就く」ことも、ありえません
でした。
住みたい場所に引っ越せず、あなたは一生ここで暮らしなさいと命じられる
って…想像してみて下さい。かなり苦痛ですね。
って…想像してみて下さい。かなり苦痛ですね。
あるいは、なりたい職業を選べず、「おまえの仕事は○○と決まってるんだ」
と押しつけらるなんて、正直、地獄ではありませんか?
と押しつけらるなんて、正直、地獄ではありませんか?
人はそれぞれ個性があり、性格、適性、向き・不向きがあります。
どこに住んでどんな仕事に就くかは、本人が選ぶもの。
そんな、当たり前のように思える「居住・移転の自由」「職業選択の自由」も、
近代市民革命の時代以降、やっとのことで獲得できた、大切な人権です。
自分のことは自分で決める!という側面から考えると、こういう「居住・移転
の自由」や「職業選択の自由」は、経済的自由権として22条で保障される
ことも大事ですが、自己決定権の1つとして、13条(幸福追求権)でも保障
されているともいえます。
22条2項は国籍離脱の自由を保障しています(明治憲法下では、自由意思
による国籍離脱は許されていませんでした)。
ただ、これは無国籍になる自由までを保障したものとは考えられておらず、
「どこか他国の国籍を取得したら」国籍を離脱していい、という意味です。