先日、憲法学者の森英樹先生(名古屋大学名誉教授)の講演「壊憲、改憲へと暴走する安倍政権と日本国憲法」を聴きに行ってきました!
シャレがいっぱいで、会場から度々笑いが巻き起こる楽しい講演でした!
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<解釈改憲は今に始まったことではなかった!>
日本国民は、戦争の反省から日本国憲法を作り、憲法9条で戦争放棄と戦力不保持を国に約束させました。
しかし、警察予備隊ができ、日米安保条約ができ、自衛隊ができ・・・これって憲法9条に違反するのでは?という批判の声が多数上がりました。
そこで、政府は憲法9条を改正しようとしました。しかし、3分の2の壁を突破できませんでした。
そこで政府は、1957年、やむなく閣議決定で9条を解釈改憲し、批判をかわすことにしました。
その内容が、「戦力に至らざる必要最小限の自衛力を持つことは憲法9条に反しない」というもの。
憲法9条のもとで、自衛隊の存在を肯定するために、「戦力に至らない自衛力」すなわち「我が国の自衛に徹する、戦争しない自衛隊」の存在は合憲であると強調した訳ですから、他国を守るための集団的自衛権なんて認めていたはずがありませんよね。
<小さく産んで大きく育てるのがいつものやり方>
しかし、首相が会見で述べた「基本的方向性」によれば、「日本の安全に重大な影響を及ぼす可能性がある時」に「限定」した集団的自衛権行使は合憲であるということだそうで。。。
なんだか話が違いますね。
気をつけていただきたい。
石破幹事長は、「集団的自衛権行使はスタート段階ではかなり限定的にならざるを得ないが、それを将来広げることは可能だ」(5月2日ワシントン講演)。
「安倍政権では多国籍軍参加しないが、次の内閣で変わるかも」(5月16日)などと述べています。
・・・限定する気なんて、ありませんね。
一部でも認めるようなことになれば、そこからどんどん行使場面が拡大していくことは容易に想像できます。
<美しい国・日本?>
安倍首相の公式サイトをご覧になったことはありますか?
「美しい国、日本」「日本を取り戻す」と大きく出てきます。
「基本政策」には「憲法改正」がありますが、更新日時は2009年。
安倍首相の壊憲への執念は尋常ではありません。
専守防衛から積極的平和主義+日米同盟強化へ
武器輸出禁止原則から武器輸出管理原則へ
集団的自衛権行使禁止から行使容認へ
これらを見れば、安倍首相の言う「美しい国」「取り戻すべき日本」というのは、戦前の戦争できる国・日本なのでしょう。
日本は、戦争放棄と戦力不保持という正しいことを他の国に先駆けて行いました。正しいことほど強いものはありません。
武力行使ありきの議論ではなく、外交交渉で武力行使を避けることこそ、日本が国際社会において果たすべき役割ではないでしょうか。
自衛隊が海外で戦争することになれば、志願者は減るでしょう。
それでも米国の要請で集団的自衛権を行使しなければならなくなったとき、憲法や人権より日米同盟を重視する今のような政権では、徴兵制を導入してでも米国の要請に応えようとするのではないでしょうか。
海外で戦争するということは、多くの若者が血を流すこと。
そのような結果を語ることなく、憲法の改正手続を経ることもなく、勝手な解釈で実質的に改憲し、国民に押しつけることは、立憲主義に反するだけでなく、主権者たる国民を無視することです。
96条改憲に躍起になっていた第一次安倍内閣を止めたのは市民の声。
解釈改憲による「限定的な」集団的自衛権行使などという姑息な手法に騙されることなく、敗戦投手の再登板には「NO」を突きつけましょう!
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というような内容でした。
文章だと、シャレの面白さは伝わりにくいし、ネタバレになっちゃうので、みなさま機会があれば是非ご講演を聴きに行ってください。