2014年5月4日日曜日

いまだに「押しつけ憲法論」とかいって…



 憲法記念日には全国各地でさまざまな憲法のイベントが
開催されましたね~~企画に携わった方々、参加された
方々、おつかれさまでした!
 日刊紙も総力あげて憲法の特集を組んでいて、憲法を
変えたいという方々の催し物についても書かれていたので、ど
んなこと語ってるんだろうと読んでみました。
  そしたら…あぁ、いまだに「アメリカに押しつけられた憲法
だから」「自主憲法」とわりと強く主張しているようですね。
昨年、この「押しつけ憲法論」についてブログで書きましたが、
今日はそれを再掲(少し手直し)したものを載せます。

  日本国憲法は占領軍による「押しつけ憲法」だ、という主張は、
改憲を唱える人達の強い論拠となっていますし、自民党の自主
憲法制定という党是の根底にも、「押しつけ憲法論」が強く流れ
ています。
 しかし、この「押しつけ憲法論」、よーくよく考えてみれば、
拠として...は非常にもろいもので、言ってみれば「突っ込み
どころ満載」な考えです (-_-;)
 

  大きく分けて2つのレベルでの反論できちゃいます。
  ① そもそも押しつけか否かなど改憲の是非の議論にとって意味がない。
  ② 押しつけではない。

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 ①について考えてみましょう。

 立憲主義・民主主義・天賦人権・国民主権・平和主義、
これら近代民主主義国家の原則は、敗戦までの大日本
帝国憲法下にはありませんでした。それまでの「天皇を
頂点とした軍部独裁の政治」に終止符を打ち、日本が
民主国家として生まれ変わるためには、憲法改正は
必至の政策でした。
 マッカーサー元帥はじめGHQは、日本も敗戦を受け
入れたからには憲法改正の重みも当然分かってるだろう、
と考え、幣原内閣に憲法改正の試案を作るように指示
しました。日本に任せればいいと思っていたのですね。

  しかし、内閣の下に設けられた憲法問題調査委員会が
作った試案は、残念ながら明治憲法の焼き直しのような
もので、天皇主権は温存されたままで、人権保障も徹底
されていない、およそ民主的とは言えない内容でした。
GHQはこれに落胆し、日本政府に丸投げしていても民主
的な憲法は作れないと判断しました。そこでGHQが案を
提示しつつ、政府との間で草案作成を進め、帝国議会に
上程し、審議の末、大日本帝国憲法の憲法改正手続に
のっとり、日本国憲法が制定されたのです。
(ぶっちゃけ、恥ずかしい話なわけです。日本政府が天皇
主権などという時代錯誤な発想を捨てて民主的な草案を
作れていればよかったのに、それができなかったわけです
からね。)

  一橋大学の阪口教授いわく、「50年連れ添ったけれど、
もとはといえば意に沿わない結婚だったから離婚しよう、
という夫婦はいない。離婚したいのは、結局相手のことが
好きじゃないから離婚したいのであって、たとえ意に沿わ
ない結婚だったとしても,気があって仲むつまじい夫婦関
係を築けたのであれば離婚はしない」。

  押しつけだから改正せねばならない、というのは、憲法
の中身の議論を避けた、理屈になっていない主張といえ
ます。
 押しつけ憲法論を主張する方々は、結局は、立憲主義や
民主主義、天賦人権等々の憲法の中身が嫌いなのですね。

  ②はどうでしょうか。

  議論の土俵を、「押しつけかどうか」というレベルに移した
場合、押しつけであるといえるのでしょうか?

  上記の通り、日本国憲法はGHQが突然「今日からこの
憲法が君たちの憲法だ」と言って発付したものではなく、
帝国議会での審議と議決を経て制定されたものです。

 例えば一例を挙げると、

・GHQは当初一院制を想定していましたが、日本政府が
二院制を主張して、草案には二院制が取り入れられました。

 ・帝国議会の審議の中では、第1条の「国民の総意に
基づく」や第9条2項の「前項の目的を達するため」という
文言が挿入されたりもました。

  押しつけ?ではありませんよね。

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  雑ぱくな説明になりましたが、このように、「押しつけ憲法論」
というものは非常にもろい主張です。

 このような主張を、いまだに自民党はじめ改憲論者が強力に
続けているのは、憲法の中身が好きでなく、とにもかくにも改正
したい、という執念ゆえなのでしょうか。とにかく今の憲法が好き
ではなくて、それを変えたいと訴えたいのだけれど、テキトウな
理由が思い当たらない、というのが正直なところ、かな?毒舌
失礼いたしましたー。

  ちなみに、昨日、私が参加したデモでは、学生さんが「今の
憲法は押しつけられたとかいう大人がいるけれど、もしそう
だったとしても、僕はこんなステキな憲法をプレゼントしてくれて
ありがとうとアメリカに言いたい」と語っていました。
   そのとおりっ!