2016年3月14日月曜日

緊急事態条項「叫ぶことにしました。」フェス 飛び入りゲスト・西谷修教授☆



 立教大学の西谷修先生が、飛び入りゲストとしてご登壇くださいました☆






 憲法「改正」のため…つまり本命は9条なわけだが…緊急事態条項が
いいエサになるんじゃないかと引っ張り出してきたわけだが、これは
エサどころの話ではない。
 緊急事態というのは、通常の統治システムが断ち切られるということ。
すべてが権力の恣意になる、これが非常事態。戦争が起きれば一人
ひとりの人権など考えられないから(人を殺せと命じるわけだし)非常時
なのである。これを制定すると9条改正必要なくなるのである。
宣言しっぱなしにすればいいのだから。
 テロとの戦争というのは、非常事態宣言とワンセット。アメリカでは
愛国者法が通ってしまったし、フランスでは非常事態宣言を出してしまった。
いつまで延長されるか分からない。日本がこの流れに入ろうとしているのは、
この世界的潮流の1つなのである。




*参考  岩波書店『世界』3月号 
 『法治国家から安全国家へ
 非常事態は民主主義を守る盾などではなく、それどころか、
                        つねに独裁者たちを伴っている。 』
 ジョルジョ・アガンベン
 訳= 西谷修


(岩波書店『世界』HPより転載)
 本稿は、昨年11月13日のパリ襲撃事件と、その直後のオランド政権
による緊急事態発令およびその2月末までの延長、そして二重国籍者
の国籍剥奪のための法案準備等を受けて、イタリア出身の哲学者
アガンベンが「ルモンド」紙に寄稿したものである。
 長引く緊急事態のもとに置かれ、警察の取締り活動が徐々に司法
権力にとって代わる国では、公共的諸制度は急速かつ不可逆的に
変質してしまうことを覚悟しなければならない。
 緊急事態は今日、西洋民主主義諸国をいまや「安全国家」と呼ぶべき
何ものかに向かって進化させているプロセスのなかに組み込まれている。
安全国家は、全般的な恐怖状態の維持、市民の脱政治化、あらゆる法の
確実性の放棄、の三点を特徴とする……。フランスの現状についての
するどい分析はそのまま、安保法が成立し、緊急事態条項を入口に憲法
改正がもくろまれる日本の現状にもあてはまる。

Giorgio Agamben イタリアの哲学者。1942年ローマ生まれ。ヴェネツィア建築大学教授を務めたのち、現在はズヴィッツェラ・イタリアーナ大学メンドリジオ建築アカデミーで教えている。最近の邦訳書に『身体の使用──脱構成的可能態の理論のために』(みすず書房)。

にしたに・おさむ 1950年生まれ。立教大学大学院文学研究科特任教授。
東京外国語大学名誉教授。