2015年7月9日木曜日

参考人質疑で倉持弁護士が意見陳述してきましたヨ!


 7月6日、安保関連法案を審議する衆院の特別委員会は、
さいたま市と沖縄県那覇市で参考人質疑を開いた。
 さいたま市で開かれた参考人質疑では、当会会員の
倉持麟太郎弁護士が参考人の1人として意見陳述してきました。
多方面から「キレッキレだったよ」とお褒めの言葉を頂戴して
おります( /^ω^)/

安保法案、3弁護士が廃案求める さいたまで参考人質疑
http://www.saitama-np.co.jp/news/2015/07/07/04.html


 倉持弁護士は、まず冒頭で

「まさに本法案は切れ目のない違憲法案である。
従前、政府解釈等ぎりぎりのところで守ってきた合憲のラインを
まさにシームレスに踏み越えて、解釈の限界を超えた改憲手続
なき実質改憲が行われることになる。」
そして
「今回の安保法制の審議における政府による説明、答弁が
余りにも不合理、不誠実、不十分であり、この法案成立に
ついての民主的正当性は欠如している。政府の説明は、価値
判断以前に、論理的に破綻している。」

 と断じました。

 そして、政府が理論的根拠として持ち出してきている「昭和47年
見解」と「砂川判決」いずれもが根拠になりえないことを説明し、
また国会審議における政府答弁がいかに不十分・不誠実かを
表にまとめて指摘しました。
 国会で審議がされていない論点が山ほど(40個以上!)あること
も暴いた上で、このまま強行採決されれば、手続的な正当性も欠いた
法律になるであろうと述べました。
自身が憲法カフェで世代を超えた多くの市民の方と議論を深めて
いることを引き合いに出し、

「皆さんは口々に、この政権の動きとの距離を語られます。つまり、
何か自分たちの全く手の届かないところで物事が決められていく
という距離について語られます。この距離は、まさに自分のことは
自分で決めるという民主的正当性との距離をそのまま反映する
ものであり、先ほど来申し上げている今回の安保法制の審議状況
や正当性の話と全く軌を一にしているのではないでしょうか。」

と述べました。

 「現政権には押しつけ憲法への嫌悪を感じますが、現政権が
今しようとしていることは、まさに違憲な法案の国民への押しつ
けではないでしょうか。」

 「ある法哲学者がプーボワールオブリージュという言葉を使って
いました…つまり、権力を持つ者には義務がある、それを適正に
行使する義務がある、すなわち権力担当者の節度を説いた言葉
です。」

 「国民は既に権力者のパントマイムに気づいていると思います。
立憲主義の核心は自律です。自分自身のよき生の構想は自分
自身だけでしかできないということです。それが、今、権力担当者
に決められている、そう実感しています。我々は、日本を取り戻す
という前に、まず自律を取り戻さなければならないと強く叫ぶべき
です。」
 「現政権にもまだ人間の尊厳への敬意と知性への良心が残って
いることを願い、そして、プーボワールオブリージュ、その権力行使
に対する節度を持ち、実体的にも手続的にも民主的正当性を欠い
た本安保法制を廃案とすることを求め、意見陳述とさせていただき
ます。」



<意見陳述後の、倉持弁護士からのコメント>
 「切れ目のない安全保障」のための今回の法制は、軍事権行使
に関して歯止めが何も用意されていない結果、「切れ目のない違
憲法案」であるということと、法案及び政府の説明が政策的な価
値判断のさらに前提として、そもそも論理的に破綻しているという
ことです。破綻しているものを破綻していると言う勇気を、政府に
はもってもらいたいですね。彼らにおそらく残されていない人間の
尊厳への敬意と知性への良心がまだ残っていることを願い、陳述
しました。