2020年10月15日木曜日

田中淳哉弁護士「つれづれ語り」 知の危機


 あすわか田中淳哉弁護士の連載「つれづれ語り」@『上越よみうり』


 今回のタイトルは「知の危機」。

 https://j-c-law.com/turedure201014/


 学問の自由(憲法23条)は何を保障したものなのか、とても分かり

やすく説明してあるので、ぜひぜひご一読ください。

 日本学術会議の件で、それまで「学問の自由」なんてまるで関心が

なかった人も少なくないと思います。ぜひこの機会に、「学問共同体」の

自律性がなぜそんなに大事なのか、知って頂ければ幸いです。


 その上で、一部抜粋してご紹介します~。

 政権が、日本学術会議のあり方を根本からひっくり消そうという動きが

に出てきている今、ぜったいに知っておいて頂きたい前提知識です。

  ↓ 

 <一部抜粋>

 独立性・自律性を確保する必要

 学問研究の成果は、これまで社会の維持・発展に役立てられてきた。

ただ学問は、ときに既存の秩序や価値観の変革を促したり、従来の政策

の転換を迫ったりすることもあるため、社会や政治権力からの批判や

反発を招きやすい側面も有している。


 学問の目的は、真理を探究することにあり、これは多数決原理とは

本質的に相容れない。また、研究成果は知的営みの積み重ねの結果として

得られるものであるから、「経済的合理性」があるかどうかといった

近視眼的な発想から論評すること自体ナンセンスである。


 学問が多数決原理や経済的合理性の視点でゆがめられてしまえば、

結果的に社会の発展を遅らせることにもなりかねない。このため、外部

からの様々な圧力で真理が歪められたり、探究が阻害されたりすることの

ないように、学問共同体の独立性や自律性をしっかり確保する必要がある。


 学術会議が「優れた研究又は業績のある科学者」(日本学術会議法17条)

として推薦した会員候補について理由も示さずに任命を拒否することは

明らかに違法であり、論外の暴挙であるが、学問の自由の重要性や特質に

照らせば、安易に行政改革の対象とするようなことも慎むべきである。

<抜粋終わり>