2021年3月11日木曜日

司法の分野での女性の少なさ(特に最高裁判所)


 元最高裁判事の桜井龍子さんのインタビュー記事をご紹介します。 

 司法の分野における女性の少なさが、「性差別のない国」を作る上

でどれだけ壁となっているか、とてもよく分かる内容です。


● 日本のジェンダー平等へ「一つ一つの小さな差別への気付きが大切」

                元最高裁判事の桜井龍子さん (東京)

 https://www.tokyo-np.co.jp/article/89651



 日本の最高裁判所の裁判官は15人、裁判官からの生え抜き枠、

官僚枠、学者枠、弁護士枠などがありますが、裁判官からの生え抜き枠

で女性が任命された例はありません…💧桜井さんが在任していた当時、

女性3人の時代が約4年ありましたが、今は2人に減りました。。。


 15人の裁判官は、5人ずつの小法廷にわかれて事件を扱うことが

ほとんどです。15人中、女性が2人しかいないということは、

「すべて男性の裁判官」の小法廷があるということです。

「1人しかいない」だけでも大問題なのに…ゼロって…((+_+))


 これが、最高裁の判断にどのような偏りをもたらすかは、想像に

難くありません。


<一部抜粋>

― 女性判事がいることで何が変わるのでしょう。


 性差によって判決の判断が変わるとは思いませんが、性差別に根ざ

した事案では、判断基準の違いが出ると感じたことがあります。

それが、妊娠後に降格されるなど不利益な扱いを受けるマタハラや、

セクハラの訴訟を担当した時。私の専門分野でもあったので丁寧に

審理し、高裁の判決をひっくり返し、女性の雇用環境にプラスになる

判決を出すことができました。

 2015年の夫婦別姓訴訟も、男女による判断の違いがありました。

夫婦が同じ姓を名乗ると定めた民法750条の規定について、女性3人

は「違憲」でまとまり、男性のうち2人も違憲の判断でしたが、他の

10人の男性を納得させるような理論が展開できず、反論の形で少数

意見をつけるほかありませんでした。

<抜粋終わり>


 現に差別されている当事者(マイノリティ)がいない場で、判断

される恐ろしさ。

 差別する側(特権を意識しないで生きていけるマジョリティ)だけ

が集まって、判断される理不尽さ。

 選択的夫婦別姓の違憲性が争われたとき、女性判事3人とも違憲と

判断し、違憲ではないと判断した10人全員が男性だったことは、

そのあらゆるおかしさを象徴しています。


 男性並みに働けるなら昇進可能という「パッと見、みんな平等な

扱い」な労働環境が、いかに性差別的な構造か。

 ケアワークに女性が多いこと、非正規労働者に女性が多いこと、

これらがいかに「女性が自由意思で低賃金の仕事を選び取っている」

のではなく、性差別的な構造の結果であるか。

 「当事者がいなくてもちゃんと判断できる」でしょうか?

 想像力にも深慮にも、限界があることは、明らかです。

 最高裁判所が「憲法の番人」として機能するためには、その15人

の構成(性別に限った話ではなく)がとても大事です。


 最高裁判所の15人の構成について、一般市民ができることは、

世論を広げること📣

 「15人中、女性が2人っておかしくない?」「なぜもっと積極的

に女性を登用しないの?」と疑問をしっかり形にして、SNSで発信し

たり、マスメディアに投稿したり、地元選出の国会議員さんにFAXし

たり、できることはたくさんあります!

 このままではいけない、と政府(と裁判所)に思わせることが大事

です。

 いざという時に、自分や大切な人の人生を守ってくれる司法を、

私たち自身の手で作りましょう💪✨