2020年5月21日木曜日

憲法改正 国民投票法には問題ばかり💦!


 以下、今の国民投票法の問題点と、与党が成立を急ぐ改正案の問題点
を書きます。長くなりますが、時間のあるときにぜひ読んでください。


* * * *


 「憲法改正」は国会が「発議」して「国民投票」で過半数の賛成が
あれば改正されます(憲法96条1項)。憲法を変えるのかどうか、
最終的には私たち国民の「投票」次第。まずは国民投票の仕組みを
知って、憲法改正案の内容を良く調べ、賛成or反対を決める必要が
あります。

 憲法改正国民投票の仕組みや国民投票運動のルールは「国民投票法」
が定めています。ところが、この「国民投票法」にはいくつもの問題点が!
このままでの国民投票は、あまりにもアンフェア💦改憲したいなら発議
の前にまず国民投票法の抜本的な改正をして、公正・公平な手続きを
整えることが先決です。


<1 最短2か月で国民投票!?> 
 今の国民投票法では、国会で「発議」されてから「国民投票」までの
期間は最短でたったの60日(2か月)!仕事・家事・育児・介護と
並行してそんな短期間で憲法改正案を吟味し、投票運動に参加して、
「賛成」「反対」を決められますか?本の出版も間に合わない。
 熟慮にはもっと時間が必要です。


<2 最低投票率が決められてない!>
 今の国民投票法には、最低投票率(投票が少なすぎるので国民投票は
無効、というボーダーライン)の定めがありません。例えば投票率が
たった30%でも過半数の15%強の賛成で憲法改正が可能💦それだと
「国民全員で決めた改正」とは言えず正統性に疑義が生じます。
最低投票率の定めは必須です。


<3 有料広告はフリーダム(資金力次第)>
 今の国民投票法には、CMなど有料広告の規制はほぼゼロ。
 資金力のある側がゴールデンタイムのCMの枠を買い占めて、人気タレ
ントを起用したCMを流し続ければ、世論が操作されて国民は冷静な判断
がしにくくなります。表現の自由に配慮しつつ、広告の公平性やフェアな
投票運動を守るルールが必要です。


<4 まとめて投票!?>
 条文ごとに賛成か反対か投票できる個別投票が、原則になっていま
せん!
 今の国民投票法は「内容において関連する事項ごとに区分して行なう」
としか定めておらず、改憲の項目が複数あったとしても、まとめて
「賛成」か「反対」か投票を迫られる可能性があります。
 「条文ごとに個別投票」の原則を!


<5 公務員と教員は何も言えない!?>
 今の国民投票法では、公務員と教員の「国民投票運動を効果的に行い
うる影響力又は便宜を利用し」た国民投票運動が禁止されています。
曖昧すぎて意味不明…💦こんな書き方では、何が許されるのか分からず
、処罰を恐れて委縮してしまいます。表現の自由・学問の自由・教育の
自由の過度な制限です。


<6 与党が成立させようとしている改正案>
 加えて、今、与党が成立させようとしている国民投票法の改正案は、
上記の問題点をなにも解決しないものなのです。。。

・駅や商業施設などへの共通投票所の設置
・期日前投票の理由に「天災又は悪天候により投票所に到達することが
 困難であること」を追加
・投票所に同伴できる子供の範囲を「幼児」から「児童、生徒その他の
 18歳未満の者」に拡大 

 等々の内容なのですが、今まで挙げた問題は、なにも解決しない。
解決しないでいいと思っているということです。


<7 政権・与党の思惑>
 首相と現政権はとにかく一刻も早い(安倍首相の在任中の)改憲を目指
しています。常識的に考えてそんな時間はありませんが、すべての議論を
いつもの悪法のように吹っ飛ばして国会の発議と国民投票に持っていく
可能性は、ゼロではありません。そのためには「国民投票法が使えるもの
になりました」と示す必要がある。

 この改正案を成立させたら、「国民投票法がよりよいものにした」という
既成事実ができる。改憲や国民投票法についてあまり詳しくない国民に
「なんか投票のルールの問題点も解決したらしい」という印象を与えて、
改憲により“スムーズ”に突き進める…
 そういうシナリオが、透けて見えます。

 
 そういう不誠実、というか、卑怯なやり方を許すわけにはいきません。
 意味のない改正ではないけれども、この改正1回きりで「はい、もう
国民投票法の問題はすべて解決しました」と終わらせる可能性が大きい
以上は、この改正案には反対するしかありません。