2020年8月15日土曜日

首相の式辞 「積極的平和主義」



 全国戦没者追悼式での首相式辞について、1つ指摘し忘れたことがあります。
 「積極的平和主義」です。

● 全国戦没者追悼式 安倍首相の式辞全文 (毎日)
 
https://mainichi.jp/articles/20200815/k00/00m/010/074000c


<一部抜粋>

 戦争の惨禍を、二度と繰り返さない。この決然たる誓いをこれからも貫いて
まいります。我が国は、積極的平和主義の旗の下、国際社会と手を携えながら
、世界が直面しているさまざまな課題の解決に、これまで以上に役割を果たす
決意です。


<抜粋終わり>


 現政権は、発足した2013年から「積極的平和主義」という言葉を安全
保障戦略の中で使い始めました。
 9条のことかな?と思われがちですが、実は…
 「積極的平和主義」とは、定義こそされていませんが(定義してほしい)
閣議決定された「国家安全保障戦略」を読んでみると、つまり「敵」を見定め
てそれに対する防衛(軍事)力を増強し、日米を中心とした同盟関係を強化し
ていく、という発想のことだということが分かります。
 憲法9条の反戦・非暴力とはまったく異なるもののことだということ、ぜひ
知っておいてください。

* 日本平和学会のサイトをぜひご参照ください
https://www.psaj.org/2015/08/15/21-%e5%ae%89%e5%80%8d%e6%94%bf%e6%a8%a9%e3%81%ae%e5%9f%ba%e6%9c%ac%e6%94%bf%e7%ad%96%e3%81%a8%e3%81%97%e3%81%a6-%e7%a9%8d%e6%a5%b5%e7%9a%84%e5%b9%b3%e5%92%8c%e4%b8%bb%e7%be%a9-%e3%81%a8%e3%81%84%e3%81%86%e8%a8%80%e8%91%89%e3%82%92%e3%82%88%e3%81%8f%e8%81%9e%e3%81%8d%e3%81%be%e3%81%99%e3%81%8c-%e3%81%93%e3%82%8c%e3%81%af%e4%bd%95%e3%81%aa%e3%81%ae%e3%81%a7%e3%81%97%e3%82%87%e3%81%86%e3%81%8b/

 軍拡と同盟強化って、それのどこが「平和」主義なんだろう、と素朴な疑問
がわきますが、不誠実な言葉の使い方が目立つ現政権の常套手段かな、と思い
ます。


 対話による外交をリードしたり、あるいは貧困や差別など“戦争の芽”を摘ん
で暴力の生まれない社会を作ることが、本来、平和学で使われてきた「積極
的平和」であり9条の理念です。資源が無く攻撃されやすい地形で高齢化が
進む一方の日本には、きわめて現実的な外交手段…と思うのですが、それと
真逆の姿勢をとる現政権が「積極的平和主義」という言葉で(戦闘機の爆買い
や敵基地攻撃能力の保有の検討など)軍拡を進めるのは、とても危うく、憲法
上許されないのではないでしょうか。