2014年8月16日土曜日

あすわかのパブコメをご紹介します☆~その3-④「運用基準案‐第三者機関」編

特定秘密保護法の施行に向けて、3つのパブコメ(意見公募)が始まっています。
  詳しくはこちらっ↓


http://www.asuno-jiyuu.com/2014/07/blog-post_25.html?m=1


 今日ご紹介するあすわかのパブコメは,運用基準案のうちの「第三者機関」についてです。

 独立公文書監理監 保全監視委員会 って二つあるんですけど、どっちも行政の内部につくられるもので、しかも、独立しているかっていうとそんな規定はないんですよね
 どこらへんが「第三者」機関なの? と聞かれると、私たちも分からないんです(>_<)

 ってなわけで、なんじゃそりゃ、って思った方は、ぜひパブコメをどうそ!

ちなみに、以下の意見の理由はすべて、運用基準案のⅤの部分の話です



*:....o*:....o*:....o*:....o*:....o*


【意見】

 今回提案されている運用基準案には反対です。


【意見の理由】


略語は以下のとおりです
内閣保全監視委員会→監視委員会
内閣府独立公文書管理監→管理監

内閣官房や、監視委員会が、特定秘密の指定や適性評価実施の適正を確保する事務を行うと定められています(1(1)(2))。
しかし、内閣官房も監視委員会も、内閣の内部にある行政組織であり、その行政組織が行政機関の長等の決定等を厳しく監視できるか疑問です。また、監視委員会の構成は内閣官房長官が決めるのですから、仲良し人事になるおそれもあります
 
監視委員会は、内閣総理大臣が特定秘密の指定や適正評価の実施状況に関して行政各部を指揮監督するにあたり、行政機関の長に対し、特定秘密である情報を含む資料の提出や説明を求めることができ、必要があれば是正を求めると定められています()。
しかし、行政機関の長が協力義務(1(4))に反して資料の提出や説明を拒んだ場合についての定めはなく、強制力がありません。資料の提出や説明を拒まれた場合、秘密の指定や適性評価の適正さを判断することはできません。また、監視委員会が是正を求めたとして、それに行政機関の長が応じなかった場合についても定めがなく、強制力がありません。すると、いつまでたっても不適正な状態が是正されないことにもなりかねません
 
管理監は、行政機関の長に資料の提出又は説明を求め、又は実地調査をすることができますが(3(1)イ、4(2)())、行政機関の長は、「安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認められない」ときは、その求めを拒否することができます(3(2)ウ及び4(2)())。秘密指定をした行政機関の長の判断で資料を提出しなくてもよいとしていては、検証・監察機関が満足な資料を得られない可能性があり、適時適切に検証・監察をすることなどできません。
しかも、行政機関の長が資料の提出等を拒否する際には証明よりも簡易な「疎明」で足りるとしています(3(2)ウ)。資料の提出等を拒むための要件が緩和されすぎており、管理監による検証・監察の実効性について強い疑問があります
 
秘密の取扱業務者等は、秘密の指定や解除が不適切であると考えたときは、行政機関の長ないし管理監に対し通報することができますが、この通報は、特定秘密を漏らさぬよう、要約しなければならないとされています(4(2)イ(ア))。
行政機関の長(4(2)ア)は当然その特定秘密の内容を知っていますし、管理監(4()イ)も検証・監察機関として特定秘密を知りうる立場にあるのですから、通報をするに際して、わざわざ特定秘密が漏れないように要約しなければならない理由はありません。
それにもかかわらず、これらの機関に対する通報の際にも要約しなければならないとあえて定めると、要約しなければあるいは要約が不適切であ(ると判断され)れば特定秘密漏えい罪に問われるのではないかという憶測ができてしまいます。これでは、通報したい者が、要約が不適切と判断され秘密漏えい罪を問われないように、通報を躊躇してしまう可能性があります
 
秘密の取扱業務者等が、秘密の指定や解除が法に則ってないということを通報する場合には、原則として行政機関の長にするとされています(4(2)イ(イ))。
しかし、行政機関の長は、秘密取扱業務所等の上司や顧客にあたる人物であり、かつ特定秘密の指定や解除を行っています。そもそも、通報者が行政機関の長の対応に問題があると考える場合もありえます。その際に、その行政機関の長に対してまず先に通報しなければならないとしたのでは、通報したい者が、通報をしても意味がない、あるいは通報したら証拠を隠滅される可能性があると考え、通報を躊躇してしまう可能性があります
 
通報者には調査結果が報告され(4(2)イ(ケ))、他方で「通報の処理に関与した職員」には「通報者を特定させることとなる情報」の漏えいが禁止されていること(4(3)ア)からすれば、通報者を特定するために必要な情報が行政機関や管理監に集約されるのだと分かります。そうすると、通報したい者が、何らかの不利益を受ける可能性があると考え通報を躊躇してしまう可能性があります
 
管理監が内閣総理大臣に報告する内容は公表が予定されていますが、公表されるのは「管理監及び行政機関の長がとった措置の概要」に限られてしまいます(5(1)オ)。
これでは、結局、行政機関の長が適正に秘密を指定し又は解除しているのかどうかが国民には詳細が分からず、また管理監の活動が適正に行われているのか否か、事後に判断することが困難です
 
  以上